表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
119/125

怪しい者

嫌がるボノを説得しエクスプレスでお屋敷に戻ることに。

ボノを我が手中に収めた。相手がどう動こうと問題ない。切り札はこちらにある。


「ねえボノ。心当たりはないの? 」

ゆっくり落ち着いたところで改めてボノを追及。

「心当たり? 心当たりか…… 」

難しい顔をしどうにか思い出そうとする。

「そう言えば頻繁に接触を試みようとした者がいたな」

不確かな記憶をたどるボノ。果たして信用できる?

「それはいつ? 」

「セピユロス君とヴィーナが屋敷に来てから。うーん。正確には覚えてないな」

ボノではここまでらしい。


「それでしたら心得ています。ブラックウッド様ではありませんでしたか? 」

ボノの動きは筒抜け。

彼女の手に掛ればどんな些細なことも。

決して見逃しはしない。それが影のメイド。

ブラックウッドと言えばお姉様のパーティーの時にもお呼びしていたはず。

確かお隣のロック村の方で父親譲りの強引な性格から評判がよろしくない。

ご主人様の私を下に見ていた節があり態度にも表れていた。


「何の話をしてるの? 疑わしい人物なら一人心当たりがあるよ」

セピユロスは何かを思いついたらしい。

「執事が怪しい」

セピユロスは何を根拠にそんな戯言を?

「執事ってあの人の良さそうな彼? 冗談でしょう? 」

いくらセピユロスの意見でも受け入れられない。

彼はそんなことをする人間じゃない。

息子想いの素晴らしい執事。何と言っても私の前で忠誠を誓ったのですから。

執事もその息子も決して私を裏切ろうなどと考えるはずがありません。

確かに最近はボノに傾倒してましたがそれもボノに魅力があるからこそ。

そう考えてます。だから彼が裏切るなど思いもつかないことです。

ですがセピユロスはそんなことお構いなしに自由に発言する。


「ディーテはやっぱり分かってないよ」

ズバリ言うセピユロス。

「彼はこの私を疑いました」

銃撃の件でまだ恨んでいるよう。それはいくら何でも大人げない。

「仕方ないわ。ボノが消えお付きの者が殺されれば誰でも疑うでしょう? 」

執事の行為を非難できない。ご主人様としても一旦は捕える判断をしている。

「いや彼は私を目の敵にしました! まるで邪魔者を排除するように」

珍しく興奮気味のセピユロス。余程悔しかったのでしょう。

しかしこれはセピユロスに問題があるのであって執事は責めれない。


「あなたはどう思う? 」

影のメイドに意見を聞く。

「さあさほど怪しいとは…… 」

つまらない疑いで執事を貶めてどうする?

「そう言えば執事は最近人が変わったように…… 」

「もういいわ」

遮る。とにかくこの話は後回し。


「そうだ。ボノのご執心の彼女について話してくれません」

「ははは…… 強烈だな。絶世の美女と言ったから嫉妬して」

ボノが憎まれ口を叩く。大人げない。

「ボノ! 」

「お前が先に言ったんだろうが! 」

「メイドに手を出す方が悪いんじゃない! 」

「メイドではない! 何度言えばいい? 」

いつの間にか言い争いになり険悪なムードに。


「もう二人とも抑えてください。他の方の迷惑になります」

「うるさいセピユロス! ごめんなさい…… 」

つい興奮して自分を見失うところでした。

「ほらディーテ。落ち着いて。皆見てますよ」

視線が刺さる。ここはエクスプレス。注目を浴びては元も子もない。

これでは何のための逃避行か分からない。

「そうですよご主人様。それでその絶世の美女とは? 」

影のメイドまでが興味を示す。


「そうだ。あなたのお気に入りの彼女はこの子よりも綺麗なの? 」

「ははは…… そうだな…… 」

言いにくそうなボノ。遠慮してるのだろうか?

まさか本当に影のメイドよりも美しいとでも言うの?

もしそうなら一大事。ヴィーナには絶対会わせられない。

「ご主人様! 」

自信を喪失した影のメイドが胸に飛び込んできた。

果たして彼女は立ち直れるでしょうか?

 

「それでどのような方なのですかボノ? 」

セピユロスも興味津々。

「セピユロス! 」

「いやほらディーテに協力したくて。興味なんかないよ」

どうも信用ならない。影のメイドにも優しくしていたし。


「セピユロス君には話してなかったが名前をマーガレット。

絶世の美女だと勝手に思っている。

彼女に唆されるまま君を誘いだし隙を見て姿を消した。

君にはもう一度きちんと謝りたいと思う。済まなかったセピユロス君! 」

ボノが深々と頭を下げる。


                  続く

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