迷子からの
僕とパーパが一緒に暮らしてはやくも五年――厳密には四年と少し――今日は僕の五歳の誕生日である。ちなみにパーパと初めて会った日である。
普通なら魔法を使ってヒャッハーしたいところだが、パーパいわく身体が出来ていないのに無理すると死ぬらしい。ようはあれだ準備運動もろくにせず海に入ると身体攣って溺れる的なアレである。
よって僕は、三歳から言葉の勉強をはじめ――無論、読み書きに喋る事も出来る――四歳から体力作りをはじめた。パーパいわく覚えていて損はないらしい。後でくそうあん時に真面目にとか思う事は多々あっても覚えて損はないらしい。それと子供のころは物覚えがいいから大人になってからやるよりは楽らしい。ゆえに、魔法も知識だけがある。簡単に言ってしまえば毒物の知識がない奴が毒物を使うぐらい危険性があるのだ。失敗したら頭とか足とか吹っ飛ぶ可能性があるらしい。思ってた以上に魔法って恐い。
そんな僕だが、今日で魔法も解禁。嬉しい限りである。だが、困ったことがおきた。迷子になったのである。
何度も言うが今日は五歳の誕生日だ。パーパはお友達――いわば英雄しか思い浮かばない――を呼んでいる。僕はいつものように家の中を探索していたら知らないところにいる。そもそも、家が大きすぎるのだ。何故、二人だけ――僕が来る前は一人――なのに、地下五階――ちなみに地下七階まで存在する――まで書庫があり、一階はご飯食べるところに料理するところに人を泊める部屋。二階はパーパと僕の部屋にビリヤードなど――遊戯室――。三階はプールに訓練場である。
アレ……外さないで持っとけばよかったな。なんでもパーパに渡されたのはミスリル銀――魔力を込めやすく高い銀である――に宝石を使った魔道具であり効能は携帯電話の様なものだ。だけど、僕はあの高いモノを持つのが恐く厳重に保管してある。数分前の自分バカヤッローである。
でも、仕方がなかったのである。あんな高そうなネックレス恐くてとてもじゃないがつけられない。もっと安っぽいのをパーパが作ってくれればよかったのである。
「おい、こんなとこでなにしてるんだ?」
ああ、パーパに怒られコレは魔法を教わるの延長だろうか……
「おーい、譲ちゃん聞いてるか」
どう言い訳すべきだろうか。…………思い浮かばない。
「おい、そこで悩ましそうにキョロキョロしている譲ちゃん」
「ほえ」
「そうお前だよ。やっと認識してくれたか」
「曲者!さてはお前、ロリコンだな!?」
「おう、そうさ。オレこそは……いや違うからな!?どこでそんな言葉覚えたんだ」
「毎夜毎夜、綺麗でボン、キュン、ボンなお姉さまに囲まれているのにもかかわらず、いや囲まれているからこそ新しい扉が」
「いやいやいや、待てっ!?勘違いだ!知り合いの子の五歳祝いに来ただけだからな!それと年齢=彼女いないれ……」
緑色の髪に赤の瞳の美形様である。背も高く手足がスラリと長い。っく、イケメンめ。僕の突然の言葉に、このツッコミ……。パーパの友人の一人だろうか。うん、ゴメンネ。だから小さい声で「オレって」とか言わないで。悪ふざけが過ぎたよお兄さん。けど、この世の中不老とか存在する。パーパは元々ソレっぽかったのに不老になってしまったらしい。なので、もしかしたら外見はお兄様でも中身は老人の中の老人の中の老人もありえるわけだ。
「お兄さん、パーパの友人ですか?失礼ですがいくつですか?外堀埋めるのが上手い元王子様?戦闘が大好きな元長の子供?それとも最強の盾と名高い人?あ、もしかして女性でした?失礼を。最強の矛様でしたか?」
とは、言ったものの一番最初以外あり得ないだろう。お兄さんは、どう見ても男だ。それに最強の盾と呼ばれた人はドワーフ――小人っぽくて鍛冶屋が多い種族である――、戦闘大好きは獣人とパーパから聞いている。つまり、消去法からして
「何を勘違いしているかわ――いや、薄々は分かるが違うからな。オレはレオナス・ブリンガード・フィニス。一応、魔王をやっている」
「これはご丁寧にどうも。パーパの娘、リディです魔王さ……魔王様っ!?」
「ああ、やっと話し通じたか。まぁ気楽にレオ兄さんで良いぞ」
「では、レオ兄さん。ココどこですか?迷子になったので案内してください」
「自分家で迷子って」
「でも広いですよココ」
こうして、僕は魔王様と接触した。とりあえず、無事に戻れそうで安心した。




