ヘルハウンド令嬢〜それでは皆様、法廷でお会いいたしましょう!
宜しくお願いします。
舞踏会の喧騒から少し離れた、侯爵家の別館サロン。給仕たちが音もなく行き交い、夜の休息を楽しむ数組の客たちから控えめな笑い声が漏れる。そんな秘密倶楽部のような室内の、ひとつ奥まった場所に置かれたベルベットのソファーとアームチェアに六人の令嬢たちが腰を下ろしていた。
六人目の令嬢がエスコートされて現れた時、先に座っていた五人の令嬢の間で挨拶もそこそこに席順の譲り合いが起こったようだが、彼女は寧ろ末席のほうが都合がいいと断った。色々、しがらみというものは面倒くさい。
そうして、出来上がったのは。笑い声を響かせるわけもない、身振り手振りが大仰でもない。ただワイングラスを優雅に傾けているだけなのに鮮やかで美しく、そこに居るだけで華やいで見えるうら若き乙女たちの集団だ。
令嬢たちの中心人物であり、今回の舞踏会の主催であるヴァレンティン家の令嬢。マーガレット・ヴァレンティンが、漸く友人たちと語り合えると跳ねる心を抑えながら口を開く。特に今宵は、プロセルピナ家の姫君たるマケイラが席に着いてくれている。彼女から見たあれこれを語ってもらえる機会などそうそうない。この巡り合わせに、胸が震えないはずなどなかった。
「皆さん、今年の通商条例改正で導入された第三国経由の再輸出禁止令について、どうお考え? 特に、為替管理法との兼ね合いが気になっているのだけれど」
彼女の声に、来たわね。と、言わんばかりに黒いレースの扇をゆっくりとはためかせたフィオレット・ド・モンフォール侯爵令嬢が淡い金髪を優しく揺らして微笑んだ。彼女もまた、マケイラが現れたことで熱を帯びた一人だ。
「ええ、わたくしも気になっていましたわ。元々は対東方貿易圏への締め付けが目的でしたけれど、結果として我が国の貿易商会が被る不利益が大きすぎます。財務院があえて含みのある条文を残したのは、官吏の匙加減ひとつで物事を運ぶためではないかしら。第十七条第四項の相当の理由がある場合……この一筆で、いかようにも運用できてしまいますもの」
恣意的解釈を恐れるフィオレットを受け、金融と貿易に強い家系のイザベラ・ローレンシア伯爵令嬢が、グラスの縁を指でなぞりながら現実的に補足する。彼女は、マーガレットたちほど公爵令嬢に対して意気込みはなかった。とはいえ、この場が益になるとは捉えている。
「わたくしの家の南方港湾権益から見ると、単なる保護主義では済まない気がするわ。実際、昨年の通商年報を見ても、再輸出のルートが閉ざされた影響で、特定商社の損失が顕著なの。もしかしたら、特定の大資本にのみ便宜を図り、実質的な産業育成に転じさせる計画なのかもしれないわ」
彼女の家の爵位は伯爵と、侯爵に比べると低い。しかし伯爵だの侯爵だのは、ホルダー称号たる公爵以外、あくまで領地の広さ、大きさを表す記号に過ぎない。交流するに重要とされるのは家格であり、生きる姿勢だ。
今、彼女たちが話している内容は、単なる金の話ではなくそう遠くない先に、家門の存続がかかった死活問題となるだろう懸念の話である。平民たちが財を成し、貴族の足元が危うくなった今、国を活かすために法が厳しくなれば締め付けられるのは脇の甘い諸侯だ。そうなる前に情報を共有し、一策を講じておくことができれば、後々大きな力になる。
イザベラの見立てに、法学に明るいセレスティーヌ・ド・アルジャン伯爵令嬢が、わずかに目を細めて身を乗り出した。
「そうなると、面白いわね。ヘルマン商会対王立税関事件の補足意見を覚えていらして? 通商の自由は国家の安寧に服する。と、いう一文。あれは明らかに、来るべき家督相続税法改正への布石と思えてくる」
ちらりとマケイラを見たセレスティーヌであったが、穏やかな笑みを浮かべている彼女を捉えると視線をイザベラに戻し、順にマーガレットたちを巡りながら自信を持って続ける。
「大規模な資産家が海外の拠点や支店を通じて資産の分散を図った場合、通商の規制と絡めて公衆の安寧をうたうことで、課税の根拠を強化できる……。当局はそう画策しているのではないかしら」
マーガレットは小さく頷き、グラスを軽く回す。紅玉色の水面が揺れた。
「まさに、かしら。生前贈与の合算期間が延長される動きとも連動しているようにも思える……大事なところね」
令嬢たちは揃って首肯する。
「富の偏在の是正を名目に、古き家々の財を国家の管理下に置く。なかでも、貿易や金融に根を張る家系を狙い撃ちにする気だと思えるわ。為替規則による間接的な資産取得への規制議論も、時を同じくしているのは偶然とは判断し難い」
