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幕間 空白
決裁は、
止まっていた。
命令が出ていない、
という意味ではない。
判断が、
どこにも帰属していない。
それが、
正確だった。
書付は、
回っている。
意見も、
集まっている。
だが、
最後に置かれるはずの名が、
ない。
誰も、
その名を口にしない。
口にすれば、
場が、
崩れるからだ。
均されていた間は、
この状態でも、
政は進んだ。
だが、
均す者が去った今、
同じ形は、
保てない。
決めなかったことが、
決めたことと同じ重さで、
場に残る。
それは、
誰の責任でもなく、
誰の判断でもない。
ただ、
空白だ。
人は、
空白を、
長くは許容できない。
誰かが、
名を置くまで。
誰かが、
引き受けるまで。
均された後の政は、
静かで、
不安定だった。
これで、この小説は、完結とします。
次、残った登場人物の中で、井伊直弼にバトンタッチして、
(少し考えてから)歴史の流れに沿って、続けていきたいと思います。
巷によくある維新の志士側ではなく。。。




