束縛…監獄
離れないで……。
みんな……悪いところ、ちゃんと直すから。
見捨てないで……。
どうしよう、どうしよう……。
——逃げられないように、しないと。
*
対覚醒者対策課。
「この女の知り合いが、次々と消えている」
「見つけ次第、即捕獲。殺すな」
ショウは資料に目を落としたまま言った。
「……殺さない方がいいな」
「いや、だからダメだって……え?」
「珍しいですね」
「過去の資料を見た。
束縛型の能力を持つ覚醒者の可能性が高い」
「殺したら、居場所を吐かせるのが無理だろ」
「……確かに」
「まあ、殺して“自分の物”にするタイプなら即処分だがな」
「ダメですよー……」
「しゃあない。後で、いいもの見せてやる」
「……いいもの?」
「最悪にいいものだ。
逮捕された覚醒者が、どうなるかって話だ」
「それを見てから、逮捕だな」
*
——監獄。
「……ここが」
「観光気分で行くかー」
「死にたくない……悪いのは周りだ……」
「無視して歩け」
「……はい」
「もう、ヤダ……」
死刑囚の一人が、不意に身構えた。
「ギャァァァ!」
床から電気ショックが走る。
「あの……牢屋にある“タイマー”って何ですか?」
「今の電気で作動したな」
「ここにいるのは、ほとんど死刑囚だ。
能力を使おうとする、あるいは何か問題を起こすと——
タイマーの残り時間が半分になる」
「ゼロになれば、死亡する出力の電気が流れる」
「……当然の罰だな」
「本当に……当然ですか?」
「制御できない奴だ。
本来は百年設定なのに、こいつはもう三ヶ月を切ってる」
「こんなのが外に出たら、どうなる」
「……再犯しますよね」
「ああ」
「よぉ」
かつて捕らえた、二重人格の覚醒者が声をかけてきた。
「タイマーは?」
「一度も作動してない」
「変わろうと思って」
「こいつは一度も殺してない。
タイマーは逆だ。ゼロになれば出所」
「能力を使えば、時間は倍になる」
「あと三日か……対策課に推薦されるな。半強制だが」
「……もし、タイマーを一度作動させて出所したら?」
リアが尋ねる。
「大抵は何度も作動させる。実質無期懲役だ」
「形式上は釈放される。
GPSを付けて、月一で警官が様子を見る……ことになってる」
「そんな例、見たことないがな」
「……なるほど」
「でも、現行犯なら殺すんですか?」
「許可されてる」
「……耳、澄ませてみろ」
リアは耳を澄ました。
——自分のせいじゃない。
——出てきたら、全員殺す。
聞きたくない言葉ばかりだ。
「これが今の社会だ」
「人間は知能と能力を手に入れた代わりに、
制御する理性を失いつつある」
「……それでも、私は殺したくないです」
「……ああ。それも、一つの意見だな」




