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JK老中、幕末って美味しいいんですか?  作者: AZtoM183
1章.転生
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プロローグ 伏見稲荷、四人の願い

朱の鳥居の連なる坂道を登りながら、美月はふと立ち止まった。


「ねえ、あんたたち、お願い事ってした?」


振り返った彼女に続いていたのは、修学旅行の班メンバー――


白井蓮れん、椎名ひかり、黒田悠真。

それぞれが制服にカバン、疲れた顔。だけど、口元はどこか楽しそうだった。


「お願い? したけど、まあテキトーに」


ひかりが笑う。


「私は“世界平和”って書いたよ。神様にもわかるようにカタカナで」


「嘘つけ。絶対“いい人と付き合えますように”だろ」


蓮が苦笑し、悠真は無言で空を見上げていた。


「私はね……」

「“歴史に残るような人生、ちょっとやってみたいな”って」


言った瞬間、背後でカラスが鳴いた。

風が、急に冷たくなる。


「……なんか、それ、フラグ立ってね?」


ひかりの軽口に、美月は笑ってみせた。



下山の途中、事故は突然起きた。


斜面の土が崩れ、踏みしめた石畳が崩落。

手すりごと、四人の体が斜め下に――


落ちていった。



目を覚ましたのは、美月が一番早かった。


(……ここ、どこ?)


天井は木で、匂いが古い。

視界の隅に、着物の裾が見える。


「阿部様、お気がつきになられましたか」


誰かが言った。

男の人の声ではない。でも丁寧で、距離のある声。


「……あべ?」


その名前に、美月の記憶が小さく反応する。


(なんか……聞いたことあるような、ないような)


「皆様、お連れ様も、それぞれ無事に……」


(え? 他のみんなも?)


美月は、胸のざわつきを押さえながら――

ゆっくりと体を起こした。

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