大きなうねりが来ようとしている。それだけは分かるが、その得体のしれない流れをどう乗り越えるのか。
国は貴族たちに何を求め、平民たちからは何を巻き上げようとしているのか。
それまで聞き役に徹していたヴィーヴィアナ・フォレスト子爵令嬢が、ゆっくりと口を開いた。落ち着いたダークブラウンの髪が、淡い青のドレスの明るさを引き締め、凛とした強さと気品を感じさせる。
「……皆さんの話を聞いていて、私、少し怖くなりました。家督相続税の改正、これは条件を緩めて継ぎやすくしてあげましょう。という一見すると親切な誘いですよね。でも、本当にそうなのかと……結局のところ、国が認める形に資産を整えない限り、半銅貨一枚継がせないという縛りなのではありませんか? 継ぎやすくする代わりに、家の中身をすべて国の手のひらに乗せよという。……このような形、私には救済というより、家門の自由を奪うための壮大な仕掛けに思えてなりません」
吐息に絡めて疑問を投げるヴィーヴィアナに、彼女同様それまで聞き役に寄っていたマケイラ・デ・プロセルピナが、静かにグラスを置いた。その動きに自然と視線が彼女に集まる。
「ヴィーヴィアナが不信に思うのも無理はないわね。もし為替規則に今以上に踏み込まれれば、資産の動きはすべて当局に捕捉されるでしょう。そうなれば、相続も贈与も……国が認めない限り、半銅貨どころか、四半銅貨すら動かせなくなる。これまでのように、役人との知恵比べの果てに家を守るようなやり方は、通用しなくなるわ」
身に纏う穏やかな空気は崩さぬまま、ヴィーヴィアナの発言を後押しするように付け加えたマケイラに、マーガレットたちはやはりかと溜息に似た吐息を細く吐き出した。
マケイラの顔立ちは、涼やかでどちらかと言うとおとなしそうな印象を与える。けれど、彼女の内面は無害な外面とは真逆の性質をしていた。彼女側から見た法の動き、抜け穴の有無。どれも貴重で稀有な意見だ。
「特に注視すべきは、改……」
更に踏み込んだ話をしようとしたタイミングで、サロンの扉が勢いよく開き人が入ってきた。
幾人かの視線がそちらへ向く。自分との関わりがある人間なら挨拶を。関わりを持ちたい人間なら会話の糸口を得に向かうために。つい、確認してしまうのもそういった階層に生まれ出た人間の性だ。
だが、視線は向けても誰一人動かない。入ってきた人間は、彼らの要求を満たす相手ではなかったようだ。
「おい、ここなら静かだろう」
入ってきたのは、モンサリュ侯爵の次男ティボー・ド・モンサリュだった。取り巻きのルイ・ベルナールとガストン・モネを引き連れている。彼らはともに伯爵家の次男と三男であった。
サロンを軽く見回したティボーは、思ったより室内に人がいたことに驚きながらも、わざとらしく芝居がかった口調で先客たちに声を掛ける。
「おっと、これは失礼。こんなところに皆さんが集まっていたとは。我々が来たからには、もう退屈はさせませんよ」
自分たちが現れれば誰もが注目し、場が華やぐのが当然だと信じて疑わない姿に、室内で寛いでいた年嵩の貴族たちの幾人かが眉をひそめ、適切な敬意を払わない無作法さに不快感をあらわにする。
しかし、その様な彼にとっての不都合はティボーの目には映らなかった。こちらに瞳が向いている。それがすべてだ。彼の中で自尊心は満たされ、浸った優越感から唇が歪む。
「おい、ティボー。マーガレットたちが居るぞ」
ティボーの斜め後ろに引っ付いていたルイが、奥にいるマーガレットたちに気付いてティボーの耳元で囁いた。ティボーはサロンを軽く見回し、ルイが言葉で指し示す方向にマーガレットを見つけた。が、しかし。一番奥の席に座っている令嬢たちは、彼らを一顧だにしていなかった。
「……」
ティボーの整えられた眉が忌々しげに寄る。
マーガレット・ヴァレンティンとその一派。
侯爵家のティボーを鼻にもかけない忌々しい婦子どもだ。特に、彼女たちの中心に座るマーガレット・ヴァレンティンは互いの母親が従姉妹同士と親類関係にあるにも関わらず、彼女の自分への扱いは何処か不当を感じるものだった。家格も遜色はなく、ティボーを無碍に扱っていい立場にはないはずなのに、何やら線を引かれたような扱いの違いを感じるのだ。
「いくぞ」
顎をしゃくって一歩を踏み出すティボーに続き、ニヤついたルイとガストンもマーガレットたちの元へ向かう。
「久しぶりだな、マーガレット。ホールに姿が見えないと思ったら、こんなところに引っ込んでいたのか」
マーガレットは十九、ティボーは十八と年の頃は似ているが、人としての成長具合は随分と離れてしまったようだ。気安さと無礼をはき違えたティボーに彼女たちからの反応はない。何ゆえの線引きか。理解していない彼は理解していないがゆえに無駄に傷付き、心を痛める。
