創世の前の破壊
【プロローグ】
西暦2126年現在、FDVR-MMO-RPG「Full Dive Virtual Reality Massively Multiplayer Online Role-Playing Game」RagnarokOnline
というゲームが発売され、ちょうど二年が経つ
フルダイブ型VR、通称FDVRそれは
味覚を除いた全ての五感をゲームの中で再現した、現代における最高峰のゲーム機だった
そんな長年の技術の集大成である
ゲーム機が登場しても、依然変わらずゲーム業界は長い間低迷していた
しかし、日本のゲーム二大企業が低迷したゲーム業界に乾坤一擲の衝撃を与えるべく販売を開始したゲーム、ラグナロクオンラインの販売が決定した
だが、高額という理由で極小数の人間にしか手に取られなかった
そんなフルダイブ型VRゲーム機を採用したゲームの告知にほとんどの人間が気にも止めていなかった
しかし、ラグナロクオンライン販売の告知同じタイミングに、同企業からラグナロクオンライン専用型のフルダイブ型VRゲーム機を販売する事が明かされた
通常のフルダイブ型VRゲーム機とは比較にならない程、安価に設定されており
人が興味を唆られる最大限の企業努力が見て取れた
製作陣の様々な努力の甲斐もあり
それまで、世界で1番売れたゲームとして記録されていたゲームの販売数を、たった1年で大きく塗り変え
新たに世界で1番売れたゲームとして
世界に名前が刻まれた
なぜそこまで人気だったのか
それは、ゲームのテーマと圧倒的な自由度の高さ、予測不能なシナリオにあった
このゲームの舞台は、かつておこったとされた神話の物語を舞台に、そこにいるプレイヤーだけで世界の命運を決めて考えながらひとつの世界として、種族として繁栄していくという物だった
プレイヤーは、人間・ドワーフ・エルフから元来、敵NPCモンスターとして出てくるような種族まで、好きな種族から選び
一人一人が好きな事に没頭できるゲームだった
最後になぜ予測不能なストーリーと呼ばれているのか
それは、ラグナロクオンラインではシナリオの作成にAIが使用されているからだった
AIは約100年前に表舞台に姿を表してから、すぐに人間の生活を支えるものとなり
現代に至っては皮肉な事に
人間支える1面と人間を苦しめる1面を
持ってしまった
AIの進化により
様々な技術は、大躍進を果たしたが
それは、地球上の殆どの人間を取り残しながら、技術だけが進歩してしまった裏返しだった
フルダイブ型ゲーム機が
ほとんどの人の手に取られなかった
理由の一つでもある
企業のAI採用による結果は
失業者と無職の大量発生であった
まともな働き口も無かった人々は
高額なゲーム機など買えるような
現状では無かったのだ
人が安易に手が届く範囲に
ラグナロクオンラインと、その専用型のゲーム機が並べられた事により
多くの人間が期待や好奇心を抱き
ゲームを手に取った
その中には、辛い現実から逃げる為にラグナロクオンラインを遊ぶ人々も少なくは無かった
他の企業と同じようにAIを採用していたラグナロクオンラインだが
他の企業とは違う点は、ラグナロクオンラインはAIと、かつて時代に名を残した有名なゲーム製作陣の協力の元開発された事だった
AIでは気づけない、人のロマンや小さなこだわりといった曖昧なものを
ゲーム製作陣が作り、
マンネリ化したゲームシナリオを現代における技術の集大成であるAIが担う事により
集客に大成功にしたというものだった
そんなラグナロクオンラインの
シナリオには分けて3つのものが存在する
・世界のシナリオ
・種族のシナリオ
・個人のシナリオ
世界のシナリオはその名の通り
世界の命運をプレイヤー達自身で決め
いつまでも反映し続けるというものだった
そして、世界のシナリオには、他のシナリオには無い要素が存在する
それは、天災と呼ばれる
世界を終末に導くという明確な目的をもった悪意だった
その姿形は様々で、巨大なモンスター、大量のモンスター、蔓延するウイルス、
訪れる飢饉、天変地異が代表例だった
