デート
映画館を出る。
「面白かったですね!」
「あぁ……そうだな」
「はい! ショウさんの寝顔が面白かったです」
「すまん」
「反省してくださいね」
「悪かった」
他愛もない会話のまま、歩き出す。
――違和感。
前を歩くカップル。
女の歩き方、口調、目の焦点。
「……止まれ」
振り返った女が、首を傾げる。
「なんですか?」
「女の歩き方、口調、目の焦点。全部おかしい。
催眠系の願望型だな。署まで同行してもらう」
「「動くな」」
同時に声が重なる。
男が舌打ちし、逃げ出す。
だが、次の瞬間。
――バリア。
リアの展開した透明な壁に阻まれ、男は転倒した。
リアのバリアは精神由来だ。
催眠、暗示、感情操作に強い。
俺は背後からテーザーガンを撃つ。
バチッ、と音がして男が崩れ落ちた。
「……どうして、動ける……」
「簡単だ」
俺は袖をまくる。
既に乾きかけた血。
「事前に自分の腕を切っておいた。
止血しても血は出るし、痛みは残る」
「ショック状態だと、精神系は効きにくい」
「……狂ってる……」
「褒め言葉だ」
手錠をかける。
「現行犯逮捕だ」
男は悔しそうに叫ぶ。
「どうしてだよ……!
自分だって不幸なんだ!
少しくらい、いい思いしてもいいだろ!」
「知るか」
俺はため息をついた。
「今日は休みだ。
……だが、仕事なんでな」




