第17章「準備万端! 四つ子を迎える日々」
休日の朝、遥と真奈は赤ちゃん用品の専門店に足を運んでいた。店内には様々なベビーグッズが並び、二人の目は輝きに満ちている。
「ねぇ、真奈ちゃん、このベビーベッド可愛い!」
遥は白い木製のベビーベッドを指さした。真奈も近づいて、優しく微笑む。
「本当だね。でも四つ必要だから、もう少しコンパクトなのがいいかも」
真奈が現実的な意見を言うと、遥は少し頬を膨らませた。その表情が可愛くて、真奈は思わず遥の頬をつついてしまう。
「もう、真奈ちゃんったら! でも、そうだよね。四つ子ちゃんたちのこと、ちゃんと考えなきゃ」
二人で歩きながら、必要なものをリストアップしていく。ベビーベッド、おむつ、ミルク、哺乳瓶……考えるだけでも頭が回りそうにない。
「あ、この哺乳瓶セット、いいかも。四つセットだし……」
真奈が手に取った哺乳瓶を見て、遥は目を細める。透明な瓶に描かれた動物たちが、とても愛らしい。
「うん、これ、いいね! 私たちの子供たち、みんな同じものを使えるんだね」
買い物を終えて帰宅すると、二人は購入したものを並べ始めた。小さな靴下や帽子を見ながら、まだ見ぬ子供たちの姿を想像して、自然と笑みがこぼれる。
「ねぇ、真奈ちゃん……」
遥は真奈の横顔を見つめながら、そっと手を伸ばした。
「なあに?」
「私たち、ちゃんとできるかな? 四人の赤ちゃんのお世話……」
真奈は遥の手を取り、優しく握り締めた。
「大丈夫だよ。二人いるもの。それに、この前の産院の先生も、私たちのことを応援してくれてたじゃない?」
先日の産院見学を思い出し、遥は少し安心したように頷く。確かに、先生も助産師さんも、二人の状況を理解して、親身になって話を聞いてくれた。
「そうだね。みんな優しかったね……」
真奈は遥の隣に座り、彼女の肩に頭を寄せた。遥の柔らかな髪の香りが、心を落ち着かせてくれる。
「私ね、今も時々夢を見るの。四人の赤ちゃんと、私たちが公園で遊んでる夢」
「えっ、私も見る! みんなで笑ってる夢……」
二人は顔を見合わせて、くすっと笑う。同じような夢を見ていたことが、なんだか嬉しい。
「きっと、私たちの夢見たとおりになるよ」
真奈がそう言うと、遥は嬉しそうに頷いた。
「うん! 私たちの子供たち、きっと元気いっぱいに育つよね」
夕暮れ時、二人は並んでベッドに座り、用意した赤ちゃんの服を眺めていた。小さな服を手に取るたび、これから始まる新しい生活への期待が膨らんでいく。
「可愛いね……本当に小さい」
「うん、でもこの中に、私たちの宝物が入るんだよ」
真奈の言葉に、遥は目を潤ませた。真奈の横顔が夕日に照らされて、とても綺麗に見える。
「ねぇ、真奈ちゃん」
「なに?」
「大好き」
突然の言葉に、真奈は少し赤くなりながらも、優しく微笑んだ。
「私も、遥ちゃんのこと大好き。これからも、ずっとね」
二人は手を重ね合わせ、お腹の中の命の鼓動を感じながら、穏やかな時間を過ごした。窓から差し込む夕陽が、新しい家族の始まりを優しく照らしているようだった。