プロローグ
ある草原に2人の男がいた。
1人は茶色の髪をし、光輝く剣を持ち、長身のイケメンな優男 “カイト”
片や、銀髪で、頭に角を生やしたイケメンで、長刀を構えた美男子。“フリード”
そんな2人は長い因縁にけりをつけようとしていた。
キンッキンッ!
「何故だ、何故貴様はこんな人類を救おうとするのだ勇者カイトよ!真に世界を救うなら人類を滅ぼすしかないと何故分からん!」
「人のいない世界に何の意味があるっていうんだ!フリード!お前も元は人類じゃないか!」
「だまれ!今、世界はその人類によって破壊されているのだぞ!」
「確かに今はそうだ。しかし、それでも人は人のためになら変われる。俺が変えてみせる!」
「ふんっ。たかが1人で何が出来る。」
「1人じゃないわ。」
「私たちがついてるよ!」
「カイトなら出来るよ!みんなもそう思ってるわ!ねぇみんな?」
「もちろんだぜ!」
そこには4人の仲間たちがいた。
「フリード!俺は1人じゃない!仲間とだったら俺はなんだって出来る!だから、俺は絶対勝つ!」
「くそっ。なんだこの力は!」
「「「「「いけぇぇぇぇぇ!!」」」」」
「ぐわぁぁぁ!」
ドガァァァァン!
カイトは倒れ伏したフリードに近寄る。
「お前、何で今、力を抜いたんだ!」
「貴様の甘さが俺にも移ったか。俺にあんな事を言ったんだ。途中で投げ出したら、地獄から貴様を呪うからな。」
そして、フリードは静かに息を引き取った。
「フリード!フリィィィィドォォォ
ブチッ!
「俺のフリードが!何すんだよ!母さん!」
バキッ!
「いつまでゲームしてんだ!とっとと飯食って、学校行け!」
「はい。すいませんでした。」
この日は俺的土下座ランキングのトップ3には入るくらいの芸術性があった。
「あぁ〜。くそあっちぃ〜。なんでゲームと違って、通学シーンはスキップできねぇんだよ。絶対いらんだろ。」
6月はもう半ばに入り、季節はもう夏真っ盛り。そんな中、俺こと、剣崎 和人は学校への道を歩いていた。
この世の不条理を嘆きながら、苦行のような坂道を上がっていった。
ガヤガヤ
同じ学校の生徒がちらほら見えてきて来る中、一際目立つ集団が向かってきた。
(ま〜た、あいつらか。)
そこには俺たちの学校では、ファンクラブとか言う三次元の学校では珍し過ぎるものが存在する美男子&美少女グループがいた。
(正直な話、ファンクラブなんかものを現実に再現するくらいなら、ブルマを再現しろよ。)
内心、最低のことを考えながら、無視して通り過ぎようとすると、その中の1人である、泉 灯が俺の方に向かってきた。
「剣崎君、おはよう。」
「あ、あぁ、おはよう、泉。」
(おいおい、周りを見てくれよ。ヤバイのが分からないのか?もうあそこのヤツなんか人殺しの眼をしてるぞ!)
「今日はいつもより早いね。」
「まぁ、やることがあってね。だから、先に行くから。」
周りの奴らの殺気を無視しつつ、挨拶をして、とっとと去った。
クラスの女神的な美少女との会話を切り上げるなんて、勿体無いと考える奴が居るかもしれないから言うが、クラス、いや、学校中の男子を敵にまわしてまで付きたいかというとそうでもないと思う。たぶんそんな酔狂な男は俺だけだろう。一部の人間は除くが。
生憎、人間の裏切りには飽きたから、現実の女とは関わりたくないのが本音だがな。
教室に入ると相変わらずのクラスからの視線を感じた。その理由は先ほどのグループにある。さっきのグループはどいつもこいつも顔が整っており、さらにそれぞれがすごすぎる。
「あっ、剣崎君。さっきぶり。」
こいつが1番の理由である泉 灯。こいつは世界的大企業である泉 財団の1人娘でお嬢様キャラ持ちというぶっちゃけた話嫌いではないが、何故か、今年から同じクラスになり、クラスで目立たない俺に話しかけてきた意味不明な人物だ。
このせいで俺の一年間やってきた『学校の空気さん』作戦が一瞬で灰になった。何故、俺が人と関わらりたくない理由はまた後日。
「全く、灯はこんな奴にも話しかけてあげるなんて随分お人好しなんだね。だが、君は優しすぎるよ。君のそういうところにあまえちゃったんだよ、彼は。」
こいつはリーダー格の境 来人。こいつはイケメン・サッカー部のキャプテン・成績優秀とか言う完全な主人公キャラだ。
「そうだな。俺も同感だぜ、泉。お前もそう思うよな、博士。」
さらに、豪坂 魔裟斗。こいつはグループの不良枠。ボクシング部に所属しており、卒業後はプロになるのではと言われるほどの腕前だ。
「興味ない。」
