1.白薔薇が生まれた日。
あらすじ的なやつです。多分。
ミシェルは、生まれた時から何ものにも染められていない真っ白な、白薔薇だった。
両親は喜ぶと同時に嘆いた。白雪は歳を取れば稀に色付く者もいる。しかし、白薔薇は歳を取ろうが魔法で髪を染めようが、白いままだ。何にも染められない白薔薇は一生この檻から出ることを許されない。そんな白薔薇に産んでしまって申し訳なさで両親は心を痛めたが、産み落とされたばかりでまだ言葉を理解出来るはずのないミシェルと名付けられた白薔薇は安心させるように笑った。光そのものの笑顔を向けられた両親は泣き、謝ることは辞め、精一杯愛すことを誓った。
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それから6年経った。ミシェルは今も尚、白薔薇だが年相応の活発な少女になっていた。
家の外へ出ようとしていたミシェルは玄関先でふと両親に何も伝えてなかったことを思い出し、家へ向かって声を張り上げた。
「かあさま、とうさま、みんなとあそんでくる!」
「ええ、行ってらっしゃい。ミシェル」
「父様はいつもの畑にいるからな。何かあれば来なさい」
「はあーい!いってきまーす」
元気な返事を残し、家の外へ出ていってしまった彼女の背中を両親はしばらく眺めていた。
6歳頃の子供は村の外へ出たがるがミシェルは一言も外へ出たいなど言わなかった。そんなミシェルを見ていた両親は、ホッとすると同時に心が締め付けられるようだった。白薔薇だから、と口にせずとも態度が出ていたのかもしれないと。幼いながら囚われていることを理解し、困らせないように無理しているのでは…と。
そんな日々が続いていたが、ミシェルが11歳の時。ミシェルが急に外へ興味を持ち出した。
ミシェルはリビングの椅子に座りながらテーブルに体を投げ出すような姿勢で、皿を洗っている母親の後ろ姿に声をかけた。
「母様は、村の外へ出たことあるの?」
「っ!‥急にどうしたの?」
「あっ!私が出れないのは分かってるの!」
「ごめんなさい‥ミシェル」
「なんで謝るの?母様が悪い訳じゃないよ!‥‥変なこと聞いてごめんなさい‥」
「母様の方こそごめんね。」
この時はなあなあになってしまい、話は流れた。でも確かにミシェルが外に興味を持ったことに母親は気づいた。
ここで話を聞いていれば、ミシェルは苦しまなくて済んだのに、と母親は悔いたがその事に気づく頃にはもう‥‥。