しかし、巨大な1つの悪に対するプレイヤー達の団結力は凄まじく、直前まで争っていた種族間ですら協力し合い乗り越えようとしていた。
天災という要素、もしくは天災を退けるべく今までの諍いを忘れて団結する魅力に釣られて、とめどなく新規プレイヤーが集まってくる程だった
次に、種族のシナリオは
種族間で様々な方法を模索し選ばれた
種族の代表である、王を据えて
政治・貿易・戦争などの要素を活かし
どの種族よりも繁栄していこうというものだった
このゲームは凄いところは
無能な王は革命を起こされ、引きずり下ろされ、有能な王は多くの民から支持され存続し続けるというものだ
それは、一部のプレイヤーにとっては夢見心地なゲームの中で密かに上流階級の気分を味わえるという事だった
そして何故、どの種族よりも繁栄しようとするのか
それは、システムとして、定期的に種族がどれだけ繁栄したかランキング形式でTOP3のみ表彰され、表彰された種族はそこから一定期間恩恵得られるという要素が1番大きいとされている
最後に個人のシナリオだ
世界に暮らす一人一人の選択が織り成すシナリオ、それは1人という単位で見れば
世界や日常を大きく変えるに到底至らない物だろう
しかし、
種族のシナリオで大きなイベントを引き起こすのも、世界のシナリオで天災に立ち向かう為、農民であっても誰1人欠けては行けないのも
一人一人のシナリオが無意識のうちに人に影響を与えているからであった
【EP1 創世の前の破壊】
ラグナロクオンラインの発売から1年半後、シークレットコードと呼ばれる特別な特典の抽選会が行われた
世界最大級の抽選会が終わり
当選者が決まってから数ヶ月しても
新しく名を轟かせるようなプレイヤーは現れなかった
大盛り上がりを見せた抽選会も
誰が当たったか分からない状態が続くと
静かに元のゲームの雰囲気に戻っていた
なぜ、新たに名を上げるようなプレイヤーが現れなかったのか
それは、当選者とその特典の内容によるものだった
抽選会の当選者決定から数日後
一人暮らしのとある男の家に手紙が届いた
「今の時代に手紙を? しかも俺宛に?」
受取人:小林ようすけ様
差出人:ラグナロクオンライン製作陣
「ラグナロクオンライン公式からの俺個人宛の手紙!? 何の手紙なんだ」
恐る恐る手紙を開けていく
ようすけ、そこに書かれていたのは
驚愕する内容だった
「シークレットコードとその他特典の贈呈!? ま、マジでか!? マジですか!? これ夢じゃないよな...」
ようすけは自分を力いっぱいビンタしたが、夢から覚める感覚はなく
ただビンタの痛みだけが残った
「夢じゃないんだ...マジでありがとう神様!!!今までボロクソ言ってすみませんでした...」
ようすけは早速シークレットコードと
その他の特典のコードを入力し
ゲームを始める
漆黒の森の中を歩くひとつの影と
その影に着いて回る、凄く小さいたくさんの黒いモヤのようなモンスターがいた
「聞いてなーい!!! なんで、データ上書きしてるんだ! まぁ根暗だったから常にぼっちだったし? ゲームセンスもなかったから、ずっと初心者みたいな扱い受けてたから
害は無いっちゃ無いんだろうけど!?」
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ようすけは聞いてくれる相手のいない愚痴を大声で
まるで世界に聞いてもらうかのように大声で喋り始めた
ステータスを確認した
「こんな大層なアバターどうしろっていうんだ...」
〘種族 悪魔〙
〘系統 該当なし〙
〘称号 始祖の悪魔〙
〘繰り返す災禍〙
今まで登場した天災や、ネームドモンスターが冠していた【称号】を所持する事ができ
配下がその【称号】に相応しい状態になると自動的に拝命され、ステータスが永続的に大幅に上昇する
〘最後の天災〙
【種族 悪魔】を除いた全ての対象から敵対行動を取られると、ステータスが超大幅に上昇する
〘滅びぬ悪〙
1日に1度だけHPが0になった時、 一定時間ダメージを無効化できる
その間、一定以上のHPを持った生命を殺害すると
HPが最大まで回復し少しの時間無敵になる
「こんなラスボスみたいなアバター俺には荷が重すぎるってぇ...
