表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/125

美人

「綺麗過ぎはしませんか? 」

まずい。言い方を間違えた。

これではまるで私が綺麗な方を拒絶してるように思われてしまう。

別にそのようなこだわりはありません。ただ……

「ではお返しましょうか? 」

不満を読み取ったメイド頭が提案する。

「今更そんな理由で田舎に帰せと言うの? 綺麗な方はトラブルになりやすい。

ほら嫉妬だってあるでしょう。いじめられてもかわいそうだし」

モーラを庇うつもりが下手な誤解を招いてしまう。

「私には分かりかねます」

うまく逃げたな。興味がないのが分かる。


ここでメイドとして暮らせばいかに美人が無駄か分かるはず。

美人は男女問わず惹きつけられるものがある。

美人薄命。薄幸の美人と言われ方もするぐらい嫉妬と羨望の的になる。

耐えきれずに体調を崩す者も少なくない。

故郷に戻られでもしたら大損失。

その代わりを探すのにも一苦労。

どうにか踏みとどまってもらうしかない。


残念なことにこの屋敷では美人であることがマイナスに働く。

そこには二つの理由がある。

まず一つとしてボノのターゲットにされてしまうから。

それは可哀想だと思うと同時に許せない気持ちにもなる。

ボノがメイドに手を出すのも許せないがメイドが誘惑するのはもっと許せない。


それからヴィーナ。

ヴィーナよりも綺麗であってはならない。

別にこれと言った理由がある訳ではない。

ヴィーナは私に似て嫉妬深くすぐにヒステリーになる。

その感情をコントロールできないワガママ娘。


私が娘時代はもっと酷かったので人のことを言えた義理ではないのですが。

あの子が可愛いの綺麗だのと言って勝手に辞めさせていた。

でももちろんそんなワガママはお母様が許しません。

私の目の届かないところへと配置転換。

あの頃はどうしても許せなかった。

美しく着飾り宝石にティアラまで身に着けても負けたような気がした。

化粧っ気のないメイドから滲み出るオーラに嫉妬。

どうしてこんなにも美しいのか。

もちろんお母様もお婆様もそれは美しい方でした。

私には到底及ばない領域。それはもう大人の女性と言わんばかりの色気にオーラ。

だから尚更メイドに負ける自分が許せなかった。


ただ娘時代はこんなもの。

ボノと出会ってからは自信を取り戻した。

立派な大人の女性に成長できた。

それが今の私の余裕。

その美しさを保つために美容はもちろん食事にも運動にも気を配った。

体形維持にはやはりコルセットが役に立った。

ただボノは意外にもふっくらした女性が好みのようで無駄な努力でしたが。

そうして続けたことで奥様は本当に若いですねとお世辞を言われるようになる。

自慢ではなくただの事実です。


ヴィーナも我慢できないんでしょうね。

決して美しくないことないのに変に嫉妬深い。

それは幼いころからそうで今も改善されてない。

セピユロスさんと結ばれれば徐々に落ち着くでしょう。

それまでに何人のメイドが辞めて行くか。

私はメイドたちの親代わりですから全力で食い止めるつもり。

でもボノが強行すればどうにもならない。

その頃にはボノ付になってるでしょうからね。

ああボノ。どうしてあなたはいつもそうなの?


あらあら余計なことに気を取られてしまった。

「では失礼します」

メイド頭は忙しい。

私との挨拶を終えると今度は正式にメイドとして雇う準備をする。

それから今日のうちにすべてのメイドに紹介して回る。

これが意外と面倒で時間が掛る。

一堂に集める方法もあるが皆忙しい。

このやり方を取らざるを得ない。


最後に自分の持ち場に着く。

これですべて完了。

私も小さい頃二度ほどついて回ったことがある。

一度目は興味本位で。

あれは本当に大変でしたね。

二度目はお母様の命令で。主人になる修行だと。

メイドたちを管理するのが大きな目的の一つ。

もちろんメイド頭の采配で。

任せっきりで頼りっきり。

それは今も変わらない。


                 続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