夏空の冬
何度も思い出す──子供の頃。
「躾」と言う名の暴力。
一番辛かったのは、冬の夜、ベランダに放置されたことだ。
真夏だというのに、厚着をしている。
チャイムをピンポンと押した。
出てきたのは、暖かな家族。
……私を捨てた家族。
「なんのご用ですか?」
こいつらは、実の娘だということも分からないのか。
後ろから高校生くらいの少年が顔を出す。
「母さん、誰この人?」
「分からないわ」
痣一つない、知らない弟。
クソが。改心したつもりか……許さない。
強引に中へ入り、ドアを閉める。
「実の娘を忘れたの?」
「え……あ……ごめんなさい……あの時は……慣れてなくて……」
空気が変わる。
夏とは思えない、極寒の冷気が周囲を満たした。
氷を具現化し、腹を氷柱で貫く。
氷柱から冷気が走り、血が凍って止血される。
――緩やかに、死ね。
遅れて父親が出てくる。
「どうしたんだ?」
「あんたらの実の娘だ」
「あぁ……悪かった……あの時は……反省してる。許し――」
言葉の途中で、腹を刺した。
同じように。
弟は震え、床に座り込んでいる。
……見逃してやるか。
――対覚醒者対策課。
「通報が入りました。両親二名が死亡。加害者は、過去に虐待を受けていた実の娘です」
資料を確認する。
「……こっち側になれたかもしれないのに…」
「まぁ、人それぞれだ。情状酌量はあるが、それでも死刑の可能性は高い。殺害も許可だ」
「駄目ですよ!」
「自主する気もないだろうしな」
「強いでしょうね。警官も返り討ちにされています。幼少期トラウマ型は、覚醒が強い傾向にあります」
「勝てますかね……」
「勝つさ」




