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転生者がいっぱい  作者: 白石めぐみ
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第八話・武道の確認

サフィールの食事が終わり、少しだけ休んでから裏庭にある訓練場へと移動した。

訓練場に着いたところで、カーチェが何かをマーシャに指示し、彼女は速足でどこかに向かった。

そのようすをみながら、まずはストレッチ。ついでにすべての関節の可動域を確認する。私の魂が目覚めた事でステータス的には問題なさそうにも見えるが、感覚的には時間をかけた調整が必要だと判断される。特に武道関連のスキルをそのまま行使すると、間違いなく筋を痛める。

私は深い呼吸で気を集中させ、昔齧った太極拳の動きをトレースする。

筋肉に負担がかかり過ぎ無いように負荷を与え、緊張と弛緩を繰り返す。

だいたいの身体の状態を把握したら、今度は空手の型を行なう。17歳だった前世に比べるとスピードも遅いし、精度も低い。

一通りの型を行ったると、呼吸を整え、背後に控えている護衛に問いかける。

「竹刀か木刀か木剣ってある?」

一番若手の護衛がすぐ近くにある備品庫からいくつかの木剣を抱えて帰ってきた。

短剣を模したもの、長剣を模したもの、まだ体が小さい私が使うことを考慮したのか、大剣などの模造剣はない。

柄を握りながら確認してると、カーチェの指示で館に行っていたマーシャが戻ってきた。その手には前世で見慣れた木刀と竹刀が握られている。

「こちらをどうぞ」

まず差し出された竹刀を受け取り、両手で握り構え素振りをする。ひゅんっと風を切る音が、心地いい。

数度感触を確認してから、マーシャに竹刀を返し、今度は木刀を受け取る。此方も数度の素振りで重心の位置や重さ・感触的に今の身体ではすこし負荷が高すぎる。ただ、居合の稽古をするには木刀の方がいい。

腰を落とした状態から、抜き打ち、鞘口に見立てた左手の平に戻す。腕の長さがネックになっているが、一連の流れはきちんと覚えている。

最後の弓は、流石にこの身体では無理だ。

私はいつもの通り、鍛錬場に一礼してから側に控えていたマーシャに木刀を返した。

「カーチェ、私用の木刀と竹刀を手配出来るかな」

笑顔で問いかけると、彼女は心得ているとばかりに

「明日、職人がアレキサンドル様とサフィール様の採寸に来て下さります」

と答えてくれた。

「わかった。

サフィール、明日から教える形でも大丈夫?」

「はい、兄様!」

弟の目がキラキラしています。

「最初のゆっくりなのは踊っているみたいで、次の強い動きはかっこよかったです!剣先もすっごく早くて、今まで見た剣術と違ってて、すっごくすっごく興奮しました」

弟の目がこれ以上ないぐらいキラキラしてます。鼻息も荒く、めっちゃ褒めてくれて気恥ずかしいです。

「私が前世で納めてるのは、合気道、空手道、剣道、居合道、弓道。あと、齧った程度だけど太極拳と流鏑馬はやったことがある。

最初の2つは武器のない時の戦い方、次の2つは剣術に通じてて、最後のは弓になる。太極拳は準備運動っていうか、武道をやるための身体作りに役に立って、流鏑馬は馬を走らせた状態で弓を射る競技だった。

動きは覚えてる見たいだから、これを教えるって事でいいかな?私たちの状態からみて弓を引くのは難しいから、それ以外で何か重点的に習いたいものあるなら、それを優先するよ」

流鏑馬の説明で周りがざわつく。どうやらこの世界では弓は特定の場所で止まって打つものらしい。競技とは言え、走らせた馬の上から射ることが出来る武人はいないようだ。

「『やぶさめ』がやりたいです!だから『たいきょっけん』で基礎をやりたいです」

サフィールも流鏑馬を行なうための基礎体力を作ることから始めるようだ。



ふと、視界の端に何か小さな子供の姿が入ってきた。まあ、自分も子供なんだが。

淡い金色の髪に菫色の瞳、幼女らしいふくふくのほっぺを薄紅色に染めている。子供らしいフリルがふんだんに使われたピンクのドレスご相まってビスクドールのようだ。

「いかがなされました?パメラ様」

私の視線に気づいた侍従のひとりが尋ねても、彼女は溢れそうなほど目を見開いたまま、反応しない。

「パメラ?」

たしか、転生者な妹の名前だ。ではこの小さな女の子が私の今世の妹だろうか。

私は逸る気持ちを抑えながら、驚かせないようゆっくりと彼女の元へ歩を踏み出す。

「大野木くん?」

どうやら、彼女はわたしの前世での知り合いだったようだ。

やっとゲームで言うところのチュートリアル部分が終わりました。

次話はパメラの前世になります。

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