「……」
先ほど、ティボーの無駄に派手な登場で話を遮られたマケイラに変わり、話し出していたセレスティーヌもティボーたちが近づいてくることに気がつくと口を噤んでしまった。
今、此処にあるのは不自然な間と奇妙な沈黙だけだ。
「……っ、何やら商売人さながらの卑しい数字の話をしていたようだが。下官がやるような算盤弾きに興じるとは、ヴァレンティン家の教育も、いささか実務的に過ぎるのではないか?」
ティボーは、自分たちを無視し続ける令嬢たちの空気に苛立ちを覚え、貴族たるものは。と、価値観の再確認を促す。が、何を言っても上滑りするだけで、令嬢たちは扇の陰で密やかな目配せを交わすばかりだ。
場に漂う冷淡な雰囲気は変わらず、彼を、彼らを異物として受け入れようとしない。
「どうせなら、淑女に相応しい睦まじい語らいに興じる方が、よほど有意義だ」
それでも諦めず、令嬢たちの手元のグラスを見て鼻で軽く笑い言葉を重ねるティボーだが、背後に控えるルイとガストンからは下卑た笑いは引っ込みつつあった。彼らの方が生存戦略には長けているのかもしれない。
「……ティボー。今わたくしたちが語り合っていたのは、国や家門を維持するための極めて重要な義務の話ですわ」
マーガレットは、貴婦人の見本のような仕草で手にしていたグラスをテーブルに置き、ティボーの視線を正面から受け止める。彼女の瞳が湛えるのは怒りでも呆れでもなく、ただ、ひどく退屈なものを見るような、透き通った冷たさだけだった。
「それを雑多な言葉の羅列にしか聞こえなかったのだとしたら……」
吐息を漏らすように言葉をきり、くすりと笑みを漏らす。
「それは、わたくしたちの言葉が足りなかったのか。それとも、貴方様のご理解の範疇の外であったのか……どちらでしょうね」
「な……」
無知を無知と嘲るよりも羞恥を深く抉ってくる問いかけに、ティボーの顔が赤く染まる。
「どうか、わたくしたちのことなど。お気になさらなくて。このテーブルは満席。ですが、席は他にも空いておりますわ。お好きに寛がれて」
言い返そうにも、確かに彼女たちの話題に割って入ろうとしたのは自分たちなのだ。ただの挨拶とちょっとした嫌味をぶつけるつもりが、皮肉で返されて歯噛みする。
「ふん、相変わらず可愛げのない」
助け舟を出したくても、これは分が悪いとティボーの後ろでルイは首を振り、ガストンも同調して肩をすくめる。取り巻きは取り巻きなりの処世術が身についているようだ。
「おい、ティボー。それくらいに」
親玉となるティボーの傷心ゲージがこれ以上増えぬうちにと撤退を選択し、彼の方に手を置こうと腕を上げた瞬間。子分の心親分知らずでティボーは一歩を踏み出してしまっていた。ティボーの肩に触れるはずだったルイの手のひらが宙を掻き、代わりにティボーの手が一人の令嬢の肩に置かれる。
「なあ、君は先ほどからひと言も話してなさそうに見える。こんな堅苦しい話、好きじゃないのだろう?」
マケイラが話してなさそうに見えたのは、彼女が自分のターンとばかりに話し出そうとした瞬間、ティボーが扉を開けて入ってきたからだ。出鼻を挫かれたような形となり黙ってしまった。その後、セレスティーヌが話しだしたので彼女に譲った。まだまだ夜は長い。いくらでも話し尽くせると思ったから気にもしなかった。それだけだ。随分と的外れなことを言ってくる男に、マケイラは肩に置かれた手に視線を向けることなく口を開いた。
「ティボー・ド・モンサリュ侯爵子息。今すぐその手を退けなさい」
「は……?」
彼女の低く冷たい拒絶の響きがある声音に、ティボーの手がほんの一瞬だけ浮く。
マーガレットたち一派のなかにあって、彼女はただ静かに微笑んでいるだけのように見えた。賢く振る舞う令嬢たちに、おとなしい性格をしている彼女が付き合いで巻き込まれている。そうティボーには見えていたのに。
「な、何を……」
扇を動かす手を止めたマーガレットは、又従兄弟に同情に近い眼差しを向けながら、そっとその扇で顔の半分を隠す。「お気の毒」。扇の影でそう動いた唇は、誰も目にすることは無かった。
「初見の令嬢に対し、同意なく身体的接触を試みる行為は、我が国の慣習法における人格権の侵害にあたります。今すぐ、手を退けなさい。ティボー・ド・モンサリュ」
顔を上げたマケイラの瞳がティボーを捉える。
「っ??」
そこには、先ほどまでの穏やかな令嬢の面影は無かった。まるで、這い寄る混沌の如くな虚無の瞳。
「た、たかが肩に手を置いたくらいで……!」
