転生
頑張りました
ここは、どこだ?
真っ黒な空間、どこまでも暗く暖かい水の中にいるようだった。
聖国の奴らに襲われてそれから………確か死んだんじゃん。
でも意識がある?死後の世界とかそんな感じ?
あれっちょとまてよ。
違和感に気づく暗いんじゃなくて目をつむってたんだ。
馬鹿じゃね俺。
これからどうしようか……つってもここがどこかわかねえし。
まあどうでもいいか……
数ヵ月後。
俺がここでの生活を適当に送っていたときそれは起こった。
「グガッ」
いきなりの圧迫。
なんだ?なおも続く正体不明の圧迫はすぐに終わった。
圧迫の後に訪れたのは光。
まぶしい。
「おぎゃあ。おぎゃあ」
近くで誰かが泣いている。
誰が?
……俺です。
自分の体を見て気づいた。
………………赤ん坊じゃねえかああああああああああ!
「京子様元気なお子さんですよ」
近くで聞こえる優しげな声。
「はい、よかったです」
俺を抱き上げて涙ぐむ女性。
「元気な子に育ってくれるといいです」
十六年後。
「ああ~。だりっ」
黒髪黒目の学ランを着た長身の男。切れ長の瞳は気だるげで覇気がない。整っている顔から感じられるのはだるいという怠惰な感情だけ。
斬立黒木、今の彼の名前だ。
なんで俺が学校なんて。
頭の中では愚痴を言っている。
まあ当然だろう、だって彼は転生者、勉強なんてとっくの昔に飽きた。
彼が二度目に生まれたのは由緒正しき武家の親戚。
学業優秀、スポーツ万能、イケメン。
三拍子そろった天才神童ならぬ転生神童。
だが彼はこの暮らしが不満だった。
つまらない、この一言に終わる。
家族は優しいし女の子にはモテモテ。
しかし平和、とても平和。スリルがない。
生前勇者として世界を救ったのにいまは普通の高校生。
落差が激しすぎる。
そんなことを思いながら彼は下校している。
バッ!いきなり道路に広がる円形の模様。
「え?」
それはこの世界では見れないもの―――
魔法陣。
なんでと口を動かそうとしても動かなかった。
これは召喚陣だ。
自分でも十九年前に経験したこと。
そんなことを考えていると、黒色の光が黒木を飲み込んだ。
目を開けるとそこは薄暗い部屋。
俺は現状の確認をする。部屋には今数十人の人、内三人は俺の近くにいる。
ここはどこだ?
「ようこそ魔王様方!ここは多種族国家グラスリア王国です!」
こちらに向かって勢いよく頭を下げる女の子。
ハイ?魔王?