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顔面S級冷酷無双ヤンデレ王子と転生令嬢  作者: はるさんた


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第四十七話:完璧な王妃の演技と、地下水路の設計図

ルナは、アレスの私室での監禁生活を、長期的な脱出計画のための綿密な訓練期間と捉えることにした。彼女の目標は明確だった。一つは、アレスの猜疑心を完全に払拭し、彼が「ルナは完全に僕のものだ」と確信するように仕向けること。これにより、彼の監視を精神的に緩めさせる。もう一つは、クリスが追放された凍結地帯の場所を特定し、彼を救出するための具体的な手段を確保することだった。


アレスは、ルナの才能をさらに開花させるため、王宮の機密文書や、王国の魔導構造に関する詳細な資料を惜しみなく与え始めた。ルナが優秀であればあるほど、彼の愛と自己満足は深まるためだ。


ある日の午後、アレスはルナに、巨大な羊皮紙の束を広げさせた。それは、王宮の地下に張り巡らされた、魔力供給と防衛のための複雑な水路と魔導回路の構造図だった。


「この王宮は、単なる建物ではない。王国最強の防衛魔導具だ。君はこれを見て、新たな防衛システムの改良案を考えろ。特に、万が一の際の侵入経路を完全に封鎖する方法を導き出せ」アレスはルナに、彼を裏切るための、そしてクリスを救うための鍵を与えてくれたのだ。


ルナは、王宮の防衛と魔力供給のルートを分析するという名目で、地下構造の細部にわたる設計図を貪るように頭に叩き込んだ。彼女は、正規の魔力制御ルートだけでなく、外部に通じているであろう排水路や、非常時の物資搬入に使われる古いリフトシャフトなど、警備が手薄な領域を重点的に解析した。


ルナはアレスに対し、防衛システムの強化案を提案する際、王宮の地下水路の特定の区間に、一時的に魔力供給が途切れる可能性があるという偽りの欠陥を指摘した。


「アレス。この東側の古い排水路の制御魔石は、魔力波動の位相が不安定です。王宮の防衛システムは属性魔導に偏重しているため、この不安定な位相を利用されれば、魔力探知を無効化できる『死角空間』を一瞬作り出せます。緊急時には、このルートから敵に侵入される可能性があります」


アレスはルナの指摘に驚き、その天才的な分析力に魅了された。


「素晴らしい。君は僕の王宮の致命的な弱点を見つけた。では、その欠陥を補強し、僕の支配をより強固にするための改良案を提出しろ。二度とその『死角空間』が生まれないように」


ルナは、この改良案の作成という名目で、その「欠陥」を逆手にとり、外部への脱出経路として機能させるための詳細な魔力干渉計画を緻密に練り始めた。彼女の計画は、王宮の魔導システムをわずか数分間停止させ、その間に排水路を通って外部へ脱出するというものだった。


一方、ルナはクリスが追放された凍結地帯の情報も、アレスの書斎にあった地理と鉱物資源に関する文献から、詳細に把握していた。その地帯は、常にマイナス数十度の冷気の魔力が吹き荒れる場所であり、一般的な属性魔法では、冷気を遮断することができない。しかし、ルナの無属性魔力制御の知識、特にクリスと研究した円環収束の結界理論が、唯一の生存手段となり得ることをルナは確信した。


(凍結地帯の冷気は、属性魔導士にとって致命的ですが、無属性で熱を隔離する多重結界を構築できれば、クリス様は生き延びられる。私が行って、その結界を張り、救い出さなければならない)


ルナは、アレスの目の前で、彼の王権を讃える論文を書きながら、心の中では、クリスを救うための結界理論の応用と、王宮からの脱出ルートを緻密に設計し続けていた。


アレスはルナの献身的な働く姿を見て、深く満足げに微笑んだ。ルナの手首のブレスレットは常に安定した信号を送っており、彼女の心に何の乱れもないことを証明していた。


「君は完全に僕のものとなった、ルナ。君の才能、知識、そして心は、もう僕から離れることはない」


アレスは、ルナの完璧な演技に完全に騙されていた。彼は、ルナの献身が、彼への真の愛と服従に基づいていると信じきっていた。しかし、ルナの心は既に、この檻を破り、クリスを救い出すという、冷徹な決意で満たされていた。彼女の愛は、彼を裏切るための最高の武器となっていた。

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