9.最後の約束
新年が明けて一七六六年一月四日。ヒベルニア城から馬で二時間ほど離れた港町に停泊したメルセデス号では朝から出航の準備が進められていた。船長のフレドリクソンが大声で指示を出し、歴戦の乗組員たちが甲板を走り回り、港の人夫が汗を流しながら積み荷を運び入れる。暢気な乗客が見送りの人々をひきつれて現れたのは正午過ぎだった。
「やあ、フレドリクソン。また世話になるよ」
馬車の扉を開けて雪の上に下りたち、ギーヴはフレドリクソンに片手を上げた。フレドリクソンは船の上からはつらつとした笑顔を見せる。
「猊下!お待ちしてましたぜ!こっちは準備万端です!」
ギーヴがヨイク、ユアン、ヒリール、マキシムを連れて船に近づくと、フレドリクソンは部下とともに船を下りて来た。
「あのー猊下、ここまで準備して今さらなんですが、ヒベルニアへは訪れることができても帰ることができないという一方通行説があったと思うんですが……」
「ああ、それは、ね」
ギーヴは背後のマキシムを顧みた。ヒベルニア王自ら見送りに来たのである。マキシムは海図を取り出して広げた。
「海流の関係でヨーロッパ方面へ戻るのは難しいが、比較的穏やかな北の海を抜けて、海流を大きく迂回すれば戻れないこともない」
マキシムの説明にフレドリクソンは納得しきれないような顔で海図を受け取り、航海士とともに操舵室へ入っていった。
「じゃあ、ヨイク、リプトン君、頼んだよ」
ギーヴは見送りの人々に向き直った。
「任せて。きっといい本を書いて、教会の闇に光を当てるわ」
「万事、お任せを」
ヨイクが自信満々に頷き、ユアンも微笑んで眉を上げた。
「ヒリール、元気でいるんだよ」
「ギーヴおじいさまもお元気で」
ヒリールは瞳をうるませてギーヴに抱きついた。ギーヴは彼女の頭を撫で、それからマキシムへ視線を移した。双子の兄弟はしばし見つめ合い、どちらからともなく抱き合った。
「まるで六十年前のあの日のようだな」
マキシムが低い声でぽつりと言った。ギーヴの胸がぎゅっと押しつぶされる。
「そうだね。せっかく会えたのに、また君と別れなきゃならないと思うとつらいよ」
「ならばここへ残ればいいのに」
マキシムの勧めにギーヴは苦笑した。
「俺がそうできないって、知ってて言ってるでしょう?」
ギーヴには成すべきことがある。それをマキシムは分かってくれている。
「マキシム、いつだって愛してるよ。この世界に、君と一緒に生まれてこられて良かった」
今度こそ、もう二度と会えないかもしれない己の半身に、ギーヴはそう囁いた。進む道は違っても、魂の根はつながっていると信じている。
「ありがとう、ギーヴ。おまえを弟に持てたことは、俺にとって最高の幸運だった」
マキシムがそう言った時、遠くから蹄の音がした。白い雪の上を、小柄な少年を乗せた黒い馬が疾走してくる。
「お待たせっ!」
船の前で馬を急停止させ、少年――いや、少女は朗らかに笑った。
「ヨイク、ユアン、またな!ヒリールも、元気でな!」
コルガーは馬から颯爽と飛び降り、自分の荷物を甲板に放り投げながら仲間たちに挨拶した。実にあっさりしていて非常にアイルランド人らしい別れ方だとギーヴは思ったが、さすがのコルガーもマキシムにはかける言葉に迷ったようだった。コルガーはマキシムと向かい合い、真剣な面持ちで口を開いた。
「マキシムじいちゃんは、長生きして下さい」
マキシムは神妙な顔で頷き、コルガーの頭をそっと撫でた。
「幸せになりなさい」
様々な想いの込められた曾祖父の言葉を受け、コルガーはしみじみと嬉しそうな笑みを浮かべた。曾祖母に良く似た可愛らしい笑顔だった。
「はい、必ず」
ギーヴとコルガーはメルセデス号に乗り込み、仲間たちは二人の姿を目で追った。やがて錨が上げられ、帆が張られ、ゆっくりと船が動き出す。空は寒々しくも綺麗に晴れ渡り、雲ひとつ浮かんでいない。湿った風が強く吹いていて、航海日和である。
