十三幕=少女説明中=
次回更新は2月25日午前9時更新予定です!
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瑠璃香さんの問いに、少し言葉を詰まらせる。
さっきまで考えていたことではあるけど、いざ言葉に出して説明しようとしたらなんとも難しい。
「正直なところ、覚えてないです。ただ、愛華を絶対に守らなきゃって思って……」
瑠璃香さんは私の返事に「ふむ」と小さく頷き、少しだけ考えるそぶりを見せる。
「じゃあ、自分が悪魔憑きになったって自覚もなさそうね」
「……はい、ないです」
「そんなに申し訳なさそうにしなくてもいいのよ。わからないことはどうしようもないんだし」
「そうだよ。ぶっちゃけそれどころじゃなかったわけだし」
私が返答に困っているのを見て二人ともフォローをしてくれる。
ありがとう、とお礼をするが声があまり出ない。心臓が早鐘をうっているせいか、呼吸も浅い。
「それにしても、風峰さん」
「あ。雅で大丈夫ですよ」
「それじゃあ雅ちゃん。これから私も確認のため、愛華ちゃんから事件のことを説明してもらうわ」
「え、僕聞いてない!?」
「今言ったんだから当然よ。二度手間をとらせて申し訳ないけど、ハイドの証言とは違う視点は聞いておきたいから」
それに加えて、と瑠璃香さんはイタズラっぽく微笑む。
「雅ちゃん自身も覚えてない間のことをストレスなく説明できるのは、友達であるあなただけの特権よ?」
「僕頑張ります!」
一言で愛華のやる気スイッチが入った。我が親友ながらなんて単純な娘なんだ……それが可愛いところではあるんだけども。
それから愛華は私が意識を失った後と、そこから起こった出来事を教えてくれた。
私の身体に変化が起こり、鴉のような翼が生えて手や足も猛禽類みたいな形に変化していたということを教えてもらった。
その後、黒服の人(ハイドさんという名前らしい)と鬼男の間に入ってほぼ一方的に鬼男を蹂躙したらしい。
「僕が見たのは少しで、ハイドさんに建物の影に避難させてもらったから詳しくはわからにんだけど」
「ハイドにも聞いたけど、覚醒したてで撃破までしたのはすごいわね」
実際相手も重傷を負っていたらしいし、と瑠璃香さんはこぼす。
そのことには自覚がないけど、正義感を振り翳して不良を鎮圧することの延長線上とは思えない規模の出来事だということは理解できた。
「最後は、僕が思い切り叫んだら止まってくれたよ」
「そっか。止めてくれてありがとね」
「お礼なんていらないよ。僕はハイドさんに言われて試しただけだし……助けてもらったのは僕なんだから」
「あいつにしてはいい判断ね。しばらくメスを投げるのはやめてあげようかしら」
シレッと怖いことを言っているんだけどこの女医さん。
え、メスって手術に使うあの鋭利な刃物のことだよね? 正気?
目を丸くしている私と愛華の反応を見て、面白そうに笑う瑠璃香さん。
「あはは。あいつが医療区画でも吸うから、タバコを落とす時だけ投げてるのよ」
冗談でもないのか……ハイドさんは反射神経がいいらしいからちゃんとかわすらしいけど、とんでもない人だなこの人。
「管理局って頭吹っ飛んでる人しかいないんですか?」
「失敬な。あいつにしかやらないし、他の職員も基本的にはまともよ。ただ一番ぶっ飛んでるのはハイドで間違いないと思うけど」
遠慮なく言いにくいことをズバッと聞いてしまう愛華に、嫌悪感を見せずに笑って彼女は答える。
「あいつは多数の悪魔憑きを確保しているのよ。そりゃそれなりの装備はしてるけど、身体能力を上げるにも限界があるのによくやるわよね」
自分が一瞬でやられた相手に、経験があるとはいえ互角の戦いをしていたらしいと言う話も説明で聞いたけどすごいことじゃなかろうか。
「あの、他の人ではどういう感じで捕えるんですか?」
「重武装をした職員十人がかりで変身解除まで追い込んで捕縛が普通ね。それだけ危険なんだけどね……ハイドも十分人間離れしてる」
だから注意する際に遠慮がいらないんだけどね、と付け加えられる。
私はまだ顔を見てないからどんな感じの人かはわからないんだけど、そんなにすごい人なんだ。愛華は「ほえー」と口を開けて感心しているようだった。
ちゃんと会ったら、お礼をしないといけないわね。
「まぁ、それはそれとしてなんだけど二人とも。今日明日はこのまま管理局にいてもらうわね」
「「え?」」