俺がこの【悪魔】の種族の王様って事でしょ? 無理だよぉ...」
何千回繰り返した愚痴と自問自答を
吐きながら移動していると
他の大陸へ向かうワープゲートが見えてきた
シークレットコードのその他の特典として一生困らないであろう量のアイテムや食料品を貰えたが
黒いモヤの形をしたモンスターが約半年でほとんど平らげてしまっていた
約半年、他に誰もいない大陸で
黒いモヤのようなモンスターと共にしていたようすけは、そのモンスター達に対して親のような気持ちをすら抱いていた
「ずっと前から思ってたけどこの子達食べ過ぎじゃない!? そうよね!食べ盛りだから仕方ないよね! 早く大きくなってお父さんを楽させてちょうだい!?」
食料事情が困る未来が見えた為
今日はようすけがこのアバターになってから
初めて【人間界 ミッドガルズ】に向かう日だった
ようすけが今いる場所は
【魔界】と呼ばれる、現状はようすけにしか行き来する事が出来ない
隠し要素的な世界だった
種族の始祖として、ようすけには
大陸の名前を変更する権利も与えられたが、ネーミングセンスの無さから
放置をしていた
そうこうしていると
【人間界 ミッドガルズ】へ続くワープゲートに辿り着いた
ようすけは自分の正体をバレないようにする為、装備品【隠蔽のフード】を身に纏いワープゲートに入ろうとすると
黒いモヤのようなモンスター達が着いてこようとした
ようすけは、子供を危ない場所に連れて行きたくない親のような気持ちに駆られ、置いていこうとするが実体を持たないモンスター達を留めるのは不可能に近かった
仕方なく、服の中にモンスター達入れて
ワープゲートをくぐった
通常、他の世界へ行くためには
大々的に設置されたワープゲート同士を通って移動する事になる
しかし、【魔界】は現状、隠し要素的な存在の為か【魔界】→【他世界】に行こうとすると、住民が不在且つ、
その時間誰からも認識されていない家のドアから街中に出るようになっていた
【他世界】→【魔界】に戻る時は
同じ要領で、該当する家のドアがようすけにだけ認知出来るようになり
そこから【魔界】へ帰るといったものだった
ようすけが、ワープゲートをくぐり抜けると、民家の路地裏のようなドアから出た
直後、ようすけは異様な空気を感じ取った
人間界独特な賑やかさが何ひとつとして感じれなく、継続的に何かが焦げている匂いがした
「ミッドガルズの雰囲気ってこんなだったっけ なんか物凄く焦げ臭いし無性に暑い」
異変を感じ路地裏から表通りへ急いで出ると、ほとんどの家屋が炎上していた
ようすけは都市の中心から大きく離れた家屋にワープした為、幸い炎に巻き込まれる事は無かった
辺りを見渡すと人の焼死体のような物がゴロゴロと転がっていた
このゲームでは、グロが苦手な人や虫が苦手な人は設定で閲覧回避をすることが出来たが、ようすけはあまり気にならない体質だった為に直視する事になる
「さすがに見てて気分が良いものでは無いな」
「ん...?なんだあれ」
ようすけの視界に信じられない光景が映った
それは、【第1神界 アスガルド】に
山の麓から、山頂を見上げる構図になってさえいても、その山全体よりも大きいと分かる程の炎を身に纏った巨人が暴れていた
そしてゲーム画面頭上にボスのHPバーのようなものが表示された
【原初の炎 スルト 】
「おいおいマジか...天災の告知なんて無かったぞ!?」
【人間界】と【第1神界】の位置関係は【人間界 ミッドガルズ】を地面に接している家屋の街並みだとしたら、
高層ビルの最上階が【神界 アスガルド】だった
暴れている様子を見ると
突き刺していたその巨体と同等の大きさの剣を手に取り
剣先を頭上に掲げて叫び始めた
「我を前に震えろ世界よ、我はお前達の罪」
直後、ようすけのステータスが異常なほど上昇し始めた
