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断罪令嬢のガチャは一国を買い叩く 〜過保護なシステム様にSSR資源を確定投入されるので、平和的に国を滅ぼします〜  作者: 霧ノシキ


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第15話:ヒロインの計算違いと、歪むシナリオ

【星の瞳に映るシステム画面】

 王宮の自室。一人になったセラフィナは、即座に「聖女」の仮面を脱ぎ捨て、天蓋付きのベッドに乱暴に身を投げ出した。

(――なんなの!? なんなのよ、あのアリシアって女! 設定と全然違うじゃない!)

 彼女の瞳の中に宿る「星」が、不吉な赤色を帯びて激しく明滅し始める。  セラフィナが虚空を見据えると、彼女の視界に透過型の幾何学的な模様――【ゲームメニュー】が浮かび上がった。

『――ターゲット識別:アリシア・フォン・アステリア』 『――好感度:計測不能(ERROR)』 『――生存フラグ:正常(ERROR:死滅フラグが消失しています)』

 視界を埋め尽くす真っ赤な「ERROR」の文字。  本来のシナリオであれば、第一章の最後でアリシアは無惨に命を落とし、その死が「聖女と王子の愛」を深めるスパイスになるはずだった。  それが、どうだ。

(生存しているどころか、ステータスがバグって読み取れないってどういうことよ!? この『エターナル・ラヴ&スターライト』は、わたくしが幸せになるためのゲームなの。攻略本通りに進まないなんて、システムエラー以外の何物でもないわ!)

 セラフィナは、前世でこの乙女ゲームをやり込み、トップランカーとして君臨していた記憶を持っている。彼女にとってこの世界は「攻略すべきデータ」であり、自分の思い通りにならない要素は、すべて修正(消去)すべきバグでしかなかった。

【ポテトチップスのトラウマ】

 セラフィナが何より許せなかったのは、敗走した魔導師たちが持ち帰った「ある情報」だった。

(……ポテトチップス。あのアリシア、迷宮の奥でポテトチップスを食べていたっていうの!?)

 その単語を思い出しただけで、セラフィナは喉の奥にこみ上げる嘔吐感を覚えた。  彼女の「前世」の死因。それは、深夜のゲームプレイ中に、期間限定の激辛ポテトチップスを喉に詰まらせ、誰にも気づかれずに窒息死するという、あまりに情けなく惨めなものだった。

 それゆえ、この世界に転生して以来、彼女は「不潔な揚げ菓子」に対して、生理的な嫌悪感と激しいトラウマを抱いている。

(わたくしのポテチをサクサクと……! なんて悪趣味な女なの! あんな油まみれのゴミを食べて平然としているなんて、やっぱりあいつは人間じゃないわ! 絶対に、絶対に許さない! わたくしの美しくて清潔なシナリオから、さっさとログアウトさせてあげますの!)

 セラフィナはベッドのシーツを爪が食い込むほどに握りしめた。  アリシアがどんなに強力な魔法を使おうと、彼女にとっては「運営に報告してアカウント停止(BAN)すべきチート行為」にしか見えていなかった。

【新たな攻略対象の投入】

 だが、今の王軍の戦力ではアリシアを排除できないことは明白だ。  セラフィナは、メニュー画面をスクロールさせ、まだ手付かずの「攻略キャラクター」のリストを眺めた。

(魔法がダメなら、パワーで物理的に叩き潰すまでよ。……ちょうどいい『駒』がいるわね)

 彼女の瞳の星が、妖しく輝く。  そのリストの中に、一人の男の名前があった。  王国最強の騎士と謳われ、かつてアリシアに忠誠を誓っていたはずの、しかし現在は王都を離れ遠征に出ている「あの男」。

(彼なら、まだアリシアの異常な力を知らない。わたくしの『キラキラ』な光で完璧に魅了して、あいつを暗殺するための『最強の剣』にしてあげますの)

 セラフィナは立ち上がり、鏡に向かって完璧な「聖女の微笑み」を作った。

「ふふ……。アリシア様。貴方はバグだらけの迷宮で、ポテトチップスと一緒にゴミ箱へ捨てられるのがお似合いですわ。……わたくしの愛の物語は、これからが本番なんですもの」

 王宮の暗い廊下に、粘りつくようなセラフィナの笑い声が響いた。  彼女は、次なる攻略対象をその毒牙にかけるべく、静かに動き出した。

 一方、その頃。  アビスの底の「楽園」では、アリシアが新しいガチャの景品である『超高性能・自動調味料サーバー』から出てきた「特製わさび塩」をポテトチップスに振りかけ、幸せそうに目を細めていた。

「あら、このツンとする刺激……。わたくしの支配する地に、また一つ、新たな彩りが加わりましたわね」

 王国側がどれほどの悪意を練り上げようとも、アリシアにとっては、次のガチャの結果ほどにも重要ではないのであった。


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