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ボノ追跡

セピユロスとの逃避行二日目。

朝早くに隠れ家を捨てペイジー駅へ。

エクスプレスでテキュサーに向かう一時間弱の旅。

そこからは馬車で目的地へ。

無事エクスプレスに。これで一安心。

これからのことを話し合う。


「ディーテ? ディーテ! 」

今日までの激動の二日間を振り返っていたせいか反応が遅れた。

「どうしたのセピユロス? 」

「ディーテ。どこへ向かうのでしょうか? 」

セピユロスは話を聞いてなかったのか覚えが悪いのか戯言を。

弱っていたとは言え私に頼り切り。逃亡者としての自覚を持ってもらわないと。


「セピユロス! 」

「ああごめん。念のための確認だよ。ははは…… 」

「もう! テキュサーでしょう。あそこにはボノのお兄様のボロが…… 」

「ええっ? 逃げるのでは? てっきり果てしない二人の逃避行の旅だとばかり」

やはりセピユロスは真面目に人の話を聞いてなかった。

私も最初はそんな風に悲観してた。

ボノ殺害容疑のセピユロスを連れて逃げたのですからその覚悟ぐらい。

でも逃げてばかりでは何の解決にもならない。だからボノを探し出す。


セピユロスはすべて私に任せっきり。これでは本当にこの先が思いやられる。

「逃避行はいつでもできます。今はボノを探すの」

「ちょっと待って。ボノは確か殺されたのでは? 」

「ええあなたの手によってね。認めるのでしたらすぐにでも引き返しますが? 」

「冗談だろディーテ! そんなことするはずがない! 」

「どうかしら。つい衝動的に撃ちたくなることだってあるでしょう? 」

「いや違う…… 信じてくれディーテ! 」

ようやく真面目になった。自分のことですものねそれは真剣にもなる。

「そう違う。だからボノの手がかりを探してるんでしょう」

「まさかテキュサーにボノが? 」

「ボノが逃げてるならその辺りが一番手頃の逃走先」


ボノはセピユロスとハンティング中に失踪した。

自分の意志にせよ命令されたにせよ領内を抜け出す必要がある。

近いロックに抜ける方が簡単ですがそれでは人目につきます。

この計画を成功させるためには目撃されてはならない。

ロックでは気づかれる恐れが。

それに比べペイジーは交流も少なくお忍びには持って来い。

私たちも同様に逃れて来た訳ですから。

これはすべて推測に過ぎませんがほぼ間違いないでしょう。

だとすれば考えることは知り合いの方に匿ってもらうこと。

できるなら手引きした者について行く方が安全。

ただ関係が深ければそこから発覚する恐れも。


とにかく手引きしたにしろ一人で逃げたにしろ行くところは限られます。

ここからエクスプレスで一時間弱なら絶好の場所。

この考えに至ったのは私たちがペイジーに逃れたからであって偶然でしかない。

ボノも私たちの現状を知り得ようがない。

まさか追いかけてくるとは夢にも思ってないでしょうね。

ボノは銃殺されたことになってるんですから。


ボノはどうしたのでしょう?

いくら大金に目がくらんだとしてもこんな大それたことが出来るとは思えない。

まさか…… 私の考えが正しいならもっと恐ろしいことが起きていることになる。

どうであれボノを探し出さなくてはいけません。

ボノは敵の切り札であり私たちの切り札でもある。

すべてボノに直接問いただせばいい。

仮に私の前にのこのこ現れたのならまだボノは人間の心を失ってないことになる。

ご主人様としてボノを探しだす。

それがお屋敷を守ることにもメイドたちを路頭に迷わせないことにもなる。

近くで匿ってくれる者はボロしかいない。


「いなかったら? 」

「別のところを当たります」

「手掛かりはあるの? 」

「ボロが何か知ってるかもしれません」

「それだけ? 」

「お静かに! これ以上はここでは」

「大丈夫だって。逃走先は知られてない」

楽観視するが果たしてそんなに悠長にしてていいのでしょうか?

追手がこのエクスプレスに乗ってない保証もない。

何となく嫌な予感がする。

視線を感じる。つけられてる?

まずはテキュサーに到着してから。それからは出たとこ勝負。

これではご主人様失格ね。


最悪一気に三人失うことになる。

特にヴィーナ…… 

ああヴィーナ。後を継いでくれるといいのですが。

もう隠しようがない。すべてを知ることになる。

はっきり言ってもう立ち直れないでしょうね。

ヴィーナを考えるあまり涙が溢れそうになる。

「大丈夫さ。何とかなるよ。そうだろディーテ? 」

ようやく本来のセピユロスに戻った。

「そうだ。ここは狭いから移動しようか」

セピユロスの後について行く。

うん頼りになる。


                続く

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