[章末まとめ]第13章「均すということ」
第12章では、
黒船来航後の混乱の中で、
阿部正弘が選んだ「均す政治」と、
その届く範囲・届かない範囲を描きました。
阿部は、
声を集め、並べ、
同じ現実を共有させることで、
国が割れるのを防ごうとする阿部。
しかし一方で、
現実や議論そのものを拒む声が現れ、
「均し」が届かない境目も、静かに浮かび上がっていきます。
この章で描かれたのは、
誰かが勝ったり、負けたりする場面ではありません。
それぞれの人物が、自分の立つ場所を少しずつ自覚していく過程です。
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■ 阿部正弘
老中として、混乱する声をまとめ、
国が割れぬよう「均す」役割を引き受ける人物。
この章では、
自らの政治がどこまで届き、どこから届かないのかを知ることになります。
■ 川路聖謨
評定所と地方、
両方の情報に触れられる実務官僚。
単に記すだけでなく、
起こりうる衝突を想定し「備え」として編む段階へ進みます。
■ 勝麟太郎
攘夷や思想の熱に引き寄せられながらも、
あえて距離を取り、
技と実学の側に踏みとどまる選択をします。
後の道を決める、静かな分岐点です。
■ 井伊直弼
まだ政の中心にはいない立場から、
「均されない熱」の存在を感じ取る人物。
この章では、
均しの外側に立つ可能性を初めて自覚します。
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均す者。
備える者。
踏みとどまる者。
境に立つ者。
それぞれが選んだ立ち位置は、
やがて同じ時代の中で交わり、
衝突し、別の形を生み出していきます。
次章では、
この「境目」の向こう側が、
少しずつ動き始めます。




