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ボロの歓迎

メモを頼りに行動開始。

ボロのお家は確かこの辺だと思うのですが。

牧場の奥にある坂を上ると見えてきた。

さすがは馬好きなこともあって姿がある。

数頭を所有しているらしい。

目の前に一頭。奥にもう一頭。それから……

もう一頭を連れて男が姿を見せる。

ボロだ。

さあここからが勝負ね。


「大丈夫かいディーテ? 体調が悪そうだけど。緊張してる? 」

セピユロスの気遣いは嬉しいのですが勘違いしてる。

長旅の疲れもありますしボノのことも当然ある。でも違う。

馬が大の苦手。本当は見るのもちょっと…… でも逃げ出せない。

 

「おーい! おーい! 」

セピユロスが大声で存在をアピールする。

「こら若いの! 馬がびっくりしたらどうする? 」

睨みつけたその顔はボノにそっくり。

やはり彼こそがボロ。お義兄様のボロ。

「いや申し訳ありません。つい興奮してしまいました」

また頭を掻いていい加減なことを。

馬好きだと言っていたがセピユロスがここまで興奮するなんて本当に子供みたい。

私はと言うと出来れば今すぐにでもここから逃げ出したい。


「それでここに何の用だい? 」

ボロは私の正体に気づいてない。何度もお会いしたのに失礼な。ご主人様ですよ?

お屋敷でのご主人様の姿と今のみすぼらしいメイド姿では一致しないのでしょう。

それは彼が今も変わらずひっそりと生活しており陰謀に加担してないことになる。

彼は敵ではない。逆に最大の支援者となるでしょう。

ただボノの情報を得るのは難しそうですが。


「実は…… 」

「乗りたいなら牧場に行けばいいだろ! 」

機嫌が良いのか悪いのか口が悪い。人当たりの良いボノとはえらい違い。

「お久しぶりですボロ」

果たして私の正体に気づいたでしょうか?

さあどう言う反応を示すか?


「ああ何だディーテさんか。突然来られたから警戒したよ」

馬の世話を終えるまで待つように言われたのでじっくりその様子を見守る。

本当は気が進みませんがボノの件もありますし。

「済まないね。それで何の用だい? 」

あれ? 反応が薄い。

「実は…… ボノがそちらにお邪魔してませんか? 」

大変聞きにくいこと。行方不明のボノ。一体今どこにいるやら。

「ああどおりで。ボノの奴一昨日いきなり訪ねて来たと思ったら泊めてくれと。

仕方なく置いてやってる。ああ今はどこかに行っちまったが夜には戻って来るさ」

ボロはいとも簡単に告白する。

これは手間が省けた。


気がかりだったボノの行方が判明した。

やはりボノは殺されても死んでもいなかった。

逃げ隠れていた。

ただなぜこんな愚かなことをしたのか動機はまったく分からない。

直接問いただすしかなさそう。骨が折れる。


「ねえボロ。彼の様子は? 」

ボロにはボノはどのように映ったのか。

「ああ笑ってるがどうも寂しそうで。ディーテさんは弟を連れ戻しに来たんだろ?

いや俺もそれが良いと思ってる。早く仲直りして連れて帰ってあげな」

迷惑そうなボロ。元々孤独を楽しむボロには迷惑でしかないのだろう。

それにしてもボノったら何も言わずに匿ってもらうなんて。

まあ真実を言えば泊めてはくれないでしょうが。


これはチャンスかもしれない。

ボロがこう言う性格だから余計なことを言わずに転がり込んだ。

今その住処に辿り着いた。

後はボノが戻って来るのを待てばいい。

いくらでも言い訳を聞いてあげましょう。

でも人一人殺しセピユロスに罪を被せる人でなしの話まともに聞くでしょうか? 

私が仮に許してもセピユロスが黙っていない。

こんなひどい目に合わせたのはボノ自身なのだから。


取り敢えずボロにお食事をご馳走してもらう。

男のダイナミックな料理。

塩と胡椒で味付けしたステーキを塊ごと。

それからトウモロコシにニンジンに丸形のネギ。

これを豪快に焼き上げる。

ソースと焦げた匂いが食欲をそそる。

「あのこの肉は…… 」

「これはな。ビーフだ。この地域の特産品でな。俺も気に入ってる。

どうだお替りもあるから好きなだけ食べていきな」

お言葉に甘えて食べきれないほどのご馳走を頂く。

うん久しぶりの食事。しかも豪勢な料理。美味しくないはずがない。

「うまい! うまい! 」

セピユロスは遠慮なしに平らげる。

私も半分切り分けてもらい。ゆっくり口に運ぶ。お腹も膨れ充分満足。

後はデザートがあればいいんですがまあここはボノで我慢しましょうか。


「では夕方にでも来るといいよ。その頃にはボノも帰ってくるだろうから」

お人好しのボロ。少し悪い気がするけれどこれは仕方ないこと。

さあそれまでゆっくりしていましょう。

牧場に寄ることに。


                続く

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