「君が遅刻なんて珍しいじゃない」
ギーヴとコルガーは甲板の手すりに並んで立ち、仲間たちに手を振った。
「ばあちゃんにお別れを言ってたんです」
アンジェラの遺体はヒベルニアの大聖堂の地下で眠っている。
「でも考えてみたら、ばあちゃんはあそこにはいない気がする。どこかもっと明るくて綺麗な場所で、にこにこ笑いながらオレを待ってる気がするんだ」
コルガーは眩しそうに微笑み、手すりから身を乗り出した。
「みんなの上に、いつも光が差しますように!!!」
ギーヴは瞳を閉じて、この数カ月の出来事を思い出す。
ヨイクと出会い、鐘楼や劇場で密談したこと。ユアンの手助けでエディンバラを脱走したこと。アンジェラとウイスキー修道院で再会したこと。ヒリールとメルセデス号でトランプに興じたこと。マキシムと互いに別れを惜しんだこと。そしてコルガーと旅をしたこと。
「楽しかった。楽しかったなあ」
仲間たちの姿が見えなくなり、港が小さくなり、ヒベルニア本島が遠ざかるまで二人は手を振り続けた。
メルセデス号はヒベルニアを出発し、ちょうど二週間後にグラスゴーへ到着した。ギーヴとコルガーはフレドリクソンや乗組員たちとそこで別れた。メルセデス号も本来の役目に戻るのだという。
ギーヴはコルガーをウイスキー修道院まで送って行くと言い張り、二人はアイルランドへ向かう連絡船の切符を買いに船会社のオフィスを目指していた。
「なんだか活気が出て来たような気がしませんか?」
グラスゴーの街を歩きながら、コルガーは隣のギーヴを見上げる。十ヶ月もの間、分厚い雲に覆われていた空が綺麗に晴れて、太陽がきらきらと街を照らしていた。まだ完全に元通りというわけにはいかないが、それでも良い方に向かっていることは分かる。人々の表情も明るかった。
「そうだね。君が女神を説得してくれたおかげだよ」
「そんなこと」
ありません、と言おうとしたコルガーの目の前に何者かが横道から躍り出てきた。四人の黒服の男たちだった。いつぞやのギーヴの護衛、もとい監視役たちである。
「見つけましたよ、ギーヴ猊下!」
男たちに囲まれ、ギーヴはうんざりと顔をしかめた。
「ああ、もう、しつこいなあ。帰る気なくすじゃない。来週までには帰るから、それまで放っておいてよ」
「なりません。すぐにお戻りください。エディンバラ教皇のご命令です」
頑なに迫る護衛たちを見て、コルガーは頭をかいた。
「猊下、戻った方がいいんじゃないですか?心配している人もいるでしょうし」
護衛たちはコルガーを見て一瞬ぎょっとしたが、表情を引き締めてその場にとどまった。彼らの職務熱心ぶりに押されたのか、ギーヴはため息を吐き出して頷いた。
「わかった、すぐにエディンバラへ戻るよ。ごめんね、コルガー、送ってあげられなくて」
「いいですよ、そんなの」
コルガーは笑って首を振ったが、本当はもう少し彼と一緒にいたかった。己の女々しい想いを振り切り、コルガーはギーヴを船まで見送ることにした。
護衛たちの先導で運河へ戻ると、エディンバラ教会の紋章をつけた船は商船に紛れてひっそりと停泊していて、ギーヴたちの姿を見つけると、すぐに操舵者がタラップを用意した。
「じゃあね、コルガー、寄り道しないで気をつけて帰ってね」
護衛たちに乗船を促されながらギーヴはコルガーの両手を握った。ギーヴの温かくて大きな手を握り返しながらコルガーは彼を見上げた。
「分かってますって」
「手紙、書くよ。ローマ留学の件もすぐに手配するから」
「はい、ありがとうございます。猊下、どうかお元気で」
コルガーがそう言うと、泣き笑いのようにギーヴの顔が悲しげにゆがむ。
「もっと、もっと、言いたいことがあるんだけど、どうしてかなあ、言葉にならない」
コルガーも笑ってみたが、やはり純粋な笑顔にはならなかった。
