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Reciting mine

奪われた目を、また開くために

 この心の高鳴りを、どう処理すればいいのだろう


 僕の中に難なく入りこみ、満たしてしまうこの揺さ振り

 達成感に満たされた時とも違う

 満足だというわけでもなく、幸福とも言い表せないこの感覚

 あれでもない、これでもない

 そんな事、考える必要すら見失いそうになる


 ああ、僕はこの瞬間に目を奪われたのだ、と。


 何も見えなくなり、盲目に目の前の感動を頭の中で反復させてしまう

 芸術家が魅了されてしまえば、世話がない

 魅せてこその作り手ではないか

 この敗北はこれまでもたくさん経験した

 けれど、この虚無感がいつ払拭されるかはわからない


 ああ、この輝きをあらわしたいのに!


 焦り、苦しみ、暴れたい衝動に駆られる

 何か見出せそうなのに

 何も見出せないのに

 ただ筆を執っては、筆を握りしめるだけ

 一言書いても気に入らない

 ちがう、こうじゃない

 もっと仕方があるだろう

 ちがう、ちがうちがう!


 ああ、思い出せない! 僕の言葉が消えてしまう!


 虚無感と喪失への恐怖だけが、魅せられた感動とともに渦巻くどろどろとした感覚が生まれてなお消えない、この感動は恐ろしい

 これほどまでに人を魅了できる作品はやはり素晴らしく、脅威だ

 僕を侵食し、汚染する

 いや、汚染しているのは僕の方だ

 むしろ、僕はこの感動に浄化されているのかもしれない

 無知で浅はかなこの価値観が、たった一つの映像に覆されようとしている

 しかし、どうしようもない


 ああ、きれいだ。なにもかも


 この音が心を支配する

 この色が目を奪う

 においを想起させて、想像を塗りつぶしてしまう


 ああ、かなわないな


 価値など比べるまでもない

 魅了されて当然だ

 敗北を受け入れるしかない

 だが、それでもおしまいにはしたくない

 どれだけお粗末な思いを表しても、どれだけくだらなくても

 僕は僕の作品を作る

 僕だけの世界を、ここに残したい

 見てくれた人が僕を忘れないために


 ああ、そうだ。目を覚ませよ、僕。


 如何でしたでしょうか

 感動するという事は自分の心が相手に取られてしまう。そんな風にとらえた時があります。その作品のレベルが高ければ高いほど。

 否定はしません。けれど、そのままでは終わりたくない作者の心を表わした次第であります。

 では、この後も負けずに筆をとろうと思います。

 あしからず。

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