炎
いつからだろう。
人は突然、空想を具現化できるようになった。
思い入れの強いもの。
トラウマ。
強烈な記憶に結びついたイメージほど、現実に現れる。
覚醒者は年々増加傾向にあった。
男は放火魔だ。
幼い頃、火事を目撃した。その炎の美しさに、一目で魅了された。
手から火を具現化させようとした、その瞬間――
「指名手配犯だな。降伏しろ」
「えっと……争いはやめにして、自主して――」
男は言葉を遮るように、二人組へ火を放った。
「リア!」
「ひっ……!」
リアは即座に壁――バリアを具現化し、炎を遮断する。
次の瞬間、男へ向けてナイフが飛んだ。
避けた。
だが、刃は肩をかすめる。
問題はそこじゃない。
致命傷ではないはずなのに、異常な量の血が噴き出す。
視界が揺らぎ、意識が一瞬途切れた。
「死ね」
「ショウさん!! ダメです!」
リアのバリアが、追撃を遮った。
「リア……俺たちは殺害も許可されてる。拘束より殺す方が楽だ。それに覚醒者は優先的に死刑だ。牢屋の負担が増すだけだろ」
「止血しますね……強すぎますよ、ショウさん。格闘術もテーザーガンの扱いも上手いんですから、そのナイフ使うのやめてください」
「料理もできない切れ味のナイフだぞ」
「茶化さないでください。生物に触れると多量出血を起こす能力があるじゃないですか。そのせいで気絶してます。早く救急車を」
「パトカーだろ」
「もう……」