また、最後の男子は田村 博士。こいつは一言で言うとインテリ君で、天才プログラマーとかなんとか。まぁ、こいつはあまり俺に関わらないからさほど興味ないがな。
「おい、まさか貴様らはまた剣崎に何かしたんじゃないだろうな。もし、剣崎に手を出したら私が許さんぞ。」
最後のは剣道部の椿 由美子。こいつは文武両道で、クールビューティーと呼ぶに相応しい女騎士といった感じだ。
こいつとはある日、何故か剣道で戦うことになり、好きなアニメが始まるため、パパッと終わらしたら泣いてしまって慰めてたらアニメが終り、その次の日からクラスの殺気は倍になるという踏んだり蹴ったりな日を過ごさせた張本人である。さらに何故かこの日から泉の視線から嫉妬のようなものがあった様な気がしないでもなかった。
まぁ、とにかく俺はこいつらに絡まれ、クラスの男女からは軒並み嫌われている。特に男子に。たまに校舎裏に呼び出され殴られたりするが、全然効かないため気にしてはない。
ーーー昼休みーーー
「お昼食べよう、剣崎君。」
「一緒に食べようではないか、剣崎。」
ボッチ忍法 狸寝入りの術をしている中、泉と椿が俺の元にやってきた。健全な男子高校生なら、ここでフラグ的な何かを期待するかもしれないが、そこはこの俺。
「すまんな。今日はあまりはらの調子が良くなくて保健室に行くから昼はいらんのだ。だから、お前達はあいつらと食べててくれ。」
そこはかとなくありそうな理由でさりげなく断る俺はまさに紳士の鏡だろう。そんな紳士にクラス中から『お前、何断ってんだよ!何様のつもりだ!』みたいな視線が刺さった。この紳士に何故あそこまで殺意を向けるのか?そして結局紳士は女性の頼みは断らないのでは?という結論にたどり着いた俺はまさに紳士の・・(ry
しかし、アニメでもこういう展開があるけど一緒に食べるのと断るのはどちらが正解なんだろうか?どうせ、申し出を受けても『何、一緒に食ってんだよ!何様のつもりだ!』的な視線は免れそうにないだろう。
そんな答えのない問題を考えていると、
「大丈夫?着いて行こうか?」
「私が着いて行くから、灯は来人達と先に食べててくれ。」
「いーよ。私が保健室まで運ぶから由美子が昼を食べてて。」
「いや、私が」
「いやいや、私が」
「ハハッ、灯も由美子も随分優しいんだね。でも、2人がわざわざ着いて行くことはないと思うよ。」
「「来人は今は、黙っていて!」」
意気揚々と、2人の喧嘩の仲裁に入る来人だったが、謎の発言をしただけでレッドカードを出された。というか、なぜお前が俺にそんな眼をするんだ。俺関係ないだろ。
そんなこんなで、ちょっとした昼食時のいざござなどがあったが、何とか切り抜け、クラスの恨みを華麗に回避した放課後の帰り、この日は情報を見て、その後すぐに予約して、ついに発売となる新作ゲーム、さらに楽しみなアニメの原作で1番好きな話が放送され、さらには大好きなラノベの新作の発売とイベント目白押しの日に今日1番嫌な予感が俺を襲った。
ーーー数分前ーーー
「これでHRを終ります。他に何か連絡はありませんか?」
今、クラスのHRをしているのは我らのクラスの清涼剤である富士 沙織先生である。
メガネの似合う新任の先生でその明るい雰囲気が学校中で人気だが、何よりも1番の魅力はそのビックなバストだろう。こんなこと言ったら殺されるかもしれないが、まさに富士山級のそれにほとんどの男子は釘付けだった。えっ、俺?逆に聞くけど、何故山があるのに覗かな・・ゾクッ
謎の2つの殺気で考えを改めようとし、今にHRが終りそうな時、
キィィィィィン!
突如、謎の音が発生し、空間は歪みを始め、満足に立てない状況が続いた。そして、気がつくと祭壇の様な場所にいた。どうやら、俺が1番早く目が覚めたみたいだが、一応のため寝たふりを続けた。もちろんだが、冷えた床の感じが気持ちよかったわけではない。
誰得な言い訳をしていると、1人また1人と、起き上がっていく。人数がそこそこになると俺もみんなに合わせ、起き上がった。
(ここは何処だ?まさか、・・・・!)
もし予想が当たっていれば、ここにはいられない可能性すら浮上する。
ゴゴゴゴッ!
そんなことを考えていると、祭壇の扉が開き、1人の少女が現れた。綺麗な金髪に、ピンクのドレス。まさに美少女の名に恥じない少女だった。
「“イリーガス”へようこそ、此処はあなた達の世界で言うところの異世界です!」
この日、世界は揺れ、大きく変わってしまった。そして1人の男の止まった歴史が再び動き出した。。