落ち着いたと思ったら襲われた
何か文章がギュッとしてしまう。
ほいさ、トリィです。
ニアちゃんの足元で惨めに丸くなること数分、気が付けば騒ぎが収まっていました。前世と比べれば、この世界はかなり死が近いので、慣れているとはいかなくても、ある程度受け入れて14年過ごしてきましたが、生死が関わる現場に居合わせたのは初めてです。
というか、出来ることなら経験したくもなかったですね…。
ニアちゃんが側に居てくれなかったら、黄色い水溜まりを作っていたことでしょう。そして、為す術もなく蹂躙されて、真っ赤なミンチにでもなっていたんじゃないでしょうか。
ああ、なんて恐ろしいんでしょうか、平和とは奇跡の下にあるというのは本当なんですね…。
「…トリィちゃん、大丈夫?立てる?」
トントンと背中を叩かれたので顔を見上げてみれば、相変わらず男の子に見えないニアちゃんの顔がありました。
「お、終わったんですか…?」
「うん。襲撃犯は取り押さえてるし、魔獣も拘束できてるから、取り敢えずのところ大丈夫かな?」
「ま、魔獣!そんなものまで…」
壁の穴から見えた大きい影は魔獣のものだったっぽいですね。
言われてみれば、人ならざる物の唸り声がしてた気がします…。
「んー、確かに魔獣まで出してくるのは、ちょっとびっくりだったなー。初っぱなから飛ばすねぇ」
「ちょっとびっくりする程度なんですね…」
ニアちゃんはあんな大規模な魔法を使うくらいなので、実戦経験も多いんでしょうか?
可愛い顔してやることはやってるんですねぇ…。(ゲス顔)
「何て顔してんのさ…」
「何でもないデス」
まあ、この世界だと結婚とかは早いので、あながちやってないことはないと思いますけどね。
私はまだですけどね!
まあ、それはそれとして、修練場内にもようやく動きが出たようです。警備の騎士達が襲撃犯の連行を始めたみたいですけど、わりとあっさり連れてかれるんですね。
それに対して反対側の出入口からは、貴族のお坊っちゃん方がギャーギャー言いながら脱出しているようです。なんという小物臭…。
冷ややかな視線を飛ばしていると、不意に脇から腕が現れ、胸元で交差して後ろに引っ張られたと思えば、足は地面を離れて背後には柔らかい感触……、ってこれは!
「ア、アイリスっ!」
「んふぅ、お待たせトリィ。…あぁ、脳みそ蕩ける良い匂い…」
「ひぃっ!?ちょ、ちょっと一回離れてください!アイリス!」
首筋に感じる熱い息は、獲物を見つけた肉食獣が如く、私の本能が危険を察知して、生存本能に従うまま手足をバタバタさせていますが、まるで抵抗できてませんね!
結構強めに脛を蹴っても全く動じてない…!
「もう、暴れちゃ、メッだよトリィ?」
「ひゃあっ!耳元で喋らないでっ、くださっ!?っ、んあぁっ!?」
胸を揉まないでくださいぃ…!
「あはは…、元気だねアイリス。初仕事はどうだったの?」
ニアちゃん!?そんな、感想なんて聞いてないで、助けてくださいぃ!
「…?…ああ、全然ヨユーだったよ。というか、予想よりも手応え無かったから、拍子抜けだったね」
ひいぃ!服の中に!手が!ちょおっ、直はダメですっ!それ以上はっ、それ以上いったら規制かかっちゃいますからっ!
「んふふふ、これやばぁ…。触ってる私の方が気持ち良すぎて溶けそぉ」
「んっ!……っ、ふぁ!ひゃ、ひゃめて、っくださ、いぃ…!」
「もう少し、もうちょっとだけ…」
「……。あー、アイリス、もうその辺にしてあげなよ?周りに他人もいるし、ね?…というか、2人ともその表情はいろいろと、その、まずいよ……」
「えー…。まあ、そうだね。……トリィ?後で、トロトロにしてあげるからね?」
「へ……?!ふ、んあぁ!?」
最後に首筋をペロリとされて、ようやく解放されました……って、後でって、これ死刑宣告じゃないですか?
胸をまさぐっていた手が避けられて、ゆっくりと下ろされていざ地面に足がついたところで、力が抜けて崩れ落ちてしまいました。
「ああっ、ごめんね?トリィ。……部屋まで運んであげるから、許してね」
「ふーっ、ふーっ、…ア、アイリスなんてっ、キライです!」
そんな、この世の終わりみたいな顔されても、自業自得ですからねっ!
◇◇◇
はい、トリィです。
結局あの後退避命令が出たので、私は今寮の自室で待機しています。
え?腰が抜けてたのに、どうやって移動したんですかって?
……アイリスは、紳士でした…。
でも、明らかに胸とお尻を触られながらのお姫様抱っこで、余計な辱しめを受けてしまいました…。
そのアイリスといえば、ついさっき訪れたアレクが
────
「おい、アイリスはいるか?」
「あっ、アレクっ!いいところ、に!……っ、アイリス…っ、お客さんですよ…!」
「んふ、トリィ、抵抗しないでよ。大丈夫…、気持ちよくしてあげるからね?」
「結構ですっ!離れ、てっ、ください!ちょっ!アレク、もうっ、持ってってください!」
「よし、じゃあ貰ってくぞ」
「!離せ!アレクゥ!」
────
という一連の流れによって、どこかへ連れていってしまいました。2人とも入学前からの付き合いですし、危険はないでしょう。というか、今回の騒ぎの制圧に最も貢献してたらしいので、事情聴取的なことでしょうか?
アイリスという最大の脅威が居ない今、羽を伸ばすのを逃す理由はありませんので、堪能しなくては。
取り敢えずは、安全なうちに着替えておきましょう。あの猛獣の前に裸になってしまえば、一瞬で食い散らかされて土の下でしょう。ほんとは、着衣時の肌の露出も控えるべきなんですけどね。
まあ半袖ぐらいなら、私のちんちくりんボディに興奮するなんて、それこそアイリスぐらいなんじゃないでしょうか?
実はこの世界の人間というと、前世と比べると成長が早く、しっかり食べて寝てれば僅か12才程で、わりと高校生レベルの体つきになったりします。
命の危険が身近なので、生き残るための進化ですね。
とすれば、この世界における情欲の対象というのは、前世にもまして成熟した肉体に向けられているはずなのです。証拠にゲームでも攻略対象に幼児体型はいなかったはずです。
つまり、この理論でいけば、健全な学舎において私のようなちんちくりんに態々発情する、アイリスにだけ気を付ければ良いわけなんですよ!悲しい話ですが!
まあ、私はこれからですよ。これから。
ということで、安全なうちにいろいろ済ましておかなければいけませんね。
まずは、昼食を摂りにいきましょう!
◇◇◇
ランチタイムで、トリィです。
昼食を摂りに食堂までやってきました。
まあ、昼食といってもサンドイッチなどの軽食が基本みたいですけどね。
持ち運んで手軽にという意図なんでしょうが、特に今日はこれからの予定はありませんし、席に着いてゆっくり食べようと思います。
ちょっと早い時間に来たせいもあって食堂はスッカスカなので、程よい窓際のテーブルに着かせてもらいましょう。
「………あの、良かったら、一緒に食べて良い……?」
「はい?」
不意に、背後から投げかけられた声に驚きながらも、振り替えるとそこには──
だぷんっ
「………迷惑だった…?」
だぷんっ
「!…お」
だぷんっ
「……お…?」
だぷんっ
おっ、おっぱいがしゃべってますぅっ!?
だぷんっ
ありがとうごさいました。




