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第2話:異世界転生?それとも?

 「なにジロジロ見てんのよ……失礼なヤツね」


 どれくらい見つめていたのか目の前の少女の言葉で我に返る。少しバツが悪そうに頭を掻く啓吾をジト目になりながら銀髪の少女が見つめ近づいてくる。

 (ジト目でも可愛いな……なんかいい匂いするし……)

 普段のニート生活による女子との関わりの無さからか、夢の世界にもかかわらず自分の胸の動悸がうるさいほど感じる。

 (しかしなんか匂いもするしドキドキするし夢の世界なのにメチャクチャリアルだな、おまけに夢の世界なのにさっき思いっきり動けたし……はっ!? もしかしてこれが明晰夢ってやつか!? しかもこんな美少女が出てくる中で明晰夢って最高すぎだろ!)


 「ちょっと! 何いきなりニヤニヤしてるのよ! それともどこかケガしたの? 大丈夫?」


 そんな考えが出たのか急にエロオヤジのようにニヤニヤしだした啓吾に少女が一瞬怯むが、心配そうに見つめてくる。


 「大丈夫。 よし、じゃあ夢から覚めないうちにさっさと始めようか」

 「何言って……きゃぁああああああ!!」

 「はっはっは、照れない照れな――ぬふぅっ!?」

 

いきなり着ていたシャツを脱ぎ捨て上半身になった啓吾を銀髪の少女が剣の峰で思い切りぶん殴る


 「何いきなり裸になってんのよ! 助けてあげたのに最低っ! 助けるんじゃなかったわ!」


 (マジ痛ぇ・・・って、え!? 痛い!?)


 「だから言ってるでしょ! 夢じゃなくて(ゲンジツ)なんだって!」


 目の前の少女の言葉に戸惑いつつも、真っ赤になってる顔もギャップがあり可愛くて高ポイントだなと啓吾はまだこの時は気楽に考えていたのだった。



---



 「で? つまりこれはあれか? 今流行りの異世界転生ってやつ?」

 「なにそれ、違うっていってるのに、だから『夢であり、現実』なのよ! あーもー、初心者だから助けてあげたのにセクハラされるわお礼も言わないわ最低のヤツ助けちゃったわ!」

 

 先ほどよりは収まったが未だぷりぷりと赤い顔で怒る銀髪の少女の言葉によれば、理解しがたいがこの状況は夢ではなく、現実……つまり自分はこの銀髪の美少女に危ういところを助けてもらったらしい


 「ごめんよ、夢だと思って変なことをして。まだよく分かってないけど、助けてくれてありがとう。俺の名前は――」

 「ストップ! 自分の名前言っちゃダメ!」


 ビシィッ! っと手の平を向けながらこちらを制する。


 「ここはさっきも言ったように夢だけど(ゲンジツ)の世界、元の世界に触れることは話さないで」


 (異世界転生ではなく現実で……でも……夢?)

 先ほどの赤い顔はなくなり、少女の真剣な顔から冗談ではないことが分かる。少女の勢いに押され、先ほどの夢のようなふわふわした気持ちがなくなり、急速に現実の冷えた感覚が襲ってくる。


 「分かった、詳しく話を聞いてもいいかな?」

 「……とりあえずここは危ない、近くに町があるからそこへ行きましょう。」


 風に銀髪をなびかせながら歩き始めた少女の背を負いながら、小鬼だったものを改めて見る。そこには悪夢以上の悪夢である現実があった。


 「夢じゃ……ないんだな……」


 吹いている風にぶるりと震えながら、少女の後を追って小走りに走る。

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