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JK老中、幕末って美味しいいんですか?  作者: AZtoM183
15.和親条約
193/201

幕間 名もなき日の記憶(政の外より)

 その日は、

 特別な日ではなかった。


 朝は、

 いつも通りに始まった。

 井戸の水は冷たく、

 米の値は、

 昨日と変わらない。


 町では、

 噂が行き交っている。


 異国と、

 何かが決まったらしい。

 戦は、

 なかったらしい。


 それ以上のことは、

 誰もよく知らない。


 「良かったじゃないか」

 そう言う者もいる。


 「情けない話だ」

 そう吐き捨てる者もいる。


 だが多くは、

 言葉を選ばなかった。


 選べるほどの情報を、

 持っていない。


 昼になると、

 港の方が、

 少しだけ騒がしくなる。


 見慣れぬ船が、

 停まっているという話。

 見慣れぬ言葉が、

 飛び交っているという話。


 だが、

 町の中までは、

 まだ来ない。


 来ないうちは、

 日常だ。


 夕刻、

 店じまいをしながら、

 ふと、

 思う者がいる。


 もし、

 戦になっていたら。


 もし、

 港が焼かれていたら。


 そうならなかったことを、

 誰に感謝すればいいのかは、

 分からない。


 ただ、

 今日も、

 家に帰れる。


 夜、

 灯を落としながら、

 誰かが呟く。


 「結局、

 俺たちには、

 何も分からんままだな」


 それは、

 嘆きでも、

 怒りでもない。


 事実だった。


 決まったことの重さは、

 この夜には、

 まだ、

 降りてきていない。


 だが、

 確かに、

 何かが変わった。


 それだけは、

 分かる。


 名もなき一日は、

 静かに終わる。


 この静けさが、

 いつまで続くかを、

 誰も、

 知らぬまま。


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