「なんで今、ステータスが上がり始めたんだ...レベルアップ?いや違うモンスターを倒していない今経験値が入る道理がない...それにこのアバターのレベルで早々レベルは上がらない...ならなぜ...」
「...!!! ワープゲート検索!!!」
ようすけは何故ステータスが上昇したのか、心当たりがあった
それはパッシブスキルによるステータスの超大幅な上昇だった
【魔界】に帰るためのワープゲート(ドア)を、家庭にある全ての建物を透視するように認識できた瞬間
ものすごい風圧が巻き起こった
さっきの巨人に目をやると
巨大な剣を地面に突き誘うとしてた
剣を突き刺す過程に空気を巨大な剣が押すことで、物凄い風圧を生んでいた
もうそこからは振り返ることなく
ようすけはワープゲートへ走り出した
あと数十歩のところで
凄まじい地響きと衝撃
そして、炎によるダメージが
ようすけを襲った
このゲームでは、リアルさを追求し
一定のダメージや、状態異常を受けると
移動速度低下や、視界の明暗などを引き起こしてしまう
普通ならば、原初の炎によるダメージを追えば即死だったが、
特別なアバターがその身を守りワープゲート手前まで這いながらだが辿り着いた
ようすけはワープゲートのドアを開けると真っ先に、服の中に隠していたモンスター達をワープゲートの向こうへ押しやり
最後にようすけ自身も這いながらワープゲートへ手を伸ばした瞬間
画面が真っ暗になり、通知が表示された
【天災によりあなたのサーバーは終末を迎えました 世界の再生成まで23:59:59】
ようすけは絶望と喪失感に駆られていた
「お、おれの...シークレットコードが...」
「ていうか...天災の出現予告無かったんだけど、どゆこと!?」
通常、天災は急に出現することは無く
必ずそのサーバーに予告が通知され
プレイヤー達はその間に備えることが出来ていた
この疑念を晴らすべくSNSを見漁ろうとすると、ようすけの視界の端に現在時刻が映った
時刻は深夜0時を過ぎようとしていた
ようすけは更に顔がまっさらになり
家の事や風呂すらも入っていない事に焦りを抱え、立ち上がり取り掛かろうとすると
ピコンッという音と共に
ラグナロクオンラインの
手紙のマークとプレゼントボックスのマークに赤い文字で+1と表示された
「もしかして!? 補填ですか神運営様!」
ようすけは再びゲームに戻ろうとしたが
正気に戻り、優先順位を考える己を律して動き出した
「明日金曜だし、明日見よう!そうしよう! やべぇ明日も仕事なのに急げぇぇぇ」
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ようすけが帰りに空を自在に走るような
電車の進化型であるエアトレインで
参加していたサーバーのコミュニティを閲覧していたら、様々な内容が飛び交っていた
「なにあの天災...今までのヤツと比肩にならないくらい強くない!?」
「私達の世界繁栄最長記録がぁ...」
「トッププレイヤーですら瞬殺されてたの見たんだけど...本気出し過ぎじゃない?」
「私の可愛い可愛い牛や鶏がぁぁぁ...」
ようすけが1番に疑問に思っている
予告無しの出現に関して言及している人は誰一人として居なかった
そうこうしていると
自宅の最寄りの駅に着いた
「よぉし今日はやらなきゃ行けない事、全部終わらせたし死ぬ程ゲームやるぞ
あ、ちがう...世界の再生成まで待たなきゃ行けないんだ」
「あと1時間何するかぁ〜、 あ、そうだ なんか通知来てたよな見てみよ」
ようすけがラグナロクオンラインを起動すると恐ろしい画面を目にする
手紙のマークとプレゼントボックスのマークが+999になっていたのだ
「えっ...どゆこと...おれ知らぬ間に違反行為でもしてた? それとも、無意識に外部ツールが使用されてたとか!?」
異様な光景に焦りを禁じ得ない
ようすけだったが、少し間を空けて