「君は俺の女神だよ、エド」
ギーヴは指と指を組み合わせるようにコルガーと両手をつなぐ。コルガーは気恥ずかしくなってうつむいた。その耳元へギーヴは唇を寄せた。
「君とキスしたい」
胸が苦しい、心が切ない。それでもギーヴは叶わない願いを紡ぐ。
「セックスもしたい」
コルガーはぎゅっと手に力を込め、ギーヴの目を見た。金色の睫毛に縁取られた彼の翡翠色の瞳は哀婉にコルガーを見下ろしていた。
「……猊下のことは大好きです。でも、オレにとって猊下は直系の先祖のような方で、だから、つまり……」
言い訳のような空虚な言葉が唇から洩れる。本当はこんなことが言いたいんじゃない。もっと、伝えたいことがあるのに。心から愛していると。わたしはあなたに救われたのだと。
「猊下!水門の稼働刻限が迫っています、お急ぎください!」
気が付くとよく晴れた西の空が赤く染まり始めていた。ギーヴは名残惜しそうにコルガーの手を離し、タラップを踏んで船に乗り込んだ。船がゆっくりと動き出し、運河を東へと走り始める。コルガーは思わず船を追って、人でごった返す河岸を走った。
「猊下……!」
甲板のギーヴの長い髪が風になびく。彼は何かと葛藤するかのように顔をしかめてコルガーを見つめていた。穏やかな夕日が彼を照らし、なんて残酷なまでに美しい夕暮れだろうとコルガーは思った。
そして、どうしてか、もう二度と彼に会えないような気がした。
永遠の別れのような。
「お願い、待って、いかないで、ギーヴ猊下!!」
叫んだ途端、足が動かなくなった。涙をぽろぽろとこぼしながら立ち止まり、コルガーは船着き場に膝をついた。ギーヴの乗る船は次第に小さくなり、やがて見えなくなった。
コルガーはしばらくうずくまって泣いていたが、太陽が沈み辺りが闇に包まれると、立ち上がって上着の袖で顔をごしごしと拭いた。両手で軽く頬を叩き、頭を振る。それからとぼとぼと大通りへ足を向けた。船会社のオフィスは閉店の準備をしていて、コルガーが滑り込むようにやってくると、店員の若い女性は露骨に嫌な顔をした。
「ベルファストに行きたいんだけど、朝一の船ある?」
コルガーはむっとして、カウンターに片肘をつきながら訊ねる。
「二十ペンスよ。出港は明日の朝七時。東岸の二十六番から出るわ」
必要なこと以外は話したくないという風に無愛想に言うと、店員は乗船券をカウンター越しに投げてよこした。コルガーはむかむかしながら代金を支払い、乗船券をポケットにねじ込んでさっさとオフィスを出た。宿を探して夕食にしよう。そうだ、久しぶりにパブにも行こう。コルガーは勢いよく大通りへ飛び出した。が、その途端、誰かと正面からぶつかった。いや、違う、抱きしめられたのだ。覚えのある匂いにコルガーはどきりとして顔を上げた。
「つかまえた」
そう言って嬉しそうに微笑んだのは紛れもなくギーヴ・バルトロメだった。
「猊下?!何やってるんですか?!」
コルガーはギーヴの法衣を両手でつかんだ。本当に本物だ。ギーヴは周囲の人ごみを気にせずコルガーを抱き寄せ、少女の額にキスをした。
「君が俺を呼んだから、船を飛び降りてきちゃった」
ギーヴは情けなさそうに眉を下げたが、彼の瞳はどことなく妖艶だった。コルガーの胸はどきどきと高鳴り、自分というものが小さくなって消えてしまいそうな錯覚に襲われる。ギーヴの瞳はどんな美酒よりもコルガーを酔わせた。
「俺もまだ、君と離れたくない」
切なげに言い、ギーヴはコルガーの唇に自分の唇を重ねた。ギーヴの唇は熱く柔らかく、しっとりと優しかった。コルガーは目を閉じてギーヴの腕につかまった。生まれてきて良かった。生きてきて良かった。心の底からそう思った。
「だめです、猊下。人の道に、外れます」
彼と二度と離れたくない、このままどうにでもなってしまえばいいと思いながら、コルガーはやっとのことでそれを口にした。
