任務失敗
「ユウキ、カイ……今回は四人での確保だ」
「了解です!」
「はい」
「二人でも勝てるんじゃないですか?」
「そんな相手じゃない。アリサを思い出せ……親を殺すほどの、憎悪のトラウマだ」
「あ……確かに」
「……いつもの仕事か」
ユウキが呟く。
二つ目の人格だ。警官が何度も返り討ちにされている以上、警戒している。
「なんとか、頑張りましょう」
カイが言う。
今回の相手はカイが適任だ。
カイは人体以外には罪悪感なく能力を使える。氷の破壊担当。
「……来たな」
「また警察ですか。邪魔しないでください」
普通に生活を送っている。
いつも通りの買い物。
――強いが故の行動。
ショウがナイフを顕現させ、投げる。
女は即座に氷の壁を顕現。
想定内だ。
「カイ!」
「はい!」
氷の壁を破壊。
女は驚き、反応が遅れる。刃が頬を掠めた。
本来出るはずのない量の血が吹き出す――が。
血を凍らせ、即座に止血。
判断が早い。
俺とユウキが格闘で距離を詰める。
だが女は大量の氷柱を顕現させ、それらが牙を剥いた。
「リア!」
リアがバリアでユウキを守る。
俺は、全てを避ける。
「……チッ」
女が苛立つ。
こちらもピンチだ。
あの数の氷柱……カイだけに対処させれば、脳への負荷が大きすぎる。
カイは自分に向けられた悪意や“物”にしか能力を使えない。
正直、きつい。
――どうする。どうする。
カイが前に出た。
女がカイに氷柱を向ける。
だが、次の瞬間。
女が苦しみ出す。
首に、はっきりと“手の痕”が浮かび上がった。
女は即座に、三重の氷の壁を顕現する。
視界外からの攻撃が無理だと、さっきので気づかれた。
「カイ……これは、破壊するな」
「……はい……ハァ、ハァ……」
カイが頭を押さえる。
壁を回り込み、確認する。
「……逃がしたか」
女の姿は、もうなかった。
「「すみません……」」
カイとユウキが同時に謝る。
「まぁ……この四人で駄目なら、仕方ない」
犠牲者は、幸いあれから出ていない。
……が。
――どうしたものか。




