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勇者と魔王

 全てが終わった。

 俺は王城から見える景色を何をするでもなく眺めていた。

 そこに見えるのは城下町。多種族の子供たちが幸せに暮らす理想の国。俺が作り上げた国だ。

 この世界には多種多様な種族がいる。人間族、エルフ、ドワーフ、獣人族、ドラゴンニュート、天人族、そして魔族。

 それらは全て人だ。姿や習慣が違っても知性ある人だ。

 3年前。勇者としてキリシカ聖国に召喚された俺は人間族を救ってくれと教主に頼まれた。

 最初は戸惑ったが俺はそれをたのまれることにした。

 そして旅に出た俺はいろいろな人と出会った。そこで思ったんだこの優しい人たちが共存できる世界を作ろうと。 

 そう思った俺は魔族に和平を申込み、その他の種族を説得してこの国を作った。

 いろいろな種族が混在する元魔族の国、多種族国家グラスリア王国。

 「こんなとこにいたのか」

 ふと後ろから声がしたので振り向く。

 「グランか…」 

 鈍く光る銀髪に海のような蒼い瞳の美小年。

 元魔王、現グラスリア王国の国王。グラン・リア・グラスリア。

 「お前は本当に帰るのか?」

 魔族のために力の限りを尽くした元魔王は悲しげに問うてくる。

 「ああ、俺はこの世界の住人じゃないしな」

 城下町の方を向きながら答える。

 「そうか………」

 さらに表情を暗くする元魔王。

 「そんな悲しそうな顔すんなよ」

 グランに向かって微笑みかける。

 「悲しくなんかねえよ。馬鹿野郎」

 暗い顔に笑みを浮かべる元魔王。そんな魔王を見て俺は一年前のことを思い出した。

 思い出したのは出会ったころのがんばり屋魔王のことだった。

 魔族のために身を粉にして頑張っていた元魔王。

 「そろそろ行かなきゃな」

 城下町の方を見る。いろいろな種族が共に生きる国、今はまだ魔族と少しの人間族、獣人族しかいないけどいつかきっと、すべての種族が集う場所になる。

 「これから頑張れよ」

 あまり整ってない顔に笑みを作る俺。

 「当たり前だ」

 整っている顔に笑みを浮かべるグラン。

 「じゃあな」

 俺は転移の魔法を無詠唱で発動させる。

 光に包まれて俺はこの世界に俺を召喚した国、キリシカ聖国に向かう。

 

 

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