「お願い、外れて。俺と一緒に、人の道から」
なおも口づけながら、ギーヴは熱い息をついて哀願した。静かな欲望が燃えるギーヴの瞳に見つめれ、コルガーの胸は甘くときめいた。もはや彼女に選択肢はなかった。彼女はギーヴにしがみつき、彼の耳元で囁いた。
「ハートフルな宿屋に行きましょう」
青い月明かりが寝室に差しこんでいた。穏やかな風がゆっくりとカーテンを揺らす。
素肌にシーツを巻きつけ、片膝を抱えて窓辺に座った少女は大人びた表情で瞬く星々や夜の街を眺めていた。ひんやりとした夜気が彼女の髪や肌を潤し、彼女は満ち足りたような微笑みを浮かべて歌を口ずさんだ。
――ぎんのとけい、きみにあげよう、ぼくのこころ、とわのあい。
「エド?」
月明かりの届かない部屋の隅から男の声がした。寝ぼけているかのような、ぼんやりとした声だ。
「古い歌を知ってるんだね」
「昔、父が歌っていたの。ねえ、月が綺麗だよ、ギーヴ」
少女が誘うと、男はシーツを引きずりながら、のんびりと窓に近づいた。彼はちらりと月に目を向けて、すぐに少女の足元に跪いた。
「こっちの方が綺麗だ」
男は少女の踵をつかんで持ち上げると、膝や足の甲や爪先に口づけを落とした。少女は頬を赤らめてそれを見下ろし、男の金褐色の髪に手を伸ばす。長い髪は金糸のように月光を反射して輝いた。少女は思わず男の前髪にキスをする。
「ギーヴ、ありがとう」
泣きたくなるほど彼が愛おしかった。こんな感情を抱いたのは生まれて初めてだった。
「何に、ありがとう?」
男は緑色の目を細めて少女を見上げ、柔らかく微笑んだ。彼の手が少女の白い頬に触れ、彼女は心地よさそうに瞳を閉じる。少女の隣に腰を下し、男は彼女の答えを待つ。
「こんな気持ちになれたのは、あなたのおかげだと思うの」
凪いだ海のように、彼女の心は静かだった。三月地震以来、こんなに安らいだ気持ちになれたのは初めてだった。
「この世界に生まれてきて、良かった」
少女は男を見つめ破顔する。
「これからどんな未来が待っているのか分からないけれど、これまでのわたしの人生は素晴らしいものだった。悲しいことも辛いことも沢山あったし、生きることに絶望したこともあったけれど、わたしは最高に幸せ者だよ」
男の手が少女の身体を抱き寄せ、二人は互いの額をくっつけ合う。やがて彼らはどちらからともなく、くすくすと笑った。
「俺も幸せだよ、エド」
微笑む男の首に、少女は自分の懐中時計の鎖をかけてやった。
「あなたの、止まってしまった時間がいつか動き出しますように」
どうかどうか、この人と同じ時間を歩ませて下さい――神様。
少女の真っすぐな瞳に見つめられ、男は笑みを深くした。
「ありがとう。さあ、朝はまだ先だよ。もうひと眠りしよう」
男が少女の手を引き、二人は再びベッドにもぐりこむ。そうしてそろって、瞳を閉じた。
青々とした夏草が視界いっぱいに広がっている。
緑の丘は真っ青な空との境界線まで続く。足元には赤紫色のレンゲや可憐なシロツメクサが咲いていて、それをよけながら、ギーヴは丘を歩いていた。
しばらく行くと丘の下に紺碧の海が見えた。白い入道雲がわき立ち、太陽が眩しく輝いていていた。遠くには羊の群れがいる。
「ギーヴ」
声がした。振り返ると二十歳くらいの若い修道女が微笑んでいた。
「やあ、アンジェラ、そっちはどうだい?」
風が吹き、夏草がそよぎ、蜜蜂が耳元を横切る。
「そうね、悪くないわ」
アンジェラが言った時、丘の向こうから白い法衣を着た男がやって来た。
「マキシム!」
若々しい肉体で軽やかに駆け出し、アンジェラはマキシムに抱きついた。
「アンジェラ!」
マキシムは子供のように破顔してアンジェラを抱き上げ、丘の上をくるくると回る。二人の笑い声が弾け、ギーヴもつられて声を上げ笑う。
「きっとすぐに行く。だから待っていてくれ。約束だ、アンジェラ」
