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突然の死

『明日もまたリアルで遊ぼーねー!』

「うん。じゃ、おつかれー...って、帰ってくんの!?」

『お疲れー♪』

ネット通話から聞こえてくる女性の声が無くなったのを聞いて、ボクは少し呆れながらも通話を切る。


ボク...百鬼由架は、こんな名前だけど一応男だ。まぁ、極度の童顔だしほとんどの人には、それも知り合いですらもボクの事を女だと思っている人が多いぐらいだけど。

からかいで男の娘なんて言われることがあるけど、せめて名前をどうにかして欲しかった。もしくはもっと男性ホルモンの分泌量が多くなればよかった、とは思う。


さっきまでボクと通話していたのは、ボクを男として見てくれる数少ない友人...というか幼馴染で、今はちょっと離れたところに出張している父親と一緒に暫く海外にいる有馬祐樹。こちらも名前とは逆でれっきとした女の子だ。

ただし胸はない。一切ない。下手したら男の僕よりもない。もちろん、そのことを揶揄うとその日の夜は折檻と「教育」と称した洗脳があるんだけど。その洗脳も、だいたい三週間で解ける。前洗脳を喰らったのは彼女が海外に行く前の日なので、2ヶ月経ったいまではすっかり溶け切っている。


悪い子ではない。ただ、ちょっと愛が重い時がある気がする。家を維持するために海外に行かなかった有馬家の妹の方で、僕に結構懐いている由芽菜ちゃんと話すと、そのあとは精神乱高下状態の祐樹がヘラってるのを宥めなきゃいけない。


ただ、以前すごく疲れている時に家に来ていた由芽菜ちゃんを撫でて、それで寝て起きたらブルーシートを床に敷いて透明手袋を着けた祐樹が僕の上に乗って少し腹を割いていた時はすごく怖かった。

幸いその時は頬にキスしてことなきを得たけど、今度はどうだか分からない。特に、海外出張している状態の祐樹がヤンデレに変化してボクのことを監禁・殺害しようとしなきゃ良いんだけど。...大丈夫だと言えない自分が辛い。


そもそも存在しない両親に怒られることはないけど、早めに寝た方がいい。ボクはゆっくり眠ることにした。

「いてっ」

一階にあるPCをシャットダウンして、階段を登っていたら最後の一段を踏み外しかけた。手すりに捕まって登るタイプだったから大丈夫だったけど、転んでいたら顔面が酷いことになっていたかもしれない。気をつけなきゃ。

ベッドにダイブして、眠りにつく。


夢はいつも通りに、僕の首に祐樹が包丁を突きつけてきて、「一緒に死の?」と言ってきてる所だった。

包丁が少しづつ首に刺さって...

「僕が一番だもんね?ね?...ね〝?」


「あ...ぼ、ボクは...。」

いつもなら喋ることができず殺されるのに、今日は突き刺されない。

「あ、良いよ喋らなくて。私はどっかに消えるから、由芽菜とお幸せに...ね?」

「いや、ちがッ...」

手を掴もうとしたボクの手が、祐樹を捕まえられなくて。ボクはーーー



「祐樹ッ!」

気づけばボクは、ベッドの上で手を上に伸ばしていた。わからないけど多分、いつもの夢だ。大抵夢を見る時は祐樹の名前を口にして目覚める。

...でも、なんだろう。すごい汗が出ている。悪夢でも見たのかな...?

空は、朝なはずなのにちょっとだけ暗かった。


「お兄ちゃんっ!」

夕方。土砂降りの雨の中、家に焦った様子の由芽菜ちゃんがやってきた。

近くの家といっても、20mぐらいは離れている。こんな雨の中で傘も刺さないでやって来るなんて相当切羽詰まってるのかもしれない。


髪をタオルで拭いてやりながら、ボクは由芽菜ちゃんに聞いてみる。

「どうしたの?そんな急いで。もしかして、一時的に帰省する予定だったあの二人が乗った飛行機が墜落したとか?」

すると由芽菜ちゃんは顔の色を変えて、「なんで知ってるの!?」と驚いて...。

......

「...え?」

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