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顔面S級冷酷無双ヤンデレ王子と転生令嬢  作者: はるさんた


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第六十一話:帰還と、家族の絆


王都の隅にある、懐かしい香りのする平民街。アレスは周囲の護衛を遠ざけ、ルナと共に一軒の家の前に立っていた。扉を叩き、出てきた両親の顔を見るなり、アレスは王子としての矜持を脇に置き、深く、深く腰を折った。


「お久しぶりです。突然の訪問、失礼いたします。幼き日に私を守り、育ててくださったご恩、今日まで一日たりとも忘れたことはありません。今の私があるのは、お二人の慈しみがあったからです。心より感謝申し上げます」


一国の第一王子が、一介の平民に対して非の打ち所のない敬語で謝辞を述べる。そのあまりに真摯な姿に、ルナの父親と母親は慌てふためいた。


「ア、アレス殿下……! 何を仰いますか、そんなに畏まらないでください! 私たちのような者に敬語なんて……どうかやめてくださいませ」


母親が困ったように手を振ると、アレスは真剣な眼差しで顔を上げた。


「いえ、あなた方は私にとって真の親も同然です。礼を尽くすのは当然のことで……」


「アレス、もういいわよ」


ルナが可笑しそうに口を挟んだ。


「お父さんもお母さんも、あのアレスがそんなに丁寧に話したら、緊張して心臓が止まっちゃうわ。ね? 前みたいに話してあげて。二人とも、あなたの帰りをずっと待っていたんだから」


父親も頷きながら、少し照れくさそうに笑った。


「そうです。殿下の立派な姿は見ればわかります。どうか、昔のように楽にしてください。そうでなければ、家の中に招き入れることもできませんよ」


アレスは二人の温かな視線に触れ、少しだけ表情を緩めた。


「……わかった。お父さん、お母さん。……いや、そう呼んでもいいかな? 二人がそう言ってくれるなら、お言葉に甘えさせてもらうよ」


アレスがいつもの口調に戻すと、両親は安堵したように息を吐いた。アレスはその隙を見逃さず、隣に立つルナの手をぎゅっと握りしめ、本題を切り出した。


「改めて、二人に報告とお願いに来たんだ。昨夜、夜会でルナを僕の婚約者として国中に発表した。手順を飛ばして外堀を埋めるような真似をして、本当にすまない。でも、僕はもう、彼女なしの人生なんて考えられないんだ。ルナを、僕にください。一生をかけて、僕のすべてで彼女を守り抜く」


「アレス……」


ルナはアレスの横顔を見つめた。ヤンデレ王子としての執念は相変わらずだが、両親の前で必死に頭を下げるその姿には、かつての少年の面影が重なっていた。


「お父さん、お母さん。私も、アレスの隣にいたい。この人と一緒に、新しい時代を作っていきたいの」


ルナの言葉に、両親は静かに頷いた。


「アレス。君がルナをどれほど大切に思っているか、その瞳を見ればわかるよ。……ルナをよろしく頼む。そして、たまには顔を見せに来ておくれ」


「それについてだが……」


アレスの瞳に、少しだけ「ヤンデレ王子」らしい独占欲の光が宿った。


「二人には、王都の中心にある僕たちの新居のすぐ隣に、家を用意した。そこへ移り住んでほしいんだ。ルナはこれから多忙になる。寂しがりの彼女がいつでも二人に会えるように。……そして、僕が不在の時も、二人が彼女のそばにいてくれることが、僕にとって最大の安心なんだ。……断らせないよ?」


アレスは微笑んでいたが、その背後には「愛するルナの周囲すべてを自分の管理下に置きたい」という完璧な計画が透けて見えた。


「お父さん、お母様。アレスはこうなると絶対に譲らないわ。でも、私もそばにいてほしいの。……いいでしょう?」


ルナの愛らしいおねだりに、両親は苦笑しながらも頷いた。


「わかったよ。アレスの包囲網からは、誰も逃げられないみたいだね。……末永く、娘を頼むよ」


アレスは満足げにルナを抱き寄せた。 ルナを愛し、守り、そして誰の手も届かない場所で、彼女が愛する家族さえも自らの「檻」の中へ招き入れる。アレスの愛は、もはや一点の隙もないほどに完成されていた。



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