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JK老中、幕末って美味しいいんですか?  作者: AZtoM183
7.若き老中(構)
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062A. 若き老中(影)ーもう一つの眼差しー

あの若き老中が口を開くと、場の空気が僅かに変わった。

古参たちは冷笑を浮かべ、軽んじる態度を隠そうともしない。

だが私は、ただ静かにその様を眺めていた。


机上に置かれた書付は、取るに足らぬものにも見えた。

大事業とは程遠く、世を震わせるものではない。

しかし、些末と切り捨てるには惜しい。

そう思わせる妙な力が、確かにそこにあった。


「……ならば、その範囲で試みよ」


そう応じた同僚の声に、場は収束した。

私は表情ひとつ変えず、次の議題に目を落とした。


若き老中――阿部の動きが、いずれどこへ至るのか。

壁を打ち砕く器量があるのか、それとも途中で潰えるのか。

まだ断ずるには早い。


利用できるのなら利用すればよい。

その程度の思いを胸に、私は筆を取って議事を控えた。


だが、心のどこかでふと感じていた。

この一条が、後日に思わぬ意味を持つやもしれぬ、と。



[ちょこっと歴史解説]

幕政の老中は複数名で構成され、互いに均衡を取り合いながら政務を担いました。

若くして老中に就いた阿部正弘は、最初は軽視されつつも、一部の同僚には「使えるかもしれぬ存在」として注目され始めます。

こうした多様な視線が交錯するなかで、彼は次第に地位を固めていくのです。


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