僕とパーパの出会い
エセ魔王と同じ世界でおおくりします。
育ての親と主人公の出会い編。
初めまして僕の名前はリディである。ちなみに名前はパーパ――僕の育ての親――が名づけてくれた。ちなみに僕は女の子である。パーパは精霊であり僕は人間。正真正銘血は繋がっていない。
僕はパーパに拾われた。いや、厳密には拾ってもらったといういい方が正しいかもしれない。
輪廻転生と言うモノを知っているだろうか。生き物には必ず魂というモノが存在し、死んだら輪の中に入り次の人生を送るらしい。それは何かは分からない。もしかしたら人として死に、動物として次を生きるかもしれない。そもそも同じ世界、時、場所で次を生きるとは限らない。そして記憶は普通は失われるモノらしい。
そして、僕も転生した。転生といってもよくある物語りのように記憶がはっきりしているわけではない。どうやって死んだかなんて覚えてないし。名前も分からない。ただ、所々記憶があった。
泣かない赤ちゃん。普通は不気味だがそんな心配も不要だった。僕は育児放棄されていたのである。
記憶……というより自我がはっきりし僕は不自然を感じていた。まず、出入りが少ない。いや、人の気配そのものを全く感じなかったのである。オカシイ。そう思った僕は腹時計を頼りに計算することにした。
一日の時間とか分からないし、そもそも時計……物資が全くといっていいほど置いてなかったのである。腹時計だけが頼りであった。ソレにより数日――二日から三日ほど――に数回人が――服装的に使用人ぽかった――きて掃除をしご飯をくれるのである。
ためしに人が来ない日に大声で泣いてみたところ誰も来なかった。僕は早々に危機を感じていた。このままでは餓死してしまうと。
だって、考えてみてほしい。数日に一回の食事である。お腹はぺこぺこ。娯楽もないし、第一に赤子に出来ることなど何もない。ゆえに僕は助けてくれそうな人が来るまで天井のマスを数えたり、ただひたすら寝がえりをうったりした。
そして、救世主――パーパ――が来たのである。
半透明の美女。いやそもそも男だから美女はオカシイし半透明は幽霊っぽい。でもそん時の僕はそんなこと気にしなかった。気にする余裕などなかったのである。直感的に信用できると思った僕はどうやって連れて行ってもらえるか考えた。その時、初めて半透明だと気付いたのである。
誰かに乗り移ったり出来ないかななどと考えたがパーパは僕をチラリと見た後どこか行こうとした。僕はマズイと思った。きっとコレを逃せば待つのは餓死である。ゆえに待ってと言った。当然赤子なので「あ、あうー」となったが。この時の僕ナイスである。
一度振り返ったパーパはキョロキョロと周りを見回し首を傾げた後、あろうことか去ろうとしたので僕は迷わずもう一度声を――今度は少し大きく張り――上げた。「あう、あうあうー!」と。パーパは今度こそ驚きに満ちていた。が、正直この時の僕は必死だったのである。死活問題であった。
「お前、オレの言葉が分かるのか?つーか、見えているのか?」
「あう、あー」
「珍しいな、見るだけでも、聞くだけでもない。両方か」
「うー?」
「親は?」
「うあー?」
「一人か?」
「あーい!」
「使用人とかは?」
「うーあ、あーう?」
こうして会話をしていった。ぶっちゃけた話、何故これで会話が出来たかは不明だがこうして僕はパーパに拾われ名をつけられて育てられている。
ちなみにパーパの外見は銀髪青眼の美形。なんでも元精霊王であり、元勇者一行のパーティーメンバーらしい。さすが異世界。ハイスペックである。