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追手?

厄介な女性に遭遇。

大変困ったことに自己紹介する流れに。

まずい何と答えればいいのでしょう?

せっかく変装してきたのに身元を明かせば意味がなくなる。


「私はえっと…… ご主人様ではなくて…… 」

ど…… どうしましょう? 何も考えていない。

「あなたお名前は? 」

「ホホホ…… ごきげんよう」

笑ってごまかそうとするも許してくれそうにない。

「まさかお名前がないのではありませんよね? 」

変な誤解を受ける。

ないはずはない。ただ名乗れないだけ。


「失礼しました。こちらはトレイディー伯爵夫人です」

セピユロスが間に入ってくれた。

「トレイディー伯爵? 聞いたことありませんね」

「随分遠くですのでご存じないのも仕方ありません。

お嬢様はお忍びでこの辺りを回ってるんです。ご迷惑をおかけします」

「いえいいんですよ。それはまったく問題ないわ。

ただなぜメイドのような格好をなさっているのか気になりまして」

「お忍びの旅ですから。どうかその辺のところはご理解ください」

セピユロスは口からすらすらと嘘を。

これだけ息を吐くように嘘をつける人は信用できない。

まるでボノみたいじゃない。

有能なセピユロスに関心する一方で誠実が売りだった彼の変貌ぶりに驚かされる。

大丈夫よね? セピユロスに限ってそんなこと……


「お気をつけください。物騒ですからね」

どうにか納得してくれた。

そろそろ到着の時刻だ。

「ごきげんよう」

トレイディー伯爵夫人として挨拶する。


テキュサー駅へ到着。

ようやく目的地。この後は乗り合い馬車でボロの家へ。

あれ…… 違和感がある。

数人の男がじっとこちらを見ている。追手? まさか気づかれた?

念の為にセピユロスと一旦離れることに。

大丈夫。慎重に慎重に。

人混みに紛れ男たちの監視を潜り抜ける。

危機を回避したとホッとしたのも束の間。セピユロスが捕まってしまう。


「おいそこの奴! 」

「はい何でしょうか? 」

「お前いくつだ? お前ぐらいの年格好の奴を探している」

どうやら情報が筒抜けのようだ。ただ顔は分かってないらしい。

「三十歳です」

「嘘をつけ! 一発でばれるような嘘をつきやがって」

「あれ気づきました? そう本当は僕十五歳なんです」

「おお…… デカいなお前。そうだメイド姿の女を見なかったか? 」

「さあ…… もう行っていい? 」

「行け! 」

セピユロスは賭けに出たようだ。

明らかな嘘をつきふざけてると思われたところで実際よりも少なく言う。

こうすればただの面倒な者だと思われ通してくれる? はずないんですがね。


メイド姿は目立つのでセピユロスの上着を貸してもらった。

あの人の助言が功を奏した形。

どうやらメイド姿の私を目撃した者がいたのだろう。

セピユロスと一定の距離を取り、乗り合い馬車で合流。

ここからはもっと目立たないように大人しくしてましょう。


「あの落ちましたよ」

影のメイドに用意してもらったメモがポケットから落ちたらしい。

「ありがとうございます」

これがなければ目的地に辿り着かない。

大まかな地図と住所がメモしてある。貴重なもの。

「いえ…… 」

それ以上の会話は控える。

見た目は私と同様に変装してよく分からないがヴィーナと同じかそれよりも上。

どうも聞覚えのある声。勘違いだとは思いますが気になる。まさかメイド?


乗合馬車でテキュサーの山奥にある牧場へ向かう。

いえ別に牧場見学をしたい訳ではありません。

ボノの兄ボロは大の馬好き。牧場近くの一軒家で隠れるように暮らしてるそう。

何度か我が屋敷においでになった時に楽しく話していた印象が強い。


「まだなのディーテ? 」

セピユロスが飽きて来たそうだ。

「我慢してもう少し」

「でも座り過ぎてお尻が痛くなってきたよ」

まるで子供のようで恥ずかしい。

今度は親子の振りでもするつもり? 私は嫌なんですけど。

親切な女性に笑われる始末。

まあ全員笑っているのですけどね。

恥ずかしい上に目立つから止めなさいと言っても止めない。

これは本当に困った。どうしたものか。

さっきまでの完璧なセピユロスはいない。幻想だったのでしょうと諦める。


                続く

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