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マーガラ

マーガレット。影のメイドも遠く及ばない絶世の美女。

ボノを唆しお屋敷を大混乱に。私たちを不幸のどん底に陥れた者。

徐々に敵の正体が見えてきました。

逃避行を終え屋敷に戻ることを決意した今、もっと敵を知る必要がある。

その上で万全な策を練りすべてを取り戻す最後の戦いに臨むべき。


「本当に済まなかったねセピユロス君。騙すような真似をしてしまって」

深々と頭を下げ謝罪の言葉を口にするボノ。

「頭を上げてくださいボノ。その方を探せばいいんですね? 」

「ほらすぐにボノを許さないの! あなたを陥れた反逆者なんですからね。

それからその方ではなくその女でしょう? 」


セピユロスにそれはきつくきつく言い聞かせる。

誰が行方不明の王女様を探してるの? 違うでしょう?

私たちが探してるのはボノを骨抜きにし我が一族に反旗を翻した悪女。

探し出してお家に送り届けるのではなく捕えてすべてを聞きだすこと。

彼女を人間だと思ってはいけない。もちろん女神などと妄想してもいけない。

それほど厳しくしなければその女の術中に嵌る恐れがある。


「分かってるよディーテ。それでその女がマーガレットだと? 」

「おお、興味があるかい? 」

ボノが反応。これは反省してないな。

セピユロスもちっとも警戒心がなく興味津々なのが見て取れる。

どうせボノが大げさに言ってるだけじゃない。


「それであなたはどう? 何か心当たりはないの? 」

この手のことは影のメイドが詳しい。不審な動きがないか逐一報告させていた。

それでも今回の一連の陰謀を未然に阻止できなかったですが。

「マーガレットですか? 確かにボノ様が密会してたのはブラックウッド家の者。

彼女がもし本当にマーガレットでしたらメイドに一人心当たりが」

さっそく彼女の力が役に立った。


「それは一体誰? 」

「新人メイドのマーガラ。彼女が恐らくボノ様の言うマーガレットではないかと」

「マーガラ? 」

「やはりご主人様はご存じありませんよね。

最近入ったばかりで目立たない俯き加減の眼鏡を掛けた田舎者」

「一度挨拶したきりでしたから。ねえボノ? 」

「だからそんなメイドには会ってないと言ってるだろ! その子がマーガレット?

どうもそうは思わないんだが。人違いではないか? イメージとかけ離れている」

ボノが難しい表情を浮かべる。


マーガレットとマーガラ。

「名前が似てるだけで特徴が全然。タイプが正反対な気も…… 」

「見た目に騙されてはいけませんご主人様! 

眼鏡は分かりませんが異常なほどの俯き加減は絶対にわざとです。

メイド頭がいくら注意しても直らないと嘆いてましたから。

田舎者も自分の正体に気づかれないように変装してるに過ぎません。

ご主人様も逃避行中はメイドの格好をしたりと苦労したはずです。

彼女も私に劣らず変装の名人なのです」

影のメイドにそう言わしめるマーガレットの変装術。

恐れ入ったと言うか気づかなかった自分が情けないと言うか。


「それでその彼女がボノに接触しようとして屋敷内へ? 」

そう考えるのが妥当。

謁見の間で新人メイドと対面。その時に紛れ込んでいたのが今回のマーガレット。

「いえマーガラは屋敷の外を担当していました。

ボノ様と接触するメイドは一応確認してますがその機会はなかったかと。

おそらく一度もお会いされてないのでは? ボノ様も記憶にないようですし。

違う目的で潜入したのではないかと」

大胆にも我が屋敷に潜入するマーガレット。

どうやら影のメイドのような存在と見て間違いない。


「他にどんな目的がある訳? 」

「それは恐らく…… 」

ここで口を閉ざす。もう一歩のところで核心に迫れそうなのに。

「どうしました続けなさい! 」

「今回の陰謀を企てるためにブラックウッド家より遣わされたと」

どう言う意味だろう?

「もっと我々にも分かるように言ってくれないか! 」

ボノが迫る。


「はっきり申しますと屋敷の者とこっそり連絡を取っていた。

ボノ様はさほど屋敷の事情に詳しくありません。

しかし彼女が頻繁に連絡を取り合っていた者は内部事情に精通してる者。

即ち…… ご主人様の身近な者が裏切っていたことになります。

今回の陰謀はすべてその者の協力があってこそ」


「まさか冗談でしょう? 」

ボノ以外の裏切者の存在。

分かっていた気もする。でも認めたくはなかった。


                  続く

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