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最終回(後編) 後始末

ご主人様帰還。

「心配を掛けたわねヴィーナ。あら…… 今はご主人様でしたね?

あなたが望むならそのままで。ご主人様としてこの屋敷を支えて行って欲しい」

「ううう…… 執事がもうダメだって。遺体が見つかったと。もう諦めてました。

でも嬉しい。その情報は間違いだったんですね? 」

ヴィーナは堪えきれずに涙を流す。私もつい感情に流されてしまう。

「ヴィーナ! 」

「お母様! 」

ついに二人は今までのわだかまりを捨てお互いを認め合った。


「お母様! お母様! 」

ヴィーナが胸に飛び込んでくる。

まったくまだまだ子供なんだから。

「もうヴィーナったら…… これではまだご主人様は任せられませんね」

「うん。私には向いてない。だから…… 」

ヴィーナを抱きしめる。

そろそろ感動の再会を終え次に移るとしましょうか。


「ほら顔を上げてヴィーナ。まだ終わってませんよ。後始末があります」

「お母様? 」

「私が居ない間よくやってくれました。大変感謝してます」

「ううん。執事さんが良くしてくれたから」


「ご主人様…… それは当然のことです」

執事は畏まる。

ヴィーナは執事を高く評価している。私も少し前までは信じていた。

でも彼は我々を裏切った。陰謀を企てた。決して許してはならない存在。

ヴィーナはまだ人を見る目を養えてないのか執事を信じ切っている。

これでは先が思いやられる。


「ヴィーナ。あなたに良い報せと悪い報せととても悪い報せがあります」

さあここからが山場。執事が悪事を認めるかどうか。

そこのマーガラが大人しく言うことに従ってくれるか。

そう簡単なはずがない。陰謀を企てた張本人なんですから。

執事だけならともかく二人では骨が折れる。

「はあ…… でしたら悪い報せからお願いします」

賢い子。まずは様子見ね。

「では執事とそこのあなたも謁見の間へ来てくださる」

執事は仕方なく従う。マーガラは無視をして逃げようとするが……

メイドたちに取り囲まれ呆気なく謁見の間へ強制的に送られる。


謁見の間。

新人メイドの挨拶で年に数回使う程度。

本来は国王様がお越しになった時に寛がれたりスピーチされる場。

そう言えば国王様は無事にお帰りになられたでしょうか?

ご主人様として歓迎するも陰謀渦巻く中でゆっくり最後までお相手できなかった。

代わりにヴィーナとチャウチャウがしっかりお相手したとは思いますが。

失礼がなかったか。それだけが心配です。

そう言えば国王様主催の生誕祭が近く行われるはず。

私たちも招待を受けていてそこで…… 


ヴィーナと執事。それにマーガラを加えた四人が顔を合わせる。

「それでお母様。悪い報せとは一体何でしょう? 」

ヴィーナは淡い期待と嫌な予感により板挟み状態。

早く教えてあげるのが良いでしょう。


「悪い報せとは…… 」

「もったいぶらずに! 嫌なことは早く聞いてすぐに忘れたいの。

まさかセピユロスのことではありませんよね? 」

いつものワガママなヴィーナが見え隠れする。

「いえ違います。あなたの父、ボノのことです。ボノは残念ながら生きてます。

そしてこの屋敷へ。ほら姿を見せてあげて」

手を叩き合図を送る。


扉が開かれ男が押されていく。その男こそ……

「ははは…… 酷いなディーテも。私が生きてると何で悪いんだ? 」

ボノは怒って見せる。

「お父様…… お父様なのですね? お父様! 」

「ああヴィーナ。また会えてうれしいよ。まさか戻ってこられるとはね。

これもすべてディーテとセピユロス君のお陰だ」

「そうですか…… それでセピユロスは? 」

「大丈夫よヴィーナ。セピユロスはあなたの目の前にいるでしょう」

ボノと一緒に姿を見せた謎の人物。彼こそがセピユロスその人。

「恥ずかしながら戻って来たよヴィーナ」

照れを隠せずに笑ってごまかそうとするセピユロス。


「これが良い報せです」

「随分セピユロス君とは差があると思うんだがね」

ボノは納得が行ってない。

「まあまあそれくらいで二人とも」

セピユロスが急いで間に入る。


「それではお母様。最後にとても悪い報せをお聞かせ願いますか? 」

怖いもの知らずのヴィーナ。

果たして目の前の辛い現実を受け止めることが出来るでしょうか? 

「とても悪い報せとは…… 今回の一連の騒動はそこにいる執事の仕業。

彼の手によって実行された。これは紛れもない事実」

「な…… 何をおっしゃいますか…… 」

逆らえない執事。

「この執事の裏切りによって私たち家族はバラバラになってしまった。

ボノを失い、セピユロスを失い、最後は自分を見失った」

「それは何かの…… 」

もはや執事は言い訳できないまで追い込まれている。


「あの、よろしいでしょうかご主人様? 」

マーガラが反撃に出る。

「私は関係ありませんのでお仕事に戻らせてもらえませんか? 」

「いいですよ。ですがブラックウッド家はもうお終い。どこへ逃げようと? 」

「ほほほ…… ごきげんよう」

そう言って強引に話を終わらせようとするマーガラ。

冷静に振る舞ってるつもりだろうが傍から見れば逃げるのに必死で違和感だらけ。

「往生際が悪いわよマーガラ! すべてボノから聞いたんですから」

「そうだマーガレット! お前たちの陰謀もそこまでだ! 計画は破たんさ」

ボノがマーガラの動きを封じる。


「ご冗談でしょう? ボノ様はただの女好き。ボノ様とは一度もお会いしてない。

一体どうやって知り得たのでしょうか? 」

まだシラを切り通そうとする往生際の悪すぎるマーガラことマーガレット。

「いい加減言い訳は止めるんだ! お前が執事と共謀し陥れたではないか! 」

「知りませんそのような話。濡れ衣です。勝手に作らないで! 」

「いいでしょう。あなたがいくらシラを切ろうと執事が認めてしまえば同じこと」


同時に二人の顔を見る。

執事は震えてるのが見て取れる。もう落ちたも同然。

「申し訳ございませんご主人様! どうかお許しを!

私もこのマーガラに唆されつい出来心で…… 」

大急ぎで膝をつき土下座。下手な言い訳を繰り返す。

まだ完全には人間の心を失っていなかった。


「ではあなたは認めますね? 」

「はい、ご主人様を裏切ってしまいました。誠に申し訳ありません!

心の隙を突かれこのマーガラに良いように操られてしまいました」

執事は呆気なく告白。

これでマーガラことマーガレットも大人しくなった。


「裏切者は許しません。連れて行きなさい! 」

執事とマーガラの身柄を拘束。

セピユロスが閉じ込められた地下室に国王様の裁きが下るまで閉じ込められる。

さすがに勝手に処刑は出来ない。


こうして無事悪者から屋敷を取り戻すことに成功。

屋敷始まって以来の最大の危機を乗り越えた。



               エピローグに続く

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