結論を出した
「見なかったことにしよう! 金も知識も友達も無い俺に外部ツールなんて使える訳ないし...人との関わりを全く持ってこれなかった俺に違反行為を出来る道理もないんだ!」
ようすけは清廉潔白な身である事を独り言で喋っているだけなのに悲しさだけが込み上げてきて、 テンションがおかしくなってしまった
「...なんでこんな悲しい気持ちを二日連続で味合わないと行けないんだろHAHA...!!!」
「あ、でも プレゼントだけは受け取っとこ〜」
ようすけがプレゼントを受け取ると
ゲーム画面に通知が表示される
それは運営から直々の謝罪文だった
【こちらの不手際で予告無しの天災イベントとなってしまい申し訳ございません
お詫びとして新サーバーにおける大量のアイテムの贈呈と、シークレットコードのアバター復旧をお約束いたします
復旧に差し当たり、 本人確認の為少々お時間を頂きたく存じます。
もし良ければ【OK】のスペースを押してください】
「良かったぁ...あのアバターが戻ってくるだけでも最高なのに、 その上また大量のアイテムくれるとか太っ腹過ぎますよ!!!」
ようすけは通知に書いてある順番に操作を行っていき、シークレットコードで入手したアバターの復旧手続きに取り掛かった
復旧手続きも終盤に差し掛かり
後は最後に【OK】のスペースを押せば良い、というだけの時に
ビッービッーというアラート音と
大量の警告文が画面に表示された
【警告:ただちに現在行っている操作を辞め、ゲームの再起動を行ってください】
【警告:ただちに現在行っている操作を辞め、ゲームの再起動を行ってください】
【警告:ただちに現在行っている操作を辞め、ゲームの再起動を行ってください】
【警告:ただちに現在行っている操作を辞め、ゲームの再起動を行ってください】
【警告:ただちに現在行っている操作を辞め、ゲームの再起動を行ってください】
ようすけは怖くなり
ゲームを指示に従うべく、
再起動ボタンを押そうとした瞬間
再起動ボタンとちょうど重なるように
警告が表示される前の【OK】という文字が出て来て
必然的に俺は警告されていた行動を無視して、アバターの復旧手続きを完遂してしまった
【アバターの復旧手続きが完了しました
必要なデータを確保する為、以前のサーバーに小林ようすけ様を転送します
なお、必要なデータを確保するまで
データの品質上の観点からゲームからログアウトする事は出来ません
その間、お身体の方は御心配なく
データ確保に集中できるよう
我々共の信頼厚い業者を手配しております
最後に、未知の世界になる事と存じますので、ささやかながら小林ようすけ様のゲームプレイのサポートを出来る者を手配しておきましたのでご活用ください。
それではご武運をお祈り申し上げます
by ラグナロクオンライン製作人】
「いやいやいや!? さすがにそれって何かの犯罪だろぉぉぉ!!!」
理不尽な出来事に叫びながら文句を言っていると、凄まじい眠気に襲われ
視界が真っ暗になってしまった
------------------
視界が真っ暗な中
少しずつ光が目に入ってきた
ようすけは今置かれた状況を
確認するべく頭を横に振ろうとしたが
なにかで身体全体が固定されているかのように動かせず、何故か声も出せなかった
(ここはどこだ...? それに、なんで俺は拘束されてるんだ...本当にゲームの世界に来てしまったのか?)
目だけを動かす範囲で分かる情報は
大きい王城の玉座を
深みのある黒と、少しの赤を使用した装飾で仕上げ、そして白色の柱で建築した部屋に入口であろうかという大きな扉からちょうど、ようすけが居る所あたりまで部屋の中心に敷くような高級感漂う長いカーペット敷かれていた
(すごぉ...なんかまさにラスボス部屋って感じだな...、封印していた厨二心くすぐるような部屋だ!!)
