覆面男
覆面男が、いつも通り警官を返り討ちにしている。
「コイツがショウさんの家族を殺した奴ですか」
「……そうですね」
ユウキとカイが参戦した。
覆面男がナイフを構える。
カイが殺意に反応、ナイフを破壊する。
「面白いね。その能力……君はこっち側でしょ?」
「違う……」
そう言い切れず、カイは歯噛みする。
この能力は、破壊衝動そのものから生まれた力だ。
「うるせぇ。捕らえられろ」
ユウキが戦闘を開始する。
覆面男は余裕の動きで捌いていく。
「おっと……珍しい。君もか」
「知るかよ」
二人は、対覚醒者対策課の中でも異質な存在だ。
覆面男の言葉は的外れではない。一歩間違えれば、彼らも“そちら側”に堕ちる。
「君達には負けもしないが……勝ちもしないな。このままだと」
覆面男は、破壊されたナイフの破片で自らの手首を切り裂いた。
血が宙を舞い、斬撃となって飛ぶ。
カイがそれを破壊する。
だが、血は液体だ。形を失っても、すぐに元へ戻る。
出血量は増え続ける。
つまり、攻撃の手数も比例して増える。
向けられる敵意に反応し、カイが覆面男の首を絞め上げる。
だが覆面男は、何重もの血の斬撃を放った。
カイはすべてを破壊する。
……直後、鼻血を流して倒れた。
「大丈夫か!」
ユウキの二重人格が叫び、覆面男へと接近する。
血の斬撃は、刃を形成する前に叩き壊す。
だが、同時に二つを処理するのが限界だった。
覆面男の格闘が決まり、ユウキも倒れる。
二人にトドメを刺そうとした瞬間、バリアに阻まれた。
「ショウさん……来て正解でしたけど、大丈夫ですか?」
「大丈夫だ、リア」
ショウはポケットからナイフを取り出す。
顕現したものではない。
精神への負荷を避けるため、そして——こいつは多量出血が仇になる。
「ナイフねぇ……君の母親を殺した時みたいに、殺したいの?」
「何箇所刺せば、止血に集中せざるを得なくなる?」
「なるほど……冷静だね」
血の斬撃が飛ぶ。
だが、すべてナイフで捌かれる。
「ふーん……格闘が得意な男の子より強いね」
覆面男はスモークグレネードを投げた。
リアは逃げ道を塞ごうとバリアを展開しようとする。
だがその瞬間、カイとユウキに血の斬撃が飛んだ。
ユウキはリアが、カイはショウが助ける。
煙が晴れた時、そこに覆面男はいなかった。
「……逃げられたな」
「そうですね」
「二人とも、大丈夫か?」
「大丈夫です……」
「はい……」