マキシムがアンジェラの頬にキスをする。アンジェラは嬉しそうに目を細めて頷いた。
「ええ、あなたたち二人のこと、いつまでも、ずっと待ってるわ。約束します」
三人は顔を見合わせ、幸福そうに微笑みあった。
「約束だ」
「約束だね」
THE END
【あとがき】
最後までお読みいただきまして、本当にありがとうございます。
2011年は悲しい災害に多くの方々が傷つき苦しめられました。そして悲しみも苦しみも、まだ終わっていません。
この小説の主人公は大きな災害に家族や人生を奪われた少女でした。
生きて行く意味がわからないと嘆く彼女に、老修道女は言いました。
「いくら絶望しても、いくら悲しみにくれてもいい。頑張らなくてもいいし、無理に立ち上がる必要もないわ。だけど死んでは駄目よ」
彼女が生きる希望を見つけられたように、すべての被災された方に光が注ぐことを願ってやみません。曲がり角の向こうの幸せに出くわすその日まで、どうか生き延びて下さい。
レビューを書いて下さった方、ご感想を下さった方、拍手ボタンを押して下さった方、本当に嬉しかったです。ありがとうございました。
ぜひ次の作品への栄養とさせていただきますので、ご感想、ご意見、ご指摘などお寄せいただけましたら幸いです。
最後に、主要登場人物のその後を掲載します。
【主要登場人物のその後】
コルガー…ギーヴと別れた後、ベルファストへ帰り、半年後にローマへ留学する。建築の勉強の合間にアップルパイづくりの練習に精を出している。二十代半ばに戸籍を元に戻したが、その後も男装は続いた。
ギーヴ…エディンバラに戻り、クラシックのために力を注ぐ。すっかり脱走癖がついてしまい、ふらりと出掛けてしばらく帰って来ないことがある。塔の衛兵へのお土産は決まって冷めたピザ。
ヨイク…一年間ヒベルニアに残って本を書き、やがて新たな旅に出る。冒険と民話研究に人生を捧げ、生涯独身を貫いたが三十代で出産。親に孫の顔を見せるため、こっそりとサーメの村へ帰郷することもある。
ユアン…ヨイクの本を世界中に売りさばき、教会の闇に光を当てた。民話学者の冒険と一人娘の我儘に振り回されるのが彼の喜びであった。晩年はコロンビア大学で教鞭を振るう。
ヒリール…ヒベルニア城へ引っ越し、将来女王となるため勉強中。
カームス…ヒベルニアに残り、ヒリールの良き相談役として活躍している。
アヤ…ヒベルニアの近衛隊に入隊し、城の警備を務めている。
ジャック…ヒベルニアで新たな事業に挑戦中。
パーシヴァル…ヒベルニア海軍を率いる。マキシムの勧めで半年後に再婚し、その一年後に三つ子の父親になる。
マキシム…生涯、アンジェラの墓を守り続けた。
【参考資料】
小沢俊夫編『世界の民話3北欧』(1976年、株式会社ぎょうせい)
上野格、他『図説アイルランド』(1999年、河出書房新社)
佐藤猛郎、他『図説スコットランド』(2005年、河出書房新社)
鶴岡真弓、他『図説ケルトの歴史――文化・美術・神話を読む』(1999年、河出書房新社)
小谷明『北欧の小さな旅――ラップランド幻想紀行』(1995年、東京書籍)
近藤和彦編『江戸とロンドン』(2007年、山川出版社)
増田義郎『図説大航海時代』(2008年、河出書房新社)
西村三郎『毛皮と人間の歴史』(2003年、紀伊国屋書店)
マイケル・バイアム『武器の歴史図鑑』(2005年、あすなろ書房)
磯淵猛『二人の紅茶王――リプトンとトワイニングと…』(2000年、筑摩書房)
西田雅嗣『図説建築の歴史――西洋・日本・近代』(2003年、学芸出版社)
『世界史B用語集』(2003年、山川出版社)
みなさまの上にいつも光がさしますように。
※おまけ小話集「ヒベルニアのおまけ」を不定期連載中です。おひまな時に・・・!
※スピンオフ?の「オレンジ・トマト戦争」をアップしました。こちらも、おひまな時に・・・!