ティボーの言葉に、マーガレット達のみならず、彼の声が届いた範囲の人々がティボーに冷ややかな視線を注ぎ。次に彼が手を置いている相手が誰か、気付いて目を見開く。
「た・か・が?」
低く、低く、地這うような声。マケイラの瞳からは光が消え、代わりに地獄の釜の蓋が開こうとしていた。
「な、なんだよ」
膝の上に置いていた扇を握り直したマケイラは、肩に乗った塵芥を払うようにティボーの手を扇の先ではたいた。
「っ、あっ……!」
あくまで肩に乗った塵屑を払う程度の強さと仕草。しかし、そのような扱いを受けたことがなかったティボーは、心の衝撃から痛みがあるわけでもない指を庇いながら、たたらを踏むように後ろへと下がった。その顔は信じられないと驚愕に彩られている。
しかし、そんなティボーの驚きなど、マケイラには興味の対象外だ。彼女はただ、自身の尊厳と、彼女の家門を軽々しく扱った者への報復を粛々と執行する。
陽炎が立ち昇るようにユラリと立ち上がったマケイラは、先に首がティボーへと向き、次に肩がついて回り、ぴっちり九十度。直角に身を翻してティボーと正面に向き合った。もはや動きは不気味の谷からやってきたカラクリ人形である。
マケイラが立ち上がったことを受け、マーガレット達令嬢もまた席を立つ。末席がいい。そう述べたマケイラに倣うのが彼女たちの務めだ。
「モンサリュ侯爵家次男ティボー・ド・モンサリュ、貴方は今、私の明確な拒絶の意思を無視し、且つ社会的合意に基づかない身体的接触を強行いたしました。これは我が国の慣習法における人格権の侵害、及び公序良俗に反する不法な威圧に該当します。そればかりか、先ほどのマーガレット様に対する発言は、ヘルシュタイン侯爵家への公然たる名誉毀損、並びに通商に従事する全商会への不当な業務妨害的挑発と見做します。いいですか、貴方のその極まった浅慮からくる短絡的な行動が、あろうことか四つの法的係争事由をまたたく間に成立させてしまいました」
「な、何を急にまくし立ててっ」
「黙りなさい」
パン。
マケイラが手にした扇を手打ち、派手な音を立てる。
「今、話しているのは私です」
この音を立てるのには少しばかりコツがいるのだが、彼女が打ち鳴らした音はティボーを震え上がらせるのに十分な威力があったようだ。
「貴方のその薄っぺらな特権意識が貴方自身にもたらしたものは、ただの自意識ばかりがうず高く、空気が読めず、忠言をそれと気づかない愚か者という無残な現実です。いいですか。侯爵家の威光が無ければ、あなたはただの賠償能力の怪しい無職の次男坊でしかない。貴方の一挙手一投足、吐息ひとつ、瞬きひとつに至るまで。すべてがモンサリュ侯爵家の不名誉になるとお知りなさい。思い上がりも甚だしい。そして、ガストン・モネとルイ・ベルナール。お顔を伏せても無駄ですわ。私の侍女が、貴方方の立ち位置、表情、共謀の有無をすべて書証として記録しております。……ねえ、フェリシア?」
「はい。ティボー様の動悸による胸の震え、並びに直後の明らかな動揺の兆候まで克明に記録済みです」
何処から現れたのか。
いや、最初から居たのだ。最初からそこに。しかし、完全に気配は消え、その容姿さえ風景に同化して見えていなかった。
ティボーにとっては突如として、マケイラらが囲む椅子席の背後から侍女が現れたように見えた。
壁に掛けられた燭台の抑えられた光のもと、何事かを手帳に書き付けていたらしい彼女は瞬き一つせず無表情に手にしていた手帳を閉じる。
「素晴らしいわ。さて、ティボー・ド・モンサリュ。謝罪など不要。そんな安価な言葉で私の汚された肩の価値が補填されるとお思い? 必要なのは、貴方の社会的抹殺と、モンサリュ家が震え上がるほどの経済的制裁、それだけです。……ああ、その口を開く前に忠告しておきますが、次に発する言葉が『女の分際で』なら、さらに差別的言辞による加重処罰を上乗せして差し上げてよ」
「……あ、あ……」
言葉を失い、金魚のように口をパクつかせるティボーの鼻先に、マケイラは冷たく閉じられた扇を突きつけた。
「無意味な音を漏らさないで。話す言葉を持たぬなら、永遠にその口は閉じていなさい」
その日、人類は思……ではなく、ティボーは思い出した。
このどこまでも青く、青く、まるで絵の具の青で塗りつぶされたような瞳を持つ一族の名を。
プロセルピナ公爵家。
この国の王族である。
そして、年嵩から判断するに、その瞳を持つ女性はただ一人。
「マケイラ・デ・プロセルピナ……」
「私の名を軽々しく呼ぶことは許していなくてよ」
「あ、ああああ……そんな……」
マケイラ・デ・プロセルピナ。
法改正により、女性にも王位継承権が認められれば、継承権第五位となるマケイラ王女。
