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ボノ

ヴィーナご到着。

これで心配の種が一つ減ったことになる。

ただハプニングがあった。

まさかセピユロスさんが先に入っていたなんて。

これはメイドのミス。信じられないような失態。

気が緩んでいたでは済まされない。

それは彼女たちだけでなく私も同様。

だから責められない。ここは許すしかないだろう。


ディナー開始。

「ふん! 」

ヴィーナの機嫌がすこぶる悪い。

どうも二人は本当に喧嘩しているらしくなるべく口を利かないようにしている。

おかしなこともある。せっかく紹介すると言う時に。

機嫌を直し仲直りをしてしまえばいいのに。


ヴィーナの怒りは収まりそうにない。

こうなったら自分からは打開しようとせずに相手から。謝罪を待つようだ。

それにしても一体何があったのだろう。


「いやあ豪勢な食事で。食べきれるか心配です」

笑顔で冗談を言い盛り上げるセピユロスさん。

すっかり先程のことは忘れている。

「はいはい」

ヴィーナが水を差す。

「こらヴィーナ! 」

さすがに見かねたボノが諭すが明らかに雰囲気が悪くなる。


「ふむふむ。それで君は隣の隣の村と言ったね」

「お恥ずかしい。未だに狩猟と栽培の生活」

「いやいや凄いじゃないか。我々も見習わなくては」

心にもないことを言う。これでは傷つけてしまうだけ。

少しは真面目にやってよね。これだからボノは。

お酒が入るとますますダメ。イライラする。

社交的だからいいけど心を見透かされたらどうするの?

金持ちの嫌味でしかない。


「ほほほ…… ボノが失礼しました」

何とかフォローする。

「いえボノさんは立派ですよ」

彼はほめ過ぎるきらいがある。

これだからヴィーナも嫌になってしまったのかもしれない。


「ワインはどうだね? 」

いける口だといいのだがと笑うがこれはよくボノが使う手。

新人のメイドに優しくする振りをしてたくさん飲ませ前後不覚に陥らせ……

もうこれ以上はダメよね。

「ボノお客様がお困りになってるでしょう」

「ははは! これは年代物なんだ。何と二十年前のワインさ。

どうだ一杯やらないか」

まあボノったらまた騙されたのね。

これだから一人にはさせられない。

家に居てもメイドに手を出すわやって来た商人に騙されるわで目も当てられない。

どうしてこうも間が抜けていてお調子者なのかしら。考えると言うことをしない。


「どうですお味は? 」

「うーんまろやか。これは何とも口当たりが良い」

料理人の中にはもちろんワインにも通じた者がいる。

でもこの感想では手を煩わす必要もない。

「ボノ。困っておられるわ。無理はいけない」

「そうだったね。えっと誰だっけ…… 」

セピユロスが困惑する。

さすがに失礼。耳打ちする。

「ああセピユロス君だったね。いやあどうだい? 」

もう何がどうなのか分からない。


「ねえヴィーナ。ここにはどれほど滞在するの? 」

「もううるさい! 食事は静かにするものでしょう? 」

やはりまだ二人は仲直り出来ていない。

そのせいで私たちにまで強く当たる。まだまだ子供のヴィーナ。

到着してからさほど時間も経っていない。

まだ腹の虫が収まらないのも頷ける。でもここは大人にならないと。

せっかくの雰囲気がぶち壊し。


「あああ…… 」

つい話に夢中になり芋が滑り落ちる。

「ご主人様。大丈夫でございます」

メイドが素早く対応。さすがは都会から集めただけのことはある。

ただそれゆえにボノに近づかせては絶対にダメ。

彼はどちらかと言えば都会的なお嬢さんがタイプ。

私も昔は流行に敏感で取り入れたもの。

そうしてボノがひっかかった。


「ディーテ。そろそろ良いんじゃないかな」

「そうですね。ではセピユロスさんのお話を伺おうかしら」

促す。これも招待する者の務め。

ただ今回はヴィーナが勝手に押し掛けたに過ぎないですけどね。

それにまだ許してません。

勝手に手紙一つで婚約の挨拶を報せるなんてまだ怒ってるんですからね。


                  続く

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