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顔面S級冷酷無双ヤンデレ王子と転生令嬢  作者: はるさんた


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第十八話:最初の友好と、支配者の監視

「あ、あの…今の魔力制御、どうやっているんですか?見たことがない高度な技術ですが…」


私に声をかけてきたのは、伯爵令嬢のマリアだった。彼女は、私の持つ技術への好奇心の方が、アレスへの恐怖心を上回っているようだった。彼女の視線は、私の顔ではなく、私が収束させた光の粒子の残滓に向けられていた。


(やった!成功だわ!アレスの支配の壁を、私の技術力という特典で超えられた!)


ルナは内心で喜びを噛みしめた。これはアレスへの「外交努力が成功した」という何よりの報告になる。


「これは、魔力を属性を持たない純粋な状態で幾何学図形に収束させる高等実習です。父から受け継いだ古書に載っていた方法を、少し応用してみました」私は穏やかに、しかし自信を持って答えた。


「古書に…!さすが、平民から特待生に選ばれた方だわ。そして、殿下が目をかけていらっしゃるという噂も。私は、伯爵令嬢のマリア・ド・ルベルと申します。ルナ様という実力者の噂は聞いていましたが、本当にすごい。少しお話しさせていただいてもよろしいでしょうか?」


マリアは、私に話しかけることに対するためらいを振り払うように、一歩踏み込んできた。彼女は優秀で、魔導に対する真摯な姿勢を持っているようだった。


「はい、マリア様。もちろん構いません」


私たちは、休憩時間の大半を使って、魔力制御の基礎理論と、貴族社会における魔法の応用について語り合った。マリアの質問は的確で、会話は刺激的で楽しいものだった。彼女が私を「アレスの女」としてではなく、「優秀な魔導士の卵」として見てくれていることが嬉しかった。


まもなく休憩時間の終わりを告げる鐘が鳴るというタイミングで、私たちは名残惜しくも会話を終えた。


「では、ルナ様、また後ほど」マリアは微笑んで教室へ戻っていった。


私はすぐに人目につかない廊下の隅へと急いだ。次の授業が始まるまでの短い隙を狙い、アレスが持たせてくれた、特殊な魔導通信機を取り出した。側近を経由して、アレス本人に連絡を入れる。


「ルナです。報告いたします。伯爵令嬢マリア・ド・ルベル様より、私の魔力制御の実習について質問を受け、五分間ほど交流いたしました。内容は学術的なもので、マリア様は非常に真面目な方です」


その報告を完了させた直後、休憩時間の終わりを告げる鐘が鳴り響いた。通信機が短く振動し、アレス本人からの返信が表示された。


「了解した。その交流は許可する。ただし、次も僕に報告すること。よくやった」


その簡潔なメッセージは、彼が私の報告を待たずに、既にマリアとの交流の様子を全て把握していたことを示していた。彼は私の外交努力を認めつつも、決して監視の手を緩めていないのだ。


(本当に、常に監視しているのね。恐ろしいけど、これでマリア様もアレスの怒りを買うことはないわ)


ルナは安堵した。アレスの支配は完璧だが、彼の許可さえあれば、この学園で私は安全に人脈を築くことができる。


「よし」ルナは頬を叩き、決意を新たにした。 「アレスに安心して私を外交させてもらうためにも、私はこのマリア様との交流を、完璧な人間関係の足がかりにしてみせる!」

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