血の薄まりに負けず、王族に継承される氷原の青空を切り抜いて嵌め込んだような作り物めいた青い瞳と、亜麻色の髪を旨とする王家にあって唯一、三代前へと先祖返りした霧に烟る樹氷の如く白く輝く白銀の髪。
まさしく生きる権威の象徴。見紛うことなき唯一無二。
それが、何故見落としたのか。あの白銀に、なぜ結びつかなかったのか。
部屋が暗かったからか。
それもある。
だが、それ以上に。
そう、何より理解し難き。
ティボーの震える目がマーガレットを見た。
何故、王女が末席に座っている。と、その瞳は叫んでいた。
だが、マーガレットがその問いに答えることはない。笑顔も侮蔑も色が消えたように何一つ浮かばない彼女の顔は、旧世代の人間が語る淑女の鑑そのものだろう。そしてそれは、まさしくティボーが望んだ淑女そのもの。
「さて、どうしましょう。私の限られた時間を随分と無駄にした罪過……その贖い」
閉じられていた扇がはらりと広がり、一つ、二つと扇がれる。
見てくれだけは穏やかで優雅な仕草だ。
だが、騙されてはいけない。
今、彼女が何を考えているか、察するのも、また想像するのも恐ろしい。
彼女が怖れられるのは、王家の人間だからではない。そのおとなしそうな顔立ちに反して、小さな口から繰り出される言葉の毒。
地の果てまで追い立て、追いかけ、追い込み、必ず仕留める理不尽な狂気。
人々は畏怖を込めて彼女をこう呼ぶ。
マケイラ・デ・プロセルピナ・エクス・ケルベロス。
冥界の女王の血を引き、地獄の番犬の魂を宿す者。ヘルハウンド令嬢、と――――。
「マケイラ様」
マケイラの斜め後ろに控えていたはずの侍女が、いつの間にか彼女の傍らに近い距離まで間合いを詰めて仕える主の名を呼んだ。
「少し喉をお使いになられたかと」
「そうね」
フェリシアを流し見るように僅かに顔を傾けたマケイラの瞳がフェリシアの後ろに控える給仕を視界に入れた。
「こちら、熱を冷ましたカモミールでございます」
フェリシアが促せば、彼女の後ろに控えていたヘルシュタイン侯爵家の給仕が音もなく進み出て、小ぶりのカップが乗せられた銀のトレイをそっと差し出す。
だからお前はどこから来た?! 第二弾であるが気にしたら負けだ。
場所移動に気配を感じさせず、突如として現れたように見えたフェリシアと、その後ろからこれまた突如として湧いて出たように思えたヘルシュタイン侯爵家の給仕。否。ヘルシュタイン侯爵家で行われている夜会なのだから、ヘルシュタイン家の給仕がいて当たり前なのだが、侯爵家の給仕なのに、まるでプロセルピナ公爵家の使用人のようなタイミングで適温の飲み物を持って現れている万全感がもう理解できない。
すべてが予定調和の如く、まるでアドリブが許されない演劇のように、流れるような動きで物事が進んでいく。
「……助かるわ」
マケイラは、扇を腰飾りのクリップに吊り下げると、ティボーの存在を忘れたかのように優雅な動作でソーサーからカップを持ち上げ、一口含んだ。
青い瞳が満足げに細められる。
カップの縁から離れた唇が僅かに弧を描いていたことから、喉を潤した液体の温度、芳香、余韻、すべてが合格だったことが知れた。
「見事ね、すべてが整っている。さすがヘルシュタイン侯爵家と言えるでしょう」
マケイラが立ち上がるのに合わせて他の令嬢も起立していたが、なかでもマーガレットの背筋は誰よりも凛と伸びており、又従兄弟の不始末の行くすえをしっかりと見届ける意志が見える。
そんなマーガレットの矜持に、マケイラは素直な讃辞を笑みとして彼女に向けた。それに応じるようにマーガレットは膝を軽く曲げてお辞儀を返す。簡易なれど所作が美しき淑女の礼に、結ばれたマケイラの口元がもう一度だけ小さく綻んだ。
「フェリシア」
「はい。こちらへ」
マケイラが寄越したカップの乗ったソーサーは、フェリシアの手のひらを経由して、給仕の持つトレイへと戻された。磁器が重なるカチリという小さな音を合図に、給仕は深々と一礼し、現れた時と同じく音もなく闇に溶けるように下がっていく。
一息ついた彼女は、周囲で見守っていた観客たちへ向けて、慈悲深い女神のような微笑みを浮かべた。
「……寛大なる皆様。お騒がせついでに、もう少々お耳を拝借してもよろしくて?」
静かな室内に、マケイラの涼やかな声が波紋のように広がる。そう大きくはない。攻撃的でもない。けれど、なぜだろうか。その声を聞けば、従わなければと思ってしまう。
「……語る言葉には、未来の代償が付随する。と、申します。我々は、幼少期より幾度となく『その行動の結果、何が起きたと思う?』と問いかけられ、原因と結果の繋がりを覚えながら成長してきました。何のためにそれをするのか、という行動と結果の関係性を常に考え、因果の理解を深める」
