四幕=通学路=
次回は2月7日午前9時更新予定です。
「みやびちゃーん!」
家を出て十分。
通学路の途中にある家の玄関の前で元気よく私に向かって手を振り、舌足らずな声で私の名を呼ぶポニーテールの女子がいる。具体的に言えば名前を漢字じゃなくてひらがなで呼んでいる感じ。
彼女は綺麗な翠眼と長い金髪が特徴で、身長は私よりも少し低いくらい。
少しつり目をしているが、きついというよりも可愛らしい印象を与える。
彼女の父親が日本人、母親がアメリカ人のハーフなのだが母親の遺伝子が強すぎる気がする。
「おはよ、愛華」
「うん! おはよう雅ちゃん!」
そしてにっこりと彼女、夕凪愛華は私に笑顔で挨拶を返す。ほがらかな笑顔は私に癒しを与えてくれる……ほんとこの子いい笑顔するわよねぇ。
「……あふぅ」
「あんた眠そうだけど寝不足? 前も言ったけど別に私の登校時間に合わせなくていいのよ?」
自分で言うのもなんだが、私は投稿時間が他の生徒に比べて早い。
別に早く着いたからといって特にすることもないのだが、忘れ物に気がついた時に時間があるから戻れるくらいしか利点らしいことはない。
そんな私の言葉に「大丈夫!」と胸を張って答える愛華。
「いいの! 僕がやりたいからやってるだけなんだから。雅ちゃんは気にしなくていいの」
にゃはは、と猫の鳴き声を混ぜたような笑みが彼女から溢れる。
「まったく……寝不足で倒れても知らないわよ」
「その時は雅ちゃんが保健室まで運んでくれるでしょ?」
「それはもちろん」
「えへへ〜」
ニコニコと人懐っこい笑顔を向けながら私の隣に立ち、玄関の方へ向けて「行ってきまーす!」と元気良くいう。すぐに両親の返事も聞こえてくるし、本当に仲のいい家族だ。
「それにしても、愛華もずいぶんと明るくなったわよね」
出会った頃はあんなに暗かったのに、今ではこんなに元気になってくれて友人の身としてはすごく嬉しい。
「雅ちゃんのおかげだよ。いじめの主犯格をとっちめてくれたり、僕が自分に自信持てるように協力してくれたり」
「たいしたことはしてないわよ。ま、でも愛華が元気になってくれたからよかったわ」
でもそれにしても……と、私は彼女のとある一部分を見る。
その部位は、胸。私とは違いすごく存在感を主張していらっしゃる。こりゃ女子から見てもすごい凶器だわ。
「ん? 雅ちゃんどうしたの?」
「愛華の胸おっきいなーと思って」
「もうセクハラだよ? でも雅ちゃんなら……」
ポッ、と淡く頬を赤く染める愛華。相変わらずノリがいい子だ。
「冗談よ。からかってごめん。でも私ももうちょっとは欲しいかなー」
ペタペタと手で自分の胸部を触る。
やはり平らだ。わずかに起伏はあるけどほぼ平らだ。うん、いやまぁ自分のブラが飾りとか知ってるけど。どうせスポーツブラだけど!
やっぱり愛華を見てたらもうちょっとは欲しい! 少なくともBカップを目指させてほしい。
「……じゃないのに」
ぼそり、と愛華がそっぽを向いて呟くが、最後しか聞こえなかった。
「愛華、なにか言った?」
「あ、ううん。なんでもないよ」
えへへ、とこれまた可愛い笑顔を浮かべて私の腕に絡みつき、すり寄ってくる。
うーん、胸の柔らかさが伝わってくるわね……なんだろう、こう、病みつきになりそうなやわさ……最高やわぁ……
「それじゃ、学校に行こうよ雅ちゃん」
「あ、うん。しかしこうやって登校すると私ら同性のカップルみたいね」
「いいねそれ」
たわいもない談笑をしながら私たちは学校へと向かっていった。




