刻印
「みなさん帰りたいとか言わないんですね?」
ファラスについてやってきたのは一つの部屋、質素な感じだが高級そうな会議室?みたいな場所。
その部屋の真ん中に置かれている白いクロスのひかれた長テーブル。
部屋の一番奥といえるところに座っているのはファラス、そしてその右斜め前に俺その横が閃、俺の前が落雷その横に鈴歌という席順。
ほかにはさっきの軍服美女とイケメン軍服優男(金髪)がいる。
「別に未練とかないしね~」
落雷の緊張感のない声。
「私もない」
鈴歌は無表情。
「俺もねっすわ~」
チャライ閃。
大丈夫かなー。このメンバー。
「そうですかそれはいいことですね!」
ファラスマジ元気いいな。
「そんなことより姫、そろそろ魔王のことについていろいろというべきでは?」
軍服美女が姫様にもっともなことをいう。
「そうでした!では急いで説明を始めませんと」
ハイテンションな姫様ですこと。
「魔王というのはですね、簡単に言うと私たちを導き魔族などの種族に平和をもたらすすっごい王様のことです」
真剣に身振り手振りを加えながら話す元気姫。
「俺らは魔王なんすか?」
閃の問いに元気姫は首を縦に振る。
「どうやって判別すんの?」
落雷は髪の毛をいじりながら何気なしに聞く。
鈴歌は変わらずポーカーフェイス。
こいつらマジすげ~。全然緊張もしてないし取り乱してないよ。えっ?これも魔王の素質なの?俺の最初の召喚のときとか暴れまくったよ。
「それは体のどこかに刻印が浮かぶんですけど………」
元気姫の言葉を聞いた次の瞬間には体のあちこちを探す俺以外のメンツ。えっ?マジでこいつら何?
落雷に至っては黒のセーラー服の中をその場でのぞきだした。見えてるから、落雷さん!
「あった!ねえ、見てみて!」
落雷が右わき腹あたりを見せつけてくるそこには黒い刻印と真っ白な肌。
すっげきれーな肌。とにかく白い、真っ白。だけど病的な感じはせずムニムニしてそうな肌。
「なんかエロい目で見てるでしょ、黒木君」
こちらをむすっとにらんでくる落雷。そんな顔も素敵です。
「私もあった」
こちらも黒色のセーラー服の鈴歌さん。
黒いスカートを少したくし上げているその太ももあたりには黒い刻印と小麦色をした健康そうな足。
すらっと伸びた日本の足には無駄な筋肉はついていない。
………おいしそう。
はッとなって我に返る。生足の威力やべえ。
「あ、俺もあったス」
「そうかよかったな」
男はどうでもいいのでばっさり切り捨てる。ちなみに閃は背中にあった。
「ちょっと黒木つめたくないっすか」
そんなことないと笑いながら言う俺。
「あんたの刻印は?」
落雷が聞いてきたので学ランのみぎそでをまくり見せる。
右腕の二の腕あたりにある黒い刻印、昔はこの場所に勇者の刻印があったんだけどなと思っていると、
「みなさん全員あったんですね、よかった」
元気姫が安堵の息を吐いていた。
「ファラス姫には刻印ないんですか?」
俺が不思議に思ったので聞いてみた。グランの家系は確か刻印があったはずなんだけど。
「私にはないんです」
暗い顔をした元気姫。そのもの悲しげな顔にドキリとしてしまう。
「私落ちこぼれなんですよ………」
そのあと何とか元気にふるまってくれたファラスが説明してくれたことは、
1 俺たちは全員が魔王になるわけじゃないこと
2 この国は今結構なピンチなこと
3 お披露目は三か月後
4 力を得るために変な儀式をしばらくしたらやること
5 教育係がつくこと
こんくらいです。
明日からこの世界の勉強だ!
まあ知ってるんだけどね!
次回はもっと頑張ります!