マケイラは、先ほど下げたばかりの扇を腰飾りから静かに外し、軽く一振りして流麗に開いた。
「中には良くない結果に落ち着くこともあるでしょう。起きたことは無くなりません。ですが、学びは自身の内に残り、新たな失敗は避けられるはずです。にも関わらず、なかには不思議と……。内省を知らず、反省を怠り、制止する声にも耳を貸さず、自ら進んで己の品格を貶め、醜態を晒し、他者を不快にさせ続ける。……そのような方もいらっしゃる」
しかし、扇は、すぐさまもう片方の手のひらを通るようにして閉じられる。
「私は、そのような方を見るたび、ただただ同情の念を禁じ得ないのです。だって、そうでしょう?」
一連の仕草は、これ以上の言葉を交わす価値はないという明確な線引きであり拒絶だ。
それが誰に向けられたものか。マケイラは、答えを語ってはいない。だが、この場に居合わせた誰もが理解している。
「彼らが歩んでいるその道の先には、底なしの破滅しか待っていないのですから」
ヘルハウンドは、獲物を定めた。
それだけが、共通認識として急速に広がっていく。
――――あらあら、お可哀想に……
――――ティボー様は、ほら……
――――地獄の番犬に気がつかな……
――――モンサリュ侯爵……
葦の原を風が吹き抜け、揺れた葉のささめきに似た冷ややかな囁きが聞こえる。
「この物語の結末が、どうなるのか……」
マケイラは自身の首の前に扇の先を合わせると、手首を振ることで真っ直ぐ横に見えない線を引いた。
「……続きは法廷で」
華やかに。
尊き身分の観客たちに、狩場への招待を別れの挨拶として幕を引く。
「それでは皆様、法廷でお会いいたしましょう!」
ひと度、興が乗ったと話し出せば、彼女の独壇場だった。その講演を終えたとばかりに優雅に身を翻し、扉へと向かう。その時、一瞬、控えるマーガレットたちへと顔を向けたマケイラの瞳の片方だけが瞬いたことに、気付けた人間は居たのだろうか。
何が、何処まで。
すべて決まっていたのか。
それとも、偶然が偶然を呼び不運に落ちた者がいたのか。
青白い顔で呼吸を忘れたように固まって動かないティボーたちを一顧だにせず、清々しい笑顔でマケイラは歩き去り、手帳を携えたフェリシアがその後を追う。
扉の横で控える使用人がベストなタイミングで扉を開け、マケイラの足を止めさせることなく廊下へと送り出した。
殊更ゆっくりと扉が閉じられ、白銀の髪が完全に扉の向こうに消えたところで、静かだったサロンに漸く人の息吹が吹き返す。
誰しもが息を潜め、事の成り行きを見守っていた時間は終わり、自分たちの時間に戻っていく。ただ、ほんの数刻前と違うのは、新たな噂話が加わったことだろうか。
事は、為された。
呆然と立ち尽くすティボーたちの背後から、ひょっこりと顔を出す人影があった。だからお前はどこから来た第三だ……っと、失礼。彼の名は、カイル・フォス。マケイラの従兄弟である。
「あーあ。今更言ってもだけど、あいつの怒りの沸点は、驚くほど低いぞ?」
カイルは、マケイラをエスコートしたあとはたまたま居合わせた知人と談笑していた。そこに騒ぎが起こり、そこからは知人たちとは別れて一人、面白そうに壁に寄りかかって事の成り行きを見守っていたのだ。
「カイル・フォス……」
「だから、他者の名を軽々しく呼ぶなって」
何も学習していないティボーに、彼はあきれ半ば茶化すように肩をすくめる。
カイル・フォス・フォン・オルクス。
または、カイル・フォス・フェルディナンド・フォン・オルクス。
オルクス公爵家の次男であり、現在、王位継承権第五位であるが、今後女性の継承権が認められ全体の序列が見直されると第九位へと後退する憂き目にあう男だ。しかし、彼はマケイラと仲がよく常に彼女をエスコートする役目を担っていた。
理由は単に、面白そうだから。
『いやぁ……何事も、特等席で鑑賞したいじゃない』
と、言ったとかどうとか。
彼の存在にティボーたちが早く気付いていれば……。いや、タラレバはもう無意味だ。今は、既に動き始めてしまった事象をどう傷を浅くやり過ごすかである。
「お前ら、今すぐ親に泣きついて領地の半分売る準備しといたほうがいいよ。彼女、一度噛みつくと決めたら、相手を社会的に無にするまで止めないからさ。……これ、僕からの親切な忠告ね」
カイルは、更に顔色を悪くし震え始めたティボーの肩を、ポンと軽く叩いた。
「ま、精々いい弁護士を探しなよ。……じゃ、地獄で会おうな!」
ひらひらと手を振り、軽薄な足取りで扉へと向かったカイルをドアの前の使用人がやはり絶妙なタイミングで扉を開いて彼を通す。
