最強
最強?
いや、俺たちのペアは二番目だ。
合同訓練では、俺たちが強すぎるという理由で――
こいつ一人と戦わされる。
「ねぇねぇ、彼氏くん。今度一緒にさ、映画見よ!」
独り言が聞こえる。
事故で恋人を失った女。
名前はアリサ。
「あーあ……チッ。またお前らの相手かよ」
「こっちのセリフだ、メンヘラ女」
「ショウさん!!」
「まぁいいや。私の彼氏は絶対、私のこと守ってくれるもん」
化物が顕現する。
失った恋人を具現化する覚醒者は少なくない。
だが大抵は無害で、精神施設に収容される。
こいつは違う。
精神性が異常に強すぎる。
写真や情報は見た。
彼氏は優男だった。
――こんな化物じゃない。
「来る! リア!」
リアがバリアを張る。
俺たちは散開して躱す。
リアのバリアを破壊できるのは、こいつだけだ。
しかも一秒で。
ナイフを女に投げる。
だが、化物が拒む。
ドブのような血が溢れ、床が腐食していく。
「彼氏くん、大丈夫!!」
その声に反応するように、化物の傷が癒える。
三分間の戦闘の末、
俺たちは倒れた。
リアはバリアの張りすぎ。
俺はナイフの使いすぎだ。
ナイフによる“多量出血”を具現化させるには、
相当な精神力を消耗する。
「やったー! 勝った!!
ねぇ、早く帰ろ? ご飯作ってあげるね」
――こいつ、家に大量の生ゴミがあって、
月一で清掃入ってるの忘れてんのか。
ほんと、最悪だ。




