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顔面S級冷酷無双ヤンデレ王子と転生令嬢  作者: はるさんた


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第六十話:月下の戴冠と、世界を変える魔導

王宮の白亜の広間は、かつてないほどの熱気に包まれていた。今夜は、第一王子アレスの凱旋と、彼が正式に選んだパートナーをお披露目する特別な夜会である。


貴族たちの間では、冷笑混じりの囁きが絶えなかった。「連れ戻されたのは、家柄もない平民の小娘だそうだ」「王子も焼きが回ったものだ」といった、ルナの素性を侮る声が至る所で聞こえてくる。


しかし、その喧騒は、重厚な扉が開かれた瞬間に凍りついた。


現れたのは、漆黒の正装に身を包んだアレスであった。その顔面S級と称される美貌は、今夜、かつてないほどの輝きを放っている。そしてその隣で、アレスとしっかりと手を繋いで歩くルナ。彼女は、豪華な装飾を削ぎ落とした、シンプルながらも最高級のシルクを用いた真珠色のドレスを纏っていた。


アレスは大階段の踊り場で足を止め、広間を見下ろして宣言した。


「皆に紹介しよう。我が唯一の婚約者、ルナ・ノートだ」


広間にどよめきが広がる。「ノート? 聞いたこともない名だ」「やはり平民か」と、露骨に顔をしかめる者もいた。アレスはその反応を予見していたかのように、口角をわずかに上げ、より一層ルナを自分の方へと引き寄せた。


「彼女には高貴な家柄など必要ない。なぜなら、ルナ自身がこの国の歴史を塗り替える、比類なき叡智そのものだからだ」


アレスの言葉を合図に、ルナが一歩前に出た。彼女は怯むことなく、その場にいる全ての貴族を見渡した。


「皆様、これまでの魔導は、火や水といった属性の力に頼るあまり、多くの魔力を浪費し、使い手の身体を蝕んできました。私が提案するのは、属性のフィルターを通さない、純粋な魔力の安定供給理論です」


ルナが小さく呪文を唱えると、彼女の手のひらの上に、無色の、しかし圧倒的な密度を感じさせる光の球が現れた。


ルナはその光を、広間の天井にある巨大な魔導シャンデリアへと放った。瞬間、シャンデリアがこれまでの太陽光をも凌ぐほどの清冽な輝きを放ち、広間全体を包み込んだ。それだけではない。会場にいた魔導士たちは、自分たちの魔力回路が急速に浄化され、活力が満ち溢れていくのを感じて、驚愕の声を上げた。


「これは……! 属性の反動が全くない」 「わずかな魔力で、これほどの出力を維持できるのか? 魔法の歴史が変わるぞ!」


平民だと蔑んでいた貴族たちの顔が、一瞬にして驚嘆と畏怖に変じた。ルナが示したのは、魔導の効率を数倍に跳ね上げ、魔力枯渇問題を根本から解決する、国家の勢力図を塗り替えるほどの革命的な成果だったのだ。


アレスは、驚きに震える人々を冷ややかな、しかしどこか誇らしげな目で見つめた。


「理解できたか。ルナ・ノートという存在は、我が王国の至宝だ。彼女の知性を侮ることは、このアレス・フォン・王国の未来を否定することと同義であると知れ」


アレスはそう告げると、ルナの腰を抱き寄せ、耳元で甘く囁いた。


「完璧だ、ルナ。僕の選んだ女性が、これほどまでに美しく、そして残酷なほどに賢い。……誇らしいよ。今すぐにでも君を隠して、僕だけのものにしたい衝動を抑えるのが大変なほどだ」


ルナはアレスの胸元に手を置き、彼だけに見えるいたずらっぽい微笑みを返した。


「アレス、そんな顔をしないで。私が世界を驚かせたのは、あなたの隣に立つ資格があることを証明したかったからなのよ」


アレスはその言葉を聞くと、堪えきれないといった様子で、大勢の貴族が見守る中でルナの額に深く口づけを落とした。


「ああ、愛しているよ、ルナ。君が僕をアレスと呼んでくれる限り、僕は世界を敵に回してでも君の盾になろう」


家柄も、過去の偏見も、全てはルナの圧倒的な実力とアレスの狂愛の前に霧散した。ルナ・ノートという名の賢者は、今夜、名実ともに王国の中心へと君臨したのである。


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