仕事に隙のない彼らを、きっとプロセルピナ公爵家もオルクス公爵家も、のちの礼状に完璧な所作の使用人は家風の現れと讃辞の一文を添えるだろう。
再び、扉が閉じられたところで、それまで縮こまっていたルイとガストンが、弾かれたようにティボーへと詰め寄った。
「おい、ティボー! 社会的に無って、王女殿下は本気なのか!?」
「俺たちまで巻き込まれてどうするんだよ、法廷って、法廷って……!」
青ざめた顔で互いの胸ぐらを掴みかねない勢いの友人たちを前に、ティボーはただガタガタと震え、返す言葉も浮かばない。
「ティボー!」
「うるさいっ。仕方ないだろ、分からなかったんだ!」
他責にしようとも事実は動かない。
ティボーが縋るように周囲を見回したとき、目に飛び込んできたのは、マーガレットを含めた五人の令嬢たちの姿だった。
「マーガレット、お前からも父上に……っ」
しかし、彼の情けない懇願は、マーガレットの冷ややかな一言によって無残に打ち砕かれる。
「ティボー。モンサリュ侯爵は、次男の貴方を切り捨ててでも長男を守るタイプだと思いますわ。……賢い選択ですわね」
彼女の目から見たモンサリュ侯爵。
言葉に親族としての情がないと罵られようと、それがマーガレットから見た現実だった。
現実は待たない。
マケイラは、言葉に偽りなく高等法院にティボーの所業を訴え出た。
一つ、王室に連なる高貴なる女性の尊厳に対する不法な侵害、及び拝謁の礼を失した不敬罪。
王室の血を引く者の明確な拒絶を無視した身体的接触。王女と知らなかったとはいえ、高貴な女性に対する礼節を著しく欠いた不届きな不作法。
二つ、王国慣習法における人格権の不法な侵害、並びに公の場における威圧的秩序攪乱罪。
合意なき接触と強硬な態度により、個人の尊厳、人格権を不当に脅かし、夜会またはサロンの優雅なる公序良俗を乱した罪。
三つ、ヘルシュタイン侯爵家に対する公然たる名誉毀損、並びに平穏阻害の罪。
マーガレット令嬢への不適切な発言により、名門ヘルシュタイン侯爵家の教育と名誉を公衆の面前で不当に貶め、貴族間の和睦を害した罪。
四つ、侯爵家管轄の諸商会に対する不当な信用毀損、及び通商妨害的挑発の罪。
通商に従事する全商会の信用を揺るがすような挑発的発言。これにより、不特定多数の商人たちに不必要な動揺と経済的実害のリスクを与えた罪。
カイルが、良くもまぁ盛ったもんだと腹を抱えたのに対し。フェリシアは、さすがマケイラ様ですと無表情なのに頬を輝かせる難易度の高い技を見せた。
高等法院は、しはしば王権と対立する。
マケイラが国王直系なら、直系王女のわがままと高等法院が味方をすることはなかったかもしれない。国王も、直系の醜聞は許し難しと激怒して裁判そのものを途中で揉み消しただろう。
だが、彼女は傍系王女。
国王は黙認し、高等法院は王室の傍系が不届きな大貴族の子息を司法の手続きで懲らしめるという構図に、喜んで彼女の味方をした。
「相手が誰であれ、貴族の令嬢に対して行うべきではない不埒な所業。この者を厳罰に処すのは容易いですが、それでは我が王室の慈悲が疑われます。しかし、罪は購われねばなりません」
一族郎党まで巻き込むか、全財産を差し出すか。
マケイラの主張に、和解の余地ありと判断した裁判官たちが金銭賠償による法廷内和解をモンサリュ侯爵家に勧告する前に、モンサリュ侯爵側から法廷内和解の申し入れがあった。
下手に裁判を長引かせて遺恨を残すより、金で解決出来るうちに速やかに処理する。一度噛みついたヘルハウンドは、相手の息の根が止まるまでその牙を外すことはないだろう。だが、ただ吠え立てているうちなら供物と引き換えに逃げることが許されるかもしれない。
マーガレットの見立てどおり、モンサリュ侯爵の決断は早く、潔く、そして、とても貴族的であった。
将来、ティボーが受け取るはずだった全資産と王室が管理する直轄領にある修道院への三年間の財政支援を引き出し、傷つけられた王室の栄誉を回復するための寄付金という名目で和解金を受け取る。
ついでに、ティボー個人には公益奉仕労働も課した。平民のために肉体労働をすることであの性根を叩き直されてくればいい。
命令違反をすれば、法廷侮辱罪として新たな罰金が科される。分かっていれば、真面目に取り組むだろう。
マケイラは無事、常識の範囲内での最高額の慰謝料をむしり取る事に成功したのだった。
◇◆
「ガストン・モネとルイ・ベルナールは、どうなりましたか」
フェリシアが、音を立てぬよう注意深くカップに香茶を注ぎながら問う。
