呪い
「呪い殺す……全部」
「非モテの逆恨みねー。とばっちりだわ」
直後、アリサの鼻から血が垂れる。
「へぇ……だから?」
「アァ……呪」
化物が顕現する。
――が、アリサは吐血した。
化物が殴りかかる。
その腕は腐食し、音を立てて地面に落ちる。
アリサの視界が揺らぐ。
「今まで全部全部ダメだった……僕は悪くない……」
「ハァ……ハァ……不幸自慢して楽しい?」
間違いなく敵は最強格。
本来なら、アリサでなければ即死している。
精神力こそが呪いへの対抗手段だが、それでもアリサは防戦一方だった。
「でさぁ……私を傷つけて大丈夫?」
「彼氏くん、そういう奴嫌いだもんね」
「いつも私を守ってくれる。死のうとして車に轢かれそうになった時だって……私を庇って」
その言葉に応えるように、化物が唸る。
纏うオーラが、さらに禍々しく膨れ上がった。
「君に勝ち目なん――」
アリサが視界から消える。
……いや、違う。
後ろを向いている?
どういうことだ?
「私の彼氏を怒らせたら、こうなるの」
「グロいグロい」
男の首は、真後ろまでねじれていた。
力なく崩れ落ちる。
化物は、アリサが傷つけば傷つくほど力を増す。
――アリサの過去。
「彼氏くん……死なないで……お願い……私のせいだ……」
「ううん……守りきれなかった僕が悪いよ」
「頼りなくて、ごめんね……」
彼は、死に際に願った。
アリサを守れるほど、強くなりたい――と。
その願望は強烈な覚醒となり、
彼氏の死直後、アリサは“彼氏”を禍々しく顕現させた。
そこに、彼自身の覚醒が重なった。
アリサが最強である理由。
それは――
守る者と、守られる者の願いが、同時に重なった存在だからだ。




