自分の痛みを分かって欲しい
初戦はカイとユウキだが、相手は女の子二人組か……。
「よろしくお願いします」
……。
「こちらこそ」
「はい」
挨拶が終わったところで試合が始まる。
すると、寡黙な女の子がカッターを取り出し、自分の手を躊躇なく傷つけた。
「は??」
「何してるんですか!!」
俺とリアも動揺するが、ユウキとカイは自分の手を見つめている。
次の瞬間、三人の手首から血が流れ出した。
もう一人の女の子がすぐさま治療を始める。
傷つけた本人の手は瞬く間に塞がるが、ユウキとカイの傷はそのままだ。
カイは能力を発動しようとするが、不発に終わる。
自分に向けられた悪意ではないからだ。
ユウキが二人に襲いかかるが、治療役の女の子をもう一人が庇う。
蹴りを入れた瞬間、ユウキとカイにも同じダメージが返ってくる。
幸い、ユウキの二重人格も戸惑っており、本気ではなかったが……。
女の子は倒れたまま、もう駄目だと言わんばかりに自分の首へカッターを向ける。
「……まずい」
二人はまだ動けない。
首は洒落にならない。
治療役の女の子も、明らかに焦った表情をしている。
――だが。
カッターは首に刺さらなかった。
リアのバリアがそれを防ぎ、俺がカッターを取り上げる。
当然、こちらの負けだ。
こちら側の人間が手を出し、試合を中断させたのだから。
それでも、治療役の女の子は俺たちに頭を下げた。
「ありがとうございます」
彼女はユウキとカイを治療する。
「…………」
「負けましたね」
「どこまであの子が治せるか分からんが……最初の治療スピードと、あの表情を見る限り、相当ギリギリだったんじゃないか? 三人同時は無理だった可能性もある」
「ですね……」
理屈では納得できる。
それでも、感情だけが置き去りになったままだ。
なんだか、納得のいかない結果だった。




