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直接対決

コンコン

コンコン

「はい。どうぞ」

ボロにはしっかり口止めしました。ですがもちろん守るとは限りません。

彼にとって私はただの義理の妹に過ぎません。優先すべきは血の繋がったボノ。

「お邪魔します」

ギーと扉が軋む音が。

「ああ、お客さんか珍しいね。ボロのとこに来るなんて」

笑顔で出迎えるボノ。

「ははは…… 」

一瞬で表情が凍り付く。


「お久しぶりです」

「済まん。つい…… 」

言い訳を始めるボノ。

「どうしました旦那様? 」

「いや違うんだ。誤解だ! 何かの勘違いだ! だから…… 」

後退りし震えた声で下手な言い訳をする情けないボノ。

ボロに助けを求める始末。

まるで兄の後に隠れる幼い男の子のように。


「ボノ。探しましたよ」

セピユロスは状況判断が出来てないのか笑顔で握手を求める。

もはや狂気と言ってもいい。

「セピユロス君はどこまで把握してる? 君にも迷惑を掛けたがここは穏便に」

「何を言ってるのボノ! 」

「ディーテ…… 」

「まあまあ。ほら二人ともゆっくりしていってくれ」

状況を理解できずに不自然なほど明るいボロ。

喧嘩して出て行ったボノを迎えに来ただけだと思ってるからか危機感がない。

いやもう一人。すべてを理解してるはずのセピユロスが笑顔を崩さない。

ああ! どうしてしまったのセピユロス? 

目の前の男があなたを裏切り罪を着せた張本人なのよ。

もし私が動かなかったらあなたは処刑されていた。決して許してはいけない。


セピユロスは私の気持ちなど理解出来ずに笑顔。

笑顔を絶やさないのは決して悪いことではないですが時と場合を考えるべき。

ボノがあなたの笑顔に恐怖してるのが分からないのですか?

なぜかボノには効果絶大。これで良かった?


「ボロ。済みませんが少し席を外してくれませんか」

「いやちょっと待って…… 」

「そうだな。二人でよく話し合うといいよ。馬の世話をしてくるわ」

気の利かないボロですが言われれば従ってくれる。

そこが彼の数少ない良いところの一つ。

こうしてボノは唯一の味方を失うことに。

ボロが出て行き落ち着いたところでボノと対峙する。


直接対決。

沈黙が支配する。

さすがにボノも言いずらいのか静か。

変な空気に。まるで出会った時のよう。

と言っても当時はお姉様のお友だちだったからすぐに打ち解けましたけどね。

「あの…… 」

やはりこちらから言うのは違う。ボノが改心しすべて話してくれることに期待。

ボノお願い。もうこれ以上私たちを苦しめないで。

「どうしたんだディーテ? 迎えに来るなんて君らしくない」

まだシラを切ろうとする。

メイド関係でも常に冷静で嘘つきの恥知らずなボノが優勢だった。

この状況でもまだ言い逃れようとするなんてどう言う神経をしてるの?

そして隣のセピユロスは何も考えてない。どう言う神経してるの?


「ボノ。分かってるくせに! 今さら言い訳をしようと言うの? 」

これはただの浮気なんかじゃない! 謀反を起こし我が一族に立て突いた。

まさかその自覚がないとでも言うの?

とんでもない方を旦那様に迎えてしまったらしい。

「あの…… いや何でもない…… 」

セピユロスには黙るように指示している。

彼が入れば余計に話が混乱してしまう。


「ボノお願い! 」

「済まなかったディーテ。セピユロス君も。

まさか心配を掛けるとは思わなかった。あれから何が起きたんだ? 」

ボノはまだ言い逃れようとしている。

「あれから? あなたがセピユロスを嵌めてお付の者を射殺したんじゃない。

あんな残酷なことをして今更言い訳するなんてどうかしてる! 」

もう言い逃れは出来ない。姿を晦ましたのが私たちを裏切った何よりの証拠。

私たちを破滅に追い込んだ張本人のくせに。それなのに…… 

これではまるで喧嘩して出て行った夫を連れ戻しに来たみたいじゃない。

もちろんボロにはそんな風に伝えましたが。

真に受けるのは彼が何も知らないから。

屋敷で今何が起きてるか知らないただの部外者。

それを知っても笑っているセピユロスもいますけど。


「冗談は止してくれ! 私は何もしてない。ただ言われた通りに…… 」

そこで口をつぐむボノ。

「言われた通り? 一体何? 私たちを騙す気? 」

もはや信用を失ったボノの話など聞くに値しない。


                続く

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