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記憶の刃  作者: ルイ
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帰宅…覆面の過去

「ショウさん……大丈夫ですか……」

「あぁ……」

「薬、飲んでください」

「必要ない」

「震え、止まってないですよ」

リアは有無を言わせず、薬と水を口に押し込んだ。

「ゲホッ……ハァ……」

数秒、呼吸が荒れる。

やがて、指先の震えがゆっくりと収まっていく。

「……すまない。本調子なら殺せた。アリサが来なかったら、俺たち二人とも死んでた」

「謝らないでください」

「私は、あなたを守るって決めたんですから」

「……ありがとう」

ショウは、視線を落としたまま呟く。

「トラウマ型は強いが制御が難しい……逆に、快楽や願望型は安定する」

その言葉に、リアは何も返さなかった。

――その頃。

覆面の男の過去。

幼少期、家族を強盗に殺された。

だが、彼は何も感じなかった。

悲しみも、怒りも。

ただ――

血が、綺麗だった。

赤く、飛び散り、床を濡らす様子が、

言葉にできない快楽を与える。

強盗は「子供だから」と油断し、殺しにかかる。

その瞬間、少年は手にしていた――

折り紙を切っていた、小さなハサミで。

ナイフを握る手首を切り裂いた。

落ちたナイフを拾い、腹へ突き立てる。

「あぁ……」

溢れ出す血を見つめながら、少年は呟いた。

「……綺麗だ」


「……いい夢だった」

目を覚ました覆面の男は、静かに呟いた。

暗い天井。

現実に引き戻された意識。

胸の奥に、あの赤がまだ残っている。

飛び散る血。

温度。

音。

男は無意識に、手を伸ばした。

そこにあるはずの感触を探すように。

――ナイフ。

「……次は、いつだ」

そう呟き、覆面の男はゆっくりと起き上がった。

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