第十八話・知りたかったこと
ゲームと異世界の因果関係はなんとなく理解した。
主神の話によれば、予見により物語を作成する人は一握りであることと、日本人のそれもファンタジー系の乙女ゲー作成者に多いらしい。
逆に私が好きだった錬金術師兄弟の話や、親友が萌えていた海賊やらの話みたいなのは予見者である事が少ないらしい。ということは、がんばれ、作者先生。でも、漫画の続ぎが読めないのは少し寂しい。
「……あのストーカーの女性私が死んだ後に死んだのか?」
知っておかないといけない気がした
私の問いに主神は少しの空白の後、カタカタと文字を刻み始める。
『こちらの世界の人にも警戒を強めるために彼女の死に方を教えておく。
度重なるストーカー行為を受けて、接近禁止命令が出ていた彼女は家族の監視のもと、精神病院に行くまでの間、自宅に監禁されていた。
だけど、あの日、彼女は自分を止める祖父をナイフで刺し、家から逃亡。君たちの高校の近くの交差点に辿り着いた。そして君の傍にいる彼女に激情しナイフを振り回そうとしていた。
そこにバスが突っ込んだ。その上、事故自体も偶然の産物ではない。爛れた人間の悪意が入っている。ただ僕たち神として思う。彼女があのままナイフを振り回していたら、死んだ人間は転生ツアーでの魂の救済に入れなかった。それだけが救いじゃないか、と』
救いかどうかはわからないが『生』を続けられるのは楽しいかも。
「あの女の監視、増やしなさい。馬車はどんなのでもいいからさっさとこの屋敷から配送する手配をしてちょうだい」
『特に君たちの国は宗教観で、未成年者が親より早く死ぬのは罪になる設定になってる。『親不孝』っていうんだっけ?』
え、水子が拡大解釈されてんの?じゃあ、前世の分も今世は充実した生を送らないとな。
「孤島の修道院あての手紙を旦那様に書いていただいてます。手紙は馬車を追いかける形で行きますので、出立を!」
「それよりも強固な陛下と議会からの手紙も作成してもらってます。追加で行きます。監視役は最大数量で出発しなさい」
………それよりも後ろが、母上と執事と侍女頭の命令系統がすごいんですが。無視、して、いいかな。
「あの事故で、私が認識している知り合いって何人なくなったんだ?」
『君のクラスメイトはあと、3名。高杉遥都、三郷夕夜、それから及川愛理。あと、君と一緒に帰ろうとしていた及川歩夢も妹を守る形で亡くなってる』
…………………え?
「ストーカー1号、なんで?あの人まで現場にいるの!!」
何やってんの、歩夢兄ぃ!いやあの人の事だから、大学の講義が早く終わる➡俺と一緒に帰れるかも➡高校誓うの交差点へ➡事故に巻き込まれって構図が普通にできあがるわ。
私の『ストーカー1号』を耳聡く聞きつけた母上が慌ててこちらに来る。
パメラは「そういえば、歩夢さんいましたね」と言ってるから知っていたようだ。どうやら彼女が先ほどのストーカー2号の直前に交差点に来た人物なようだ。
主神の書き込みを見ながら、当日の位置関係などを思い出しているようだ。
「ストーカー、まだこちらに来てるのね?対策を……」
「大丈夫です、母上。1号である歩夢兄ぃは基本的に俺が嫌がることはしません。俺のストーカーであること以外、優秀で、頼りになる人なので」
「それはストーカーである時点ですべて台無しではなくて?」
正論ではあるが、本当に頼りになる人だったんだよな。被害届の提出の際も、自分の手足になる警察上層部を顎足で使ってあっという間に接近禁止令をもぎ取ったからなぁ。
「……お兄さんもあの事故で無くなってるなら、お兄さんの雰囲気にそっくりなキャラクターになっている可能性はありますか?」
『………ノーコメントで(滝汗)』
どうやら、パメラが思いついたキャラクタで大正解のようだ。
って言うかあのストーカー以外完璧超人のあの人に該当する人がいるんだ。
パメラも自分の答えに自信を持ったのか、母の袖を引っ張る。
「だったら、決まりです。母様。この人はおそらく帝国の皇太子に生まれ変わってます」
「「「「「はあ?」」」」
本日、何度目かの爆弾発言は私と大人たちの頭上で盛大に爆発した。




