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これからのこと

「屋敷もメイドも何もかも捨て新たな世界へ旅立て! 」

ボノの魅力的な提案に心が動かされそうになる。

セピユロスも望んでいること。

ですがさすがにボノの提案をそのままは受け入れられない。

どうすればいい?


「ご主人様! 僭越ながら意見を述べさせてもらいます」

影のメイドはまだ私を立ててくれる。

彼女がいなかったら今回のことも上手く行っていたかどうか。

逃避行だって彼女の助けがあってどうにかこうにか。

「まさかあなた…… 」

彼女の考えは見当がつく。


「恐れながらお屋敷に戻られるのが一番かと思います」

やっぱり。彼女にとっても慣れ親しんだお屋敷が良いのでしょう。

ただ私はと言うともう少し落ち着いてからでもいいかなと思っています。

セピユロスのことがあったとは言え投げ出して来た訳ですから。

ヴィーナはもう私の跡を立派に継いでくれてるでしょう。

ただの希望的観測でしかありませんが。


でもまだ落ち着いてないでしょうね。

旦那様が殺害されセピユロスが囚われ今度はご主人様の私が彼を連れて逃避行。

屋敷内は大混乱。メイドも疲れ果ててるでしょうね。

ヴィーナには今まで知らせないように配慮してきました。

ですが跡を継ぐとなればすべて知ることになる。

もう彼女も立派な淑女。最初は辛くてもどうにか立ち直ってもらわなくては困る。

そうした大混乱の真っ最中に戻るのは果たして正しい選択?

もう少し時間を置いてから戻るべきでは?


「お屋敷に戻る…… うーん。戻れるならとっくに」

もはやあそこは敵地。捕まりに行くようなもの。

慎重な判断が求められる。

「良いかもねディーテ。戻ろうよ! 」

何も聞いてなかったのではと思うぐらいハイテンションのセピユロス。

彼も当然賛成。

「ボノはどう思う? 」

「だから私に聞くな! 行ったら捕まえる気だろ? 」

仮にすべて上手く行っても陰謀に加担したボノはタダでは済まない。

もちろん助命はするつもり。ただ果たして言うことを聞くでしょうか?

うーんどうしたらいいの?

悩みに悩んでも決して答えが出ることはない。


「では多数決にしましょうか? 」

「ちょっと待ってくれディーテ! 仮に多数決でも私は参加しないよ」

ボノはやはり逃げに徹している。

「ご心配には及びませんボノ様。今度の首謀者を捕えればあなた様は許されます。

少なくても処刑されることはないでしょう。ですからどうかご協力ください」

影のメイドの一押しで話がまとまりつつある。


「ここで考えても時間の無駄。一度お屋敷に戻るのも悪くないと思うよボノ」

セピユロスもボノの説得に回る。

ただ二人とも処刑されてもおかしくない危機的状況にある。

そこだけは充分注意が必要。下手に動けばそのまま処刑台へ。


取り敢えず細かいことはエクスプレスに乗りながら考えることに。

まずはエクスプレスのチケットを手配。

後はなるべく気づかれないよう目立たないように最大限注意を払い、事に当たる。

もうそれしか選択肢は残されてない。


テキュサー駅には昼過ぎに到着。

あと一時間後にエクスプレスが出発する。

念の為に警戒は怠らない。

誰かおかしな人間はいないか?

こちらをじっと見る者はいないか?

もうこれ以上のトラブルは避けたい。


「ねえ、お土産は何がいいかな」

一人何も考えてない呑気な者が。

「セピユロス! 」

「分かってるってディーテ。でも旅の記念に」

ちっとも分かってない呑気なセピユロス。

「ボノも行くのでしょう? 」

この段階になってもまだ決心がつかない様子のボノ。

自分から捕まりに行くようなもの。誰がそんな間抜けなことする?

「覚悟は出来てるさ。だが下手すればお前らも巻き添えになるかもしれない。

忠告はした。もう私は知らないからな! 」

ボノの不吉な予言。


汽笛が鳴り出発時刻が迫って来た。

本当ならセピユロスと二人っきりで異国の地でのんびりと。

それも決して悪くない。

ですが決着をつける必要がある。

ご主人様として一連の陰謀を阻止できなかったことを大変残念に思う。

だからこそ屋敷に戻りすべてを取り戻す賭けに出ることに。


出発!

エクスプレスはテキュサー駅を定刻よりも三十分遅れで動き出した。

まあよくあることだよとセピユロスから説明を受ける。

今回は逃避行と違い堂々と座ることに。団体客とは言えこの方が目立たない。

ボノを我が手に収めた。相手がどう動こうが彼を切り札に使えばいい。


ついに最後の戦いが始まる。


                 続く

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