ようすけはアドレナリンの影響か
それとも他の何かが作用していてか
本人も気づいていない所で
何かが恐怖心や不安な心を上回っていてパニックにならずに済んでいた
そして、限られた視界の中
大きな丸机を囲む7人の陰が見えた
(良かった...!! 人がもう安心だ!! でもどうやって気づいて貰おうかなぁ)
ようすけが身体を拘束している物が邪魔だなぁって思っていると、目の前にウィンドウが表現された
【神々により強力な封印が施されています、アイテムを使用して封印を解除しますか?】
願ってもない提案に即座に【はい】と押すと、縛っていた何かが溶けるような音がし始め
その影響からか煙が舞い始めた
全ての拘束具が溶けて身体が自由になると、両手足が後ろに拘束されていて尚且つ、頭だけが前に固定されていた為
頭から倒れ込んでしまった
自然と痛みは無かった
倒れた体を起き上がらせ
(そうだ! さっきの人達にここがどこか聞いてみよ)
そんな事を考えていると、拘束具が溶けた事で生じた煙が消え始めていた
ようすけは先程、人が座っていた豪華なテーブルとイスに目をやったが
さっきまで居た人影は誰一人見えなくなっていた
探すように辺りを見渡していると
霧が完全に晴れ、ほんの少しの階段を降りた先に
7人が跪いて、ようすけの方を向いていた
後ろに誰か偉い人でも居るのかと
ようすけは恐る恐る振り返ったが
誰も居らず、ただただ不思議に思っていた
その時
静寂に包まれていた空間で
ほかの六人より1人分、前に出ていた
女性が顔を上げて謝罪し始めた
「王のご帰還、心よりお待ちしておりました。
我々の力不足で、長い年月待たせてしまっただけでなく、御自らに封印を解かせるような真似をさせてしまい申し訳ございません。」
(え、え!? これもしかしてしなくても俺に言ってるよね!? この人達誰よ! 初対面なんですが!? え!? ですよね!?)
(と、とにかく人違いであの鋭利な爪で引き裂かれないように話を合わせないと!!!
でもどうやって、人と話した事ろくに無いんだって!!! そうだここはもう恥を捨ててラスボスムーブで行こう!
俺はこの人達のボス、俺はこの人達のボス!!!)
「良い、 お前達が無事でなによりだ
して、 ここはどこで、お前達はだれだ記憶が抜けているが、 お前達が私にとって大切な存在である事はこの体の躍動が教えてくれている」
ようすけが許す素振りを見せると、
顔をあげ、明るい表情を見せる。
漆黒の帽子とドレスに身を包み
紺色のような髪は後ろに丸めるように纏められ、前髪で左目は隠れていた
琥珀のような虹彩と、爬虫類のように縦に割れた瞳孔が向けられていた。
が、しかし彼はドレスの隙間から覗く生足やはだけた胸元に気を取られ視線に気づかないようだった。
黒いドレスの女性は頬を少し赤らめながら恍惚とした表情で答えた
「ここは現在、我々が城と呼んでいる場所で悪魔界の中心地でございます。 御身が復活されてから命名出来るように特に名前は設けておりません」
黒いドレスの女性は場所を伝え終わり
どこか好奇心に満ちた表示で己の身分を明かそうしている最中、直後大きなドアが勢いよく開いた
「次に私共の事ですが、私は七つの大罪のっ!?」
すると、肌の上に白いローブだけに身を包んだ女性がこちらにスライドするかのように近付き話しかけてきた
「お待ちしておりましたマイマスター
予定より5000年遅いご到着ですね
おかげで私に存在するはずのない母性をこの城の子達に感じる気さえします」
ようすけは機械的な口調とは思えない程、恍惚した表情と発言に唖然としていると、ようすけの予想を上回る爆弾発言がさらに飛び込んできた
ようすけが呆気に取られて硬直していると、 白いローブの女性が続けるように口を開く
「マイマスター呼びは慣れませんか?
では、改めて
大変長い間お待ちしておりました
小林ようすけ様、 いえ旦那様♡と
お呼びした方がよろしいですか?♡」
直後、ようすけの前に並んでる7人の内の幾人から凄まじい殺気が放たれた
複雑な感情が混ざった目線を、ようすけは向けられながら罪を問われるかのような雰囲気になってしまう
さっきまで微笑みを絶やさなかった黒いドレスの女性が涙を浮かべそうになりながら焦る様にようすけに問を投げかけ続けた
「どういう事ですか!? 始祖様にお名前があったのですか!? それに代行者様とそんな関係だったのですか!?」
(え!? は!? いやいやいや!!! ちょっと待てえええぇぇぇ!!!)




