京都支部
「京都支部との訓練? 面倒くさ」
「そう言うな。動画の影響もあってな、関西支部から要請があった」
「俺たちが強すぎる嫉妬かよ」
「はいはい。アリサ一人で終わるコールドゲームだ」
「三回戦で個別だ。ペア二組と、アリサは単独。向こうも最強は一人らしい」
「なるほどねぇ……意味の無い事したくないんだが」
「警察内の政治だよ」
「俺に関係ねぇー」
「それに俺の能力は分かってるだろ。ナイフを刺したら、掠っただけでも多量出血で死亡する可能性がある。アリサも手加減をミスれば殺しかねない」
「京都支部には人を治せる覚醒者が居る。ある程度は心配無い」
「はぁー、便利ねぇ……こっちにスカウトしましょうよ」
「軽口を叩くな。やるし、勝つぞ」
「くだらない政治の面倒事、押し付けられただけー」
―――
「君が僕の相手かな?」
「……!?」
声をかけられるまで、気づかなかった。
最強って事は流石にこれが能力じゃないだろうが……強い。
「あぁ、違う違う。向こうの最強さん。あんたの相手はメンヘラ女だよ。可哀想に、死なないでね」
「アハハ、心配してくれるなんて優しいね」
「いや……けど、格闘技だけでも俺以上でしょ。誇って良いと思いますよ?」
「でも、君にも興味あるなぁ」
「……」
「……」
腹に正拳。
避けるが、追撃のハイキック。身を屈めて、なんとか回避。
人間が出せる速さじゃない。何かカラクリがあるな……。
ナイフを顕現させ、腹に全力で突き刺す。
避けられるはずの相手なのに、避けない。
刺さらない。
「……っ!?」
刃が通らない。
驚いた一瞬の隙を突かれ、顔面に拳。
吹き飛ばされる。
――五秒後、意識を失った。
「おっと……ふらつくな」
変な出血が、止まっている。
「そういう能力のナイフか。避けた方が良かったかもだけど……避けなかったから虚を突けたってわけか」
一息ついて、相手は続ける。
「ていうか、彼が最強じゃないって何事? 能力を応用した格闘技を、素の身体能力と反応速度だけで避けられたの、結構ショックなんだけど」
「問題として報告するぞ」
見物していた上司が、短く言った。
「勘弁してくださいよぉ」