「ティボー・ド・モンサリュほどではないわ。彼らはただ継ぐ家のないあまり者同士、ティボーが万が一、副爵位を譲られ独立するようなことがあったなら、そこで雇われれば安泰……なんてのんびりした考えで一緒にいただけだもの。爵位がなくとも、互いに協力し合って商会を立ち上げるもよし、議員になるもよし。一人では心細くても三人いれば何とかなる。そんな気持ちを抱くほどの友情に免じる優しさくらい私にもあるわよ」
「でも、ほどではないわ。ってことは、そんな健気でいたいけな二人からも毟り取ったんだ」
出された茶菓子を口に放り込みながらカイルが楽しそうに笑う。
「聞こえの悪いことを言わないで。毟り取るほどではなくてよ。ただ、ほんのちょっと友を止めなかった罰として寄付金を出していただき、奉仕活動に励んで貰う約束をしただけだわ」
傷つけられた王室の栄誉を回復するための寄付金。という名目は、ここでも大活躍したらしい。
「社会奉仕命令って、普通、四十時間とかだろ。二百時間って嫌がらせ以外の何物でもないだろう」
繊細な磁器の取っ手を指先で摘み、カイルはカップに口をつけた。程よく熱い液体が、わずかな苦味と甘みの余韻を舌に残し喉を通り抜けていく。
貴族の労働が罪みたいな時代は遥か彼方だが、半分遊びのような仕事しかしていない貴族も一定数いる。ティボーたちはどちらかというとそちら側だろう。
落書き消しや草むしり、公道のゴミ拾いなど彼らにとっては極刑に近い苦痛に思える。
「だって、嫌がらせですもの」
「さすが、マケイラ様です」
「開き直るな、そして褒めるな!」
麗らかな午後の日差しが差し込むサンルーム。
見目だけは美しい男女がお茶会を開いているが、その内容は……。
人は見た目と申しますが、どうか見た目だけに惑わされませぬように。
特に、白銀の毛並みに青い目のもふもふにはご注意を。
お時間頂きありがとうございました。
脳が飽和したのか、見直していて真っ直ぐ真横って書いている部分に気が付き
真っ直ぐ真横…真っ直ぐ真横……真っ直ぐ真横……
Now Loading……Now Loading……Now Loading……
頭痛が痛い???
そっと直しました。笑
何処まで王女、王子と呼ぶのか。の話。
先代国王の子供で現国王が直系、その弟たちが傍系となり先代から見て孫、現国王から見て甥、姪までが王子、王女と呼ばれます。
継承権の話。
法改定前、男系のみ。
【現国王の家】
1位 国王の長子
2位 国王の次子
【王弟Aの家】
3位 王弟Aマケイラのパパ
【王弟Bの家】
4位 カイルの兄
5位 カイル・フォス
6位 王弟Bカイルのパパ
改定後。
【現国王の家】
1位 国王の長子
2位 国王の次子 ←ここは変わらず
【現国王の姉の家】 ←NOW
3位 王の姉(長女)
【王弟Aの家】
4位 王弟Aマケイラのパパ
5位 マケイラ ←NOW
【現国王と王弟Aの妹の家】 ←NOW
6位 王の妹(次女)
【王弟Bの家】
7位 カイルのパパ
8位 カイルの兄
9位 カイル・フォス ←入れ替え発動
法改正の前は、男系男子のみなので女性は全員ノーカウントでした。
王のおんな姉妹は既に他国へ嫁いでいるため、本人たちには継承権がありますが、その子供は生まれが他国の王族、または貴族と成りますので継承権はありません。
また他国に嫁ぐときの婚姻条項として、嫁ぎ先の国に自国の領土や王位を乗っ取られないよう、生まれる子どもの継承権はあらかじめ放棄する。という条約が結ばれていた。という地球世界準拠のルールも適用して頂けたら嬉しく思います。
法改定後、【王弟Bの家】で何故入れ替えが発動したか。の話。
法改定前は、若さと男子優先ルール。
法改定後は、血統の近さを重視。
この逆転現象は少し不条理に感じるかもしれませんが、不測の事態が発生し、直系と王弟A(マケイラの家)が全滅した時に少しでも若くて健康な男子(カイル・フォス兄弟)を4位、5位に据えて、国を長持ちさせたい。という政治的な都合=若さ優先で、パパより息子たちが上に置かれていました。
それが女性が入ってきたことで、若さ優先から血の近さ優先に切り替わり、カイルの順位はさらに落ちることになります。
普通なら、ここでドロドロとした宮廷を巻き込んだ人間劇が開幕すると思うのですが、あの性格のカイル・フォスなので……。
マケイラの方が何十倍も強い毒を撒き散らして薙ぎ倒して君臨すると思います。
後書きに入れるにはめちゃくちゃ長いな……
活動報告にも同じものを追記しておきます。
ここまで読んでくださり、有難うございました。
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また次回、お会いできたら幸いです。
